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原発直下断層「動かない」調査求める声次々

2011年08月31日

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県技術委の「地震、地質・地盤」小委で意見を述べる石橋神戸大名誉教授(左)=新潟市中央区

 東京電力は30日、柏崎刈羽原発の直下を横切る「真殿坂断層」など3カ所の断層について「東日本大震災で生じた地殻変動などを考慮しても動かない」とする調査結果を、経済産業省原子力安全・保安院に報告した。新潟市内で同日あった県技術委員会の「地震、地質・地盤」小委員会では、さらなる調査を求める声が専門家から相次いだ。

 東電は、真殿坂断層と原発南側の細越断層、原発敷地内の複数の断層について、いずれも「動かない」と評価し、耐震設計上も考慮していなかった。

 だが、震災後に保安院の指示を受けて再評価に着手。全地球測位システム(GPS)などで地盤のひずみを調べたところ、原発周辺の地盤は東西方向に引っ張られており、地震はむしろ起こりにくくなったなどとして、これらの断層は「従来と変わらず動かない」と結論づけた。

 同日午後にあった県技術委の小委員会では、東電がまとめた結論に、委員の立石雅昭新潟大名誉教授が「柏崎刈羽原発の近くで大地震が起きた時に動かないかどうかが問題だ」と立証を迫った。

 同原発の「基準地震動」(設計上想定される最大限の揺れ)を決める断層の一つ「F―B断層」(※)は今回の調査に含まれていない。石橋克彦神戸大名誉教授は「3・11が起きた以上、柏崎刈羽原発も中越沖地震で終わったわけではないと考えるべきだ。『F―B断層』や『佐渡海盆東縁断層』で中越沖を超える地震が起こる可能性は十分ある」と指摘した。

 保安院が調査を指示したのは、福島第一原発の近くにあり、東電が「動かない」と評価していた福島県いわき市の「湯ノ岳断層」が余震で動いたため。結局、東電は湯ノ岳断層を含む福島第一、第二原発周辺の5カ所の断層については、従来の評価を覆し、「活断層であることが否定できない」とした。

 小委員会の終了後、山崎晴雄委員長(首都大学東京大学院教授)は今後の議論について「柏崎刈羽原発周辺の大きな断層が動いた時、真殿坂断層などにどんな影響があるのか検討する必要がある」との考えを示した。(清水康志)

【※F―B断層】 
2007年7月の中越沖地震(マグニチュード6・8)の震源とされ、柏崎刈羽原発の北西沖19キロから直下に及ぶ長さ36キロの活断層。東電は「長さ7〜8キロで活断層ではない」との評価を見直し、03年に「長さ20キロの活断層」と国に報告したが、同地震後まで公表しなかった。東洋大の渡辺満久教授らはF―B断層は北方に延びる「佐渡海盆東縁断層」の一部だとし、50〜60キロの活断層が存在する可能性を指摘。マグニチュード7・5級の地震を警戒すべきだ、と指摘している。

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