日本の制裁措置によって運航が止まっている北朝鮮の貨客船「マンギョンボン」号が、クムガン山への観光船として使われることが明らかになり、北朝鮮としては、日本との関係が膠着状態とあって、マンギョンボン号を観光事業に回して外貨を獲得したいものとみられます。
マンギョンボン号は、北朝鮮東部のウォンサンと日本の新潟を結び、在日朝鮮人が北朝鮮を訪れたり、生活物資を運んだりするのに利用されていました。しかし、2006年7月に北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことを受けて、日本政府が独自の制裁措置として入港を禁止し、それ以来、日朝間の運航は止まっています。北朝鮮の経済活動に詳しい貿易業者によりますと、北朝鮮は、マンギョンボン号を新たに観光船として使うことを決め、30日、試験的に日本海に面した東北部の港町ラソンから景勝地のクムガン山に向かうことが明らかになりました。ラソンは中国東北部に近く、北朝鮮は今後、多くの中国人ツアー客を呼び込む予定だということです。北朝鮮としては、日本との関係がこう着状態で、制裁措置が解除される見通しも立たないだけに、マンギョンボン号を中国人向けの観光事業に回して外貨を獲得したいものとみられます。