【中間貯蔵施設】汚染土壌はどこに最終処分されるのだろう
菅直人首相が、いきなりこう言いだした。
「汚染物質を適切に管理する中間貯蔵施設を県内に整備することをお願いせざるを得ない」
8月27日に福島で開かれた「福島復興再生協議会」で、年間被ばく線量が200ミリシーベルトと推定される地点をこのまま除染しなければ、この先20年、被災者の帰宅が不可能であることを述べ、陳謝した首相。突然、「中間貯蔵施設」の話が出たのは、その直後だった。
今後、除染を進めた場合、放射性物質が含まれる汚染土壌が大量に発生することになる。汚染土壌が発生すれば、それを保管するための施設や場所が必要になる。原発事故で生まれた「鬼っ子」ともいえる放射性物質が含まれる汚染土壌など、よほどの対価(補助金など)がなければ引き取るという地方自治体はなかろう。その中間貯蔵施設を福島県内に整備すると首相は言うのである。
ちょっと待てよ……。そもそも中間貯蔵施設とはいったい何なのだろう。
これまでは、原子力発電所で発生した使用済み核燃料を貯蔵するための施設が中間貯蔵施設と呼ばれていた。「プール方式」と「キャスク方式」という2種の貯蔵方式があり、前者は「燃料から出る放射線の遮へいや熱の除去を水で行い」、後者は「密閉容器(キャスク)によって放射線の遮へいや除熱を行う」という。(電気事業連合会のwebページ、「使用済み燃料の中間貯蔵」より)
興味深いのは、「中間」と書くのだから「その先」、つまり最終的に貯蔵もしくは廃棄する場所が明示されていそうなものだが、電気事業連合会のwebページには「その先」に関す記述がない。使用済み核燃料を再処理するまでの「あいだ」ということなのだろうが、再処理したあとにも高いレベルの放射性廃棄物が発生する。よって、再処理は使用済み核燃料の終着駅とはいえない。
ようは、中間貯蔵施設とは放射性物質を含むさまざまな「ゴミ」を最終的に廃棄する「終着駅」としての施設や場所に移すまでのあいだ、一時的に管理しておく施設のことをいうらしい。そして、「キャスク方式」を採用した場合、その施設の耐久年数は40年という。つまり、「とりあえず40年くらい、放射能物質を含むゴミを預かってください。その後、ゴミは別のところに持っていきますから」という役割を担う施設が中間貯蔵施設だということになろう。
首相の突然の発言に対し、地元の反応は冷ややかである。8月28日付の産経新聞によれば、佐藤雄平知事が「突然の話だ。非常に困惑している」、警戒区域から避難中の富岡町の遠藤勝也町長は「理解に苦しむ。次の政権は“政局”を捨てて汚名を返上してほしい」、警戒区域の双葉町の井戸川克隆町長も「(政府は)もっと早くできることがあったのでは。じくじたる思いだ」と述べているが、当然の反応だと思う。
政府が脱原発の方向で動くなか、原子力発電所の増設が見込めなくなれば、再処理した核燃料の使い道はなくなっていく。そうなると、使用済み核燃料は単なる「ゴミ」となることから、いま中間貯蔵施設と呼ばれているものが「終着駅」、すなわち最終処分場になる可能性が高い。そんな状況下で、中間貯蔵施設という言葉を使う前提として、最終処分場を明示することは必然であろう。
除染をすれば汚染土壌が発生する。その土壌はどこかで管理しなければならない。とはいえ、そんな土壌の引き受け手を探すのは困難だ。この件については、たとえば2001年に中間貯蔵施設を誘致しようとした青森県むつ市の市民が、推進派と反対派に分かれて議論を戦わせた事例が参考になる。(東奥日報の連載「どうなる中間貯蔵施設 むつ市の誘致構想」、2001年8月~9月)
政府は中間貯蔵施設に関する説明を、せめて事前に関連する地方自治体にはしておくべきだったのではないか。いずれにせよ、政府は最終処分場をどこにするのか。その点に注視しながら、汚染土壌の問題を政府がどう解決していくのか、ウォッチしていこうと思う。
(谷川 茂)
●(夕刊ガジェ通)記事関連リンク
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