政治【正論】防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛 野田新首相、憲法と綱領を語れ +(2/3ページ)(2011.8.31 02:50

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【正論】
防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛 野田新首相、憲法と綱領を語れ 

2011.8.31 02:50 (2/3ページ)

 ≪基本問題先送りしてならぬ≫

 より大きくいえば、外交安保論を加えても、政治本来の問題を論じ尽くしたことにはならない。各論的な内政・外交課題の基盤が放置されている限りは。具体的にそれを国政についていえば憲法秩序、民主党については党綱領の問題である。この2種の基本問題は今回の代表選で完全に無視された。あたふた劇だったからやむを得ないとの弁護論もあろう。ならば訊ねる。あたふた劇以前および以後に、両問題が民主党重要人材の脳裏の一隅を占めていたか。

 私の観察では「ノー」だ。指摘されて、完全忘却していたことに気付くのではないか。政権担当の2年間、民主党の憲法改正論議は事実上休止していた。「急いで手がけるには及ばない」が理由だ。党綱領問題は約半年前、党幹事長の「内外の問題山積のいま、議論している余裕はない」発言でストップ。ともに先送り主義で、そのうちに問題意識自体が消えた。

 「山積する難問への対応で手いっぱいなので」との言い訳の下、両基本問題を先送りするのは正しいか。冷酷に言おう。日本の惨状に照らして、難問山積状態は長く続く。そういう窮状下でも、いや窮状下だからこそ、基本問題の忘却はあってはならない。現下の惨状、窮状は基本問題の先送りと関係なしとはしないからだ。

 私見では、日本国憲法は平和憲法というより、「安全神話」憲法である。「安全神話」に頼った結果、昨秋来、東シナ海、日本海、北方水域で「想定外」の事態が続発した。この一事に照らしても、憲法問題はリアルな意味を持つ。

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