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03/04(金曜日)
いよいよ2月26日から「開国フォーラム~平成の開国と私たちの暮らし~」が始まりました。
「日本を開き、未来を拓く」ため、政府はどう取り組むのか。私たちの暮らしへの影響はどうなるのか。玄葉光一郎国家戦略担当大臣はじめ、菅内閣の大臣、副大臣たちが、それぞれの地域における経済界や農業の専門家らとの討論を通じて、皆さんとともに考えていきます。是非ご参加ください。
第一回フォーラムは、玄葉国家戦略担当大臣、平野内閣府副大臣、五十嵐財務副大臣に加え、パネリストとして東京大学の戸堂教授、西武信用金庫の落合理事長、群馬県農業経営士協議会の小川会長、日本労働組合総連合会の逢見副事務局長、フリー・ジャーナリストで事業創造大学院大学客員教授の伊藤さんをお迎えして、26日、さいたま市で開催されました。
パネル・ディスカッションでは、①開国を通じてアジアの成長を日本に取り込んでいくことが必要だ、日本にはポテンシャルのある企業や農家は沢山いるはずだ、②開国によって食料の安定供給を犠牲にすることがあってはならない、農業だけでなく流通も含めた総合的な対策が必要だ、③競争力のない分野については時間をかけてまず競争力をつける、それでも足りなければ必要な支援も行うなど、きめ細かな対応が必要ではないか、④競争が厳しくなるのはピンチでもあるが、いろんな工夫をするきっかけとして活用していくべきだ、⑤労働者の保護や環境の保護をしっかり行う国を増やすような形で各国との経済連携を強化していくべきだ、など様々なご指摘をいただきました。
一般参加者の方々からも、①食料の安定供給を確保することは国にとって最も重要な役割の一つであり、開国する中でどう実現していくのか道筋を明確に示すべきだ(農家の方)、②中国で暮らした経験から日本の食品には高いポテンシャルがあると感じた(学生の方)、③農業以外の分野の影響についても明らかにして議論すべきではないか(農家の方)、④孫のためにも世界に羽ばたけるような教育をお願いしたい(ご主人の定年後夫婦で農業に従事している女性の方)、等様々なご意見をいただきました。
残念ながら抽選でフォーラムに来場いただけなかった方々もいらっしゃいましたが、応募の際に書いていただいた御意見等も含め、今回のフォーラムで皆様からいただいた御指摘は、今後の検討の中で必ず活かしていきたいと思います。どうもありがとうございました。
今後、札幌、仙台、金沢、名古屋、大阪、広島、高松、福岡の各市で開催の予定です。
KAN-FULL BLOGでは、これから数回、全国各地でのフォーラムの様子を紹介するとともに、政府の考えを御紹介していきます。まず初回は、「なぜ開国なの?」などについて、解説してまいります。
<農業、工業ともに苦境>
なぜいま「開国」が注目されているのでしょうか。「開国」が注目を集める背景には、日本社会が直面する課題と、課題解決のための端緒がありました。
いま、日本では、農業も工業も大きな課題に直面しています。いま、日本の人口はほとんど増えていません。これから、人口が減ると、ものを買う消費者も減ります。食品も工業製品も、日本で売れる量が減っていくおそれがあるのです。
地域社会を見てみると、農業、工業、流通・サービス業はバラバラではなく、それぞれが深くかかわりあいながら、一体となって地域を支えています。
ですが、特に地方では、それぞれの地域の「働く場」が減っています。過去10年間で工場等が22万ヶ所も減り、製造業の雇用は300万人分も減少しました。この間、農業にたずさわる方々は高齢化し(平均66歳)、後継者は足りていません。過去15年間で農業所得は半減。農業人口も410万人から260万人へと、150万人も減りました。
<世界に広がる新市場>
こうした中で、世界に目を転ずると、中国やインドなどの「新興国」が急激に経済成長し、世界での存在感を高めています。
ある推計では、アジアの「中間層(注)」は、今後10年で10億人増え、20億人に。10年後、アジア全体での消費の規模は、日本の消費の3倍に達すると見られています。アジアの「中間層」は、将来、日本の製品を買ってくれるお得意先になり得ます。交渉を通じて、関税を下げてもらえば、日本の製品を有利に輸出できるようになります。
(注)ここで言う「中間層」とは、世帯の年間可処分所得が5000ドル~35000ドルの間の人たちのこと。
これまで関税を下げる交渉は、世界中の国が集まるWTOで行われ、日本は、世界に先駆けて関税を引き下げてきました。この結果、鉱工業品については、日本の関税は世界で最も低い水準です。
他方、WTOでの交渉が停滞する中、最近では、特定の国と国の間で関税の引下げや貿易・投資に関するルールを交渉する経済連携協定(EPA/FTA)がどんどん増えています。
経済連携協定は、協定を結んだ国の間だけで特別扱いするものですから、ある国が他の国と経済連携協定(EPA/FTA)を結んで、その国からの輸出品だけ関税を下げると、日本の製品を輸出する際に不利になってしまいます。
特に新興国との競争が厳しくなる中、新興国のみが経済連携協定を結んで関税下げのメリットを受けることになれば、日本からの輸出の大きな足かせになりかねません。
<意識の内向き化>
世界に広がる新市場 - それを目指すうえで、もう一つの課題が、日本人の意識が内向きになっていないかということです。これまで順調に伸びてきた日本から海外への留学生の数は、2004年の80万人余をピークに近年、減少傾向にあります。
海外に展開していくためには、まだまだ国際的に活躍できる人材が不足しています。
<「平成の開国」と4本の柱>
こうした中、アジア等の活力を取り入れ、農業も工業も商業も、中央も地方も豊かになる国づくりを目指す - それが「平成の開国」の考え方です。
具体的には、以下の4つを柱に総合的に取り組んでいきます。
① 食と農林漁業を再生する
② 世界で活躍できる人材を育てる
③ 経済活動の場としての日本の魅力を向上する
④ 経済連携を推進する
次回以降、これらの4つの取組みについて、具体的に取り上げていきます。