菅直人首相は29日、首相官邸で高木義明文部科学相と会談し、北朝鮮による韓国砲撃を受けて昨年11月から停止している朝鮮学校10校に対する高校授業料無償化適用の審査手続きを再開するよう指示した。無償化に見合う就学支援金の支給までには、文科省による実地調査などを経るため3カ月程度かかる。昨年11月の申請時点の在校生は計約1800人で、文科省は今春の卒業生約700人の救済措置も検討する。
朝鮮学校への適用審査停止を巡っては、教育を受ける権利や平等権が侵害されたなどとして、東京、愛知、大阪などの朝鮮学校で国家賠償訴訟を起こす動きがあり、9月初旬にも提訴する準備を進めていた。この日、会見した高木文科相は「北朝鮮と各国との対話の動きを踏まえ、首相は事態が砲撃以前の状況に戻ったと判断した。基準に基づいて粛々と審査を行っていく」と説明したが、退陣直前の判断だけに反発も予想される。【木村健二】
毎日新聞 2011年8月29日 14時03分(最終更新 8月29日 19時28分)