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02/09(水曜日)
「Speed(速さ)」、「Simple(簡潔)」、「Secret(秘密)」、「Safety(安全)」、医務官である私が心がけているのはこの4つの「S」です。
連日の国会審議や外交日程に臨む総理の健康管理のため、私が務める医務官(医師)と看護官(看護師)が24時間総理のそばに控えています。外国を訪問する際にも、必ず私たちが同行しています。
毎日の過密な日程の合間に声がかかれば、迅速に対処する「Speed」が求められます。他の方の業務の妨げにならぬよう、すぐさま総理のもとに。聴診器はベルト代わりとばかりに腰にぐるっと回し、もう一度戻って薬を処方することのないよう、上着の内ポケットには、なるべく多くの種類の薬を入れていきます。そして、薬は間違えず、飲みやすいよう、一包化し、少数回分渡すようにしています。これが「Simple」です。
この聴診器をぐるっと腰に回します
もちろん、医師であるわけですから、患者に関して守秘義務があることは当然です。つまり「Secret」です。
そして、4つ目の「S」は、「Safety」。私どもの処方する薬が確実に効いて、眠くなったりしないことが求められています。
菅総理はいわゆる「健康優良大臣」。たとえば、昨年12月には1週間のうちに、気温が5度を切るような寒さの山形、25度を超えるような暑さの硫黄島、予想はずれに肌寒い沖縄を訪問するなど、長距離の移動と急激な気温の変化にも動じない体力があります。
普段は、特別に時間を取って、診察するわけではないので、一声(咳)から一挙手一投足まで集中して、総理の健康状態を観察しています。
また、外遊時においては大きな医療用スーツケースに点滴台からAEDまで詰め込み、機内に持ち込みます。民間の航空機を利用する場合には、注射器や液体などが持ち込めない場合もありますが、政府専用機ではそれが可能。現地に着くと、私の部屋が医務室に早変わりします。出発前から現地の外務省の医務官などとも連携、現地情報の取得にも努めています。
このスーツケースにさまざまな器具を詰め込みます
先日のダボス会議のときは、片道13時間という長時間にわたるフライト。水分を十分に補給してもらい、エコノミークラス症候群(旅行者血栓症)の予防に努めました。また、インフルエンザが流行っていたことから、その検査キットや治療ができるような準備も整え、同行しました。
全国各地で、厳しい寒さが続いています。また、1月の第3週以降、インフルエンザ発生は増加の一途にあります。予防接種を受けていても、手洗いやうがいなど、日頃の予防が大切なのは言うまでもありません。
国民の安全、安心を守るという大変な職責を担う総理が常にベストコンディションで職務に専念できるよう、私も引き続き全力で支えていきたいと思います。