旧日債銀粉飾事件で逆転無罪
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旧日債銀粉飾事件で逆転無罪

8月30日 17時42分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

旧日本債券信用銀行の経営破綻を巡り、違法な会計処理で決算を粉飾した罪に問われ、1審と2審で有罪となった元会長など3人のやり直しの裁判で、粉飾決算とは認められないとして3人に逆転で無罪が言い渡されました。

この事件は、経営が破綻した旧日債銀=日本債券信用銀行が、1590億円余りの不良債権を隠し、破綻直前の平成10年3月期の決算を粉飾したとして、窪田弘元会長(80)と東郷重興元頭取(67)、それに岩城忠男元副頭取(73)の3人が、証券取引法違反の罪に問われたものです。1審と2審は、3人に執行猶予のついた有罪を言い渡しましたが、最高裁判所はおととし、「融資先が債権を回収できる状態だったかどうか、審理が必要だ」として、裁判をやり直すよう命じました。30日の判決で、東京高等裁判所の飯田喜信裁判長は、「融資先のほとんどは、債権の一部を回収できる見込みがあり、当時の会計処理には合理性があった」と指摘し、粉飾決算とは認められないとして、3人に無罪を言い渡しました。裁判長は判決の中で、「融資の合理性に関する公認会計士の検察官の調書は、決めつけている疑念がある」と指摘して、検察の取り調べに疑問も投げかけました。バブル経済の崩壊後に破綻した金融機関を巡っては、旧長銀=日本長期信用銀行の旧経営陣3人にも逆転で無罪が言い渡され、確定しています。

東郷元頭取は、判決後の記者会見で「一点の曇りもない明快な判決で、率直に大変うれしい。私たちは、日債銀の再建が日本のためになると思って、火中の栗を拾った3人で、金融行政が大きく転換されるなかで、私心なく取り組んだつもりだった。検察は無益な上告は避けてほしい」と述べました。岩城元副頭取は「当時は、銀行が破綻すれば世界的な恐慌が起きるかもしれないと、悲壮感を持って頑張っていた。公平な判断をいただき、感無量だ」と話していました。また、静養中の窪田元会長の弁護士は、「真実をよく見抜いた判決だ。金融政策の転換による破綻の責任は国自身が負うべきで、経営者が負うべきではない」というコメントを出しました。一方、東京高等検察庁の伊丹俊彦次席検事は、「主張が認められず無罪とされたことは遺憾だ。判決内容を十分に精査検討し、適切に対処したい」というコメントを出しました。