東京電力は30日、原発事故に伴う損害賠償の基準や手続きを発表した。まず8月末までの損害について10月初旬から支払い始め、以後3カ月ごとに実施。避難に伴う宿泊費は1人あたり1泊8千円を上限とするなど、具体的な金額を初めて示した。家族4人の避難世帯が受け取る初回の賠償額は、仮払い分も含めて約450万円と例示した。
東電によると、賠償の基準は、政府の原子力損害賠償紛争審査会がまとめた中間指針に沿って決めた。対象は、避難住民5万6千世帯の15万人分を含め、全体で40万〜50万件にのぼる。
賠償は実費払いが原則だが、領収書がない場合などもあるため、基準額を設けた。避難に伴う費用については、同一県内の移動費用を1回1人5千円、宿泊費は上限1泊8千円、健康診断は1回8千円などと定めた。公共交通機関の運賃や、福島県内の標準的なホテルの宿泊料金などから、東電が独自に算定した。
被害者は、まず3月11日の事故発生から8月末までの損害額を、東電が配布する申請書類に書いて請求。書類は9月12日ごろから配り、東電の本社や福島県内などの補償センターに提出する。東電は、賠償対応にあたる人員を現在の約1200人から、10月には約6500人まで増やす。