概要を発表する(右から)山下副学長、笹川会長、紀伊国理事長
東京電力福島第一原発事故を受けて福島医大、日本財団などが9月11、12の両日に福島市の福島医大で開く国際専門家会議「放射線と健康リスク」では、県民の放射線に対する不安を払拭(ふっしょく)するための提言を取りまとめる。同会議の組織委員会が16日、東京・赤坂の日本財団で会見し、会議の概要を発表した。
組織委員を務める福島医大の山下俊一副学長は、「県が実施する県民健康管理調査については内容に問題がないかを専門家に外部評価してもらう。子どもを持つ母親の不安をどうしたら解消できるかも提言したい」と会議の狙いを説明した。さらに、放射線の研究拠点を目指す福島医大と専門家との交流のスタートにも期待を寄せた。
参加する専門家は国連科学委員会(UNSCEAR)や国際放射線防護委員会(ICRP)、国際原子力委員会(IAEA)、世界保健機関(WHO)などで活躍する国内外の研究者ら約30人。2日間にわたり、「福島の現状」「放射線被ばくによる健康影響」「チェルノブイリ原発事故の教訓から学ぶ」などつのテーマについて順次議論し、提言をまとめる。
一般県民は入場できないが、会議の様子はインターネットで中継する予定。
組織委員長の笹川陽平日本財団会長は「放射線防護や健康などのトップレベルの専門家が一堂に集まる会議は世界で初めてだろう。福島の未来のために権威ある情報を発信したい」と語った。会見には笹川記念保健協力財団の紀伊国献三理事長が同席した。