また5年以上の思い出話の記録です。
8月7日の記事に書いた仕事場から歩いて2,3分いくと、既に急峻な山です。そこから約2時間ほどけもの道のような山道をまっすぐ登っていくと、廃墟となった昔の鉱山の集落に出ます。もっとも、私はそこまでたどり着いたことはなく、いつも途中で引き返してしまいました。「なた」を腰につけて山に入るのですが、弱虫なので、一人だと熊に出会うのが怖かったのです。カモシカにはよく出会いました。林道をたまたま一緒に歩いたこともありますよ。このけもの道は私の好きな散歩道でした。 町の管理する細い林道が仕事場の近くから始まって、1200メートルの茂住峠を越え、1380メートルの「池の山」近くまで伸びていました。乗用車ではちょっと無理なので、ランクルを運転して茂住峠までいき、よく周囲の散歩をしました。この林道は、すごいヘアピンカーブはあるし、大雨でよく崩落はするしで、運転には一瞬の気も抜けません。 山に入ると自動車の音など人工の音がすべて消え、風でそよぐ葉のこすれる音が聞こえるだけです。東京から仕事場が離れているのを幸いに、時間に都合のつく日は山に入っていました。「近隣の山地の調査および仕事におけるアイデアの検討」などというわけの分からない勝手な理由をつけました。実際、いくつかよいアイデアを思いついたことがあり、無駄な山歩きではありませんでした。 春は新緑と木々に咲く花々。夏はうっそうとした緑と涼しい木陰。秋は真っ青な空と紅葉・黄葉のすばらしさ。冬は大雪に閉ざされて、林道の自動車通行は不可能ですが、歩くのなら急峻なけもの道でもだいじょうぶ。積雪が2,3メートルくらいあっても、カンジキで十分山歩きができます。夏の山歩きより楽でした。 夏だったと思いますが、山から下りてくるときに、林道で犬がしきりに私をにらんでほえていました。そのまま降りていったら、地元の方が、青光りのするライフルを持って立っていたのにはちょっとびっくりしました。鹿と間違えられなくてよかった。 仕事場の地主さんと、よく山の話をしたものです。「ランクルで登っていって、あのヘアピンカーブのところに大きな『うろ』のある大木がありますよね」と私が聞くと、彼は「ある、ある」と答えました。「あの木はなんて名前ですか」と聞いたところ、「さて?」という返事でした。このときから、近くの山にある木々の名前を調べる仕事がひとつ加わりました。無論趣味で始めたつもりですが、10冊以上の本を買い込み、押し葉を始めるのを見て地主のいわく、「こりゃ趣味じゃなくて研究だわな」。 昔のファイルを整理していたら、当時つけていたメモの一部が出てきました。保存のつもりで、時々紹介したいと思います。まず、この季節の3日分を紹介しましょう。 2001/07/24(Tue)晴れ、温度高 by FewMoreMonths | 2007-08-10 13:20 | 奥飛騨
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