政治【正論】防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛 野田新首相、憲法と綱領を語れ +(3/3ページ)(2011.8.31 02:50

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【正論】
防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛 野田新首相、憲法と綱領を語れ 

2011.8.31 02:50 (3/3ページ)

 ≪平和憲法でなく安全神話憲法≫

 党綱領問題はどうか。野田氏は代表選出直後、「私は民主党が大好きだ」と語った。慶賀に堪えない。で、訊ねたい。「大好きな民主党って、どういう党なの?」。答えに窮しまいか。国民が民主党について知っているのは「国民の生活が第一」のマニフェスト(政権公約)と、不思議、不可解な党内人間関係だけではないのか。

 マニフェストは「(長くて)4年間の約束」に過ぎず、約束が拠って立つ思想的基盤は不明だ。思想的基盤たる党綱領が示されて初めて、国民に公約の真の意味が分かる。4年はおろか2年未満で有権者が民主党離れした大きな原因は、この党が党綱領という自己像を世間に隠し続けたことにあろう。この党は自分が想像していたのとは違うらしいという訳だ。

 私は今回の野田新代表の選出を、与えられた条件の下で民主党国会議員がベストの選択をしたものと評価する。しかし、祝意を表することはいまは控える。なぜなら、新首相を待ち受けるのは間違いなく長い茨(いばら)の道だからだ。焦眉の難題が山積している。七転八倒は不可避だろう。「雪の坂道を下から雪だるまを押し上げる」覚悟を語った新首相には、祝意に代えていまは次の注文をつけよう。

 悪戦苦闘ながらも、山積する眼前の難題の克服が自分の責任の全てだと思うな。「国民の生活が第一」とは次元を異にする「ハイ・ポリティックス」の問題があることを片時も忘れるな。憲法問題、党綱領問題、外交・安保問題は結局のところ「国民生活が第一」に深いところで繋(つな)がっている。最高指導者がそれを理解しないでどうする。だから「急がば回れ」。(させ まさもり)

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