久留米市上津町の指定暴力団道仁会会長宅が26日未明、襲撃された事件を受け、現場が校区内にある小中学校では、夏休み中の児童・生徒の安全を確保するため、対応に追われた。
現場の南東約300メートルにある市立上津小(公文一秋校長、715人)では、集まった教職員らが保護者に電話で連絡。外出を控えるほか、現場など危険な場所へ立ち寄らないよう呼び掛けた。
学校近くでは3月末にも道仁会関係者が乗った乗用車が銃撃される事件があり、現場付近を迂回(うかい)して登校するよう指導している。小川明教頭は「今回の事件の背景はわからないが、子どもたちに何かあってからでは遅い。早く解決してほしい」と話していた。
同市藤山町の市立清陵中(原章校長、281人)では午前9時すぎ、部活動の練習で登校していた1、2年生約90人を体育館に集め、事件の概要を説明。その後、生徒たちは教職員が見守る中、下校した。
上津校区学童保育所でも保護者への連絡などに追われた。この日は児童約80人が集団で過ごしており、ある低学年の児童は「また発砲事件?」と不安げに話した。
堤正則・市教育長は「3月の銃撃事件に続き、このような子供の安全を脅かす事件が起こり強い憤りを感じる。新学期を迎えるにあたり、学校、地域、保護者、警察などと連携し、子供たちの安全確保に全力を尽くしたい」とのコメントを出した。
逮捕された容疑者の男(78)は手りゅう弾や機関銃などで武装していた。住民は「巻き添えの可能性もあった」と恐怖に震える一方、絶えない暴力団の抗争事件に、怒りの声を上げた。
現場近くに住む70代の無職の男性は「3月の銃撃事件以降、近隣に黒塗りの乗用車が頻繁に往来し、県外ナンバーも増えた。30年ほど住んでいるが、武装した人物がいると思うとぞっとするし恐ろしい。抗争はもううんざり。やめてほしい」と険しい表情。
10年前に付近に引っ越して来たパートの男性(60)は「暴力団幹部の自宅があると知っていれば、ここに住まなかった。こんな事件が続くと、不安で仕方がない」と動揺を隠しきれない様子だった。
〔筑後版〕
毎日新聞 2011年8月27日 地方版