政治【正論】防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛 野田新首相、憲法と綱領を語れ +(1/3ページ)(2011.8.31 02:50

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【正論】
防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛 野田新首相、憲法と綱領を語れ 

2011.8.31 02:50 (1/3ページ)

 呆(あき)れるほど長年にわたった自民党政権は、最後の3年間に3人の首相を必要とした。自民党的統治の耐用年数が尽きていた証拠だった。他方、政権党となった民主党は最初の2年で2人の党代表を使い潰した。これは耐用年数の問題ではない。指導者人材の問題である。なぜか民主党は、「身体検査」上の問題を抱えた人物を2人も続けて首相にしてきた。

 過去2代の民主党首相は、政治的能力もひどく貧弱だったが、「政治とカネ」、いや「政治家と特殊なカネ」の問題で野党と世間の追及に曝(さら)されどおした。日本の政治にとり不幸なことだった。事柄は政治以前の問題なのに、それが重要な政治問題であるかのように扱われてきたからである。

 ≪政治本来の問題に専心せよ≫

 その民主党に今回、野田佳彦代表が誕生したことは、いささかホッとさせる。「政治家と特殊なカネ」という政治以前の問題に国会が精力を傾注する不幸が減るだろうからだ。党代表候補の名乗りを上げていた別の人物が選ばれていたら、その不幸がまたも繰り返される気配は濃厚だった。頼むから国会よ、政治よ、9月からは政治以前のではなく、政治本来の問題に専心してくれないか。

 政治本来の問題とは何か。党代表の座を争った候補5人は災後復興、財政経済、エネルギー政策、社会保障、政局運営など多岐にわたり所信を語った。いずれも政治本来の問題ではある。が、すべて内政領域に属する。テレビや新聞などを精査したが、外交・安全保障の議論はミニマムだった。しかも、5人が「日米安保が基軸」を唱和した。これはいわば本の表題を読み上げただけのこと。せめて目次ぐらいは見せるべきだった。目次があるとしての話だが。

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