土壌汚染の広がり 地図を公表
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土壌汚染の広がり 地図を公表

8月29日 20時38分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

東京電力福島第一原子力発電所の事故で、放出された放射性物質による土壌汚染の広がりを、農地に限らず詳細に調べた地図が公表されました。原発に近い一部の地点の土壌汚染は、IAEA=国際原子力機関が緊急事態の対応として一時的な住居の移転を求めるレベルを超えていることが分かりました。

地図は、文部科学省が6月から7月にかけて、福島県を中心に2200余りの地点で測定した、土に含まれる放射性物質の量などを基に作成したものです。29日に農林水産省が公表した農地の汚染は土1キログラム当たりですが、土壌の汚染は1平方メートル当たりの放射性セシウムの濃度で示されています。それによりますと、最も高い値を示したのは、福島第一原発から数百メートルに位置する大熊町の地点で、放射性セシウムの濃度が1平方メートル当たり2946万ベクレルに上っていました。この値は、IAEAが緊急事態の対応として一時的な住居の移転などを求める放射性物質の濃度、1平方メートル当たり1000万ベクレルを超え、極めて高いレベルです。今回の調査では、ほかに原発から北西方向の双葉町や浪江町の一部の地点でもこのレベルを超えていました。福島第一原発と同じように土壌汚染が問題になったチェルノブイリ原発事故の場合、1平方メートル当たり55万5000ベクレルを超える区域で一時的な住居の移転が求められましたが、今回の調査では、こうした地点が、福島市や二本松市など、警戒区域や、計画的避難区域以外の地域にも広がっていることが分かりました。一方で、土壌汚染の度合いは、原発からの距離とは必ずしも一致せず、原発から北西方向や、福島市から栃木県の那須塩原市の方向に帯状に高い汚染地域が広がっていました。政府は、今回作成した地図を、住民の被ばく量の評価や、除染の計画作りなどに役立てたいとしていて、今後も継続的に調査を行うとしています。