民主党の新幹事長に輿石東参院議員会長が内定したことについて、自民党内には30日、警戒感が広がった。輿石氏は小沢一郎民主党元代表に近い。その小沢氏が同党マニフェスト(政権公約)見直しに関する民主、自民、公明3党の合意に反対しているためだ。まずは3党合意へのスタンスを注視しつつ、間合いを探る考えだ。
自民党の石破茂政調会長は、輿石氏について「小沢氏と不即不離の方だ。(政策協議が)野田佳彦新首相の思惑通りに運ぶか非常に疑問だ」と記者団に語り、早速けん制してみせた。
自民党は野田新政権を早期解散に追い込む姿勢だが、東日本大震災の復興や個別の政策課題については民主党との協議を通じて「是々非々」で協力する方針。ただ、その前提は「新政権が3党合意を順守することが必要」との立場だ。
野田新首相は合意履行に言及。非小沢氏系の前原誠司前外相が政調会長に就くことも決まった。とはいえ、「輿石氏の了解抜きに、前原氏が(野党との政策協議を)自由にできることはないだろう」との見方が支配的。輿石氏が小沢氏の意向をくむ形で合意をほごにすれば、対決姿勢を強めるのは必至だ。
政権与党の幹事長に参院議員が就くのは異例。これに関して、自民党幹部は「ねじれ解消を狙って、輿石氏は手を突っ込んでくるのではないか」と指摘する。
[時事通信社]