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福島第1原発:東電が損害賠償金の算定基準を発表

4人家族の請求例(避難等の指示に係る損害について)※精神的損害は体育館避難が1人月12万円で、仮設住宅は1人月10万円
4人家族の請求例(避難等の指示に係る損害について)※精神的損害は体育館避難が1人月12万円で、仮設住宅は1人月10万円

 東京電力は30日、福島第1原発事故に伴う損害賠償金の算定基準を発表した。県内避難の交通費は1回当たり1人一律5000円とし、有料施設に避難した場合の宿泊費は1人1泊8000円を上限に実費払いとする。算定基準は政府の原子力損害賠償紛争審査会が5日に公表した「中間指針」に基づいて策定。東電は「仮払い」から「本払い」へ移行する。ただ、企業や個人事業主向けなど一部の賠償基準策定は先送りされた。

 ◇交通費5000円、宿泊費1泊8000円上限

 東電は既に仮払いしたり、新たに賠償金の請求を申し込んだりした被災者や事業者を対象に、個人には9月12日、法人や個人事業主にも9月中をめどに請求用紙を送って受け付けを開始。支払いは10月以降に始める。事故が収束していないため、初回の請求は8月末までの確定分とし、3カ月ごとに請求を受け付ける。請求には領収書などの証明資料が必要。既に仮払いした金額は差し引く。

 賠償対象は政府指示で避難したり、農水産物などの出荷制限や風評被害を受けたりした個人や法人。中間指針では、自主避難した人を賠償対象に加えなかったため、算定基準にも盛り込んでいない。

 中間指針に基づき、避難指示の対象者には精神的な賠償として8月分まで1人月10万~12万円、9月以降は5万円を支払う。健康診断は1回8000円、放射線検査は同1万5000円。東電の試算によると、例えば月間所得27万円の4人家族(夫婦と子供2人)が県内の体育館で5カ月間の避難生活を経た後、仮設住宅に転居した場合、精神的損害や避難などの賠償額は8月末までで451万5000円。仮払い分を差し引いた231万5000円が支払われる。避難による営業損害や風評被害の算定基準も設けた。セシウム汚染肉牛の出荷停止や風評被害による損害賠償は基準公表を見送った。

 東電は既に総額1122億円の仮払いを実施。本払いの件数は40万~50万件に上るとみられ、政府が来週にも発足させる原子力損害賠償支援機構に資金支援を求める。問い合わせは補償相談室(電話0120・926・404)。【宮島寛】

毎日新聞 2011年8月30日 21時41分(最終更新 8月30日 23時48分)

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