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[27129] 【ネタ・習作】ドレイクの短編置き場(ティアナ魔改造2発目・更新)
Name: ドレイク◆f359215f ID:613a5057
Date: 2011/08/27 11:59
今度から、短編や一発ネタはここにまとめようと思います。
クロスが多くなると思いますが、基本的に作者はマイナーネタが好きなので、万人に受けるような話は書けないと思いますが、皆様のお暇つぶしの助けになれば幸いです。

7/31 スレッドのタイトル変更しました
8/27 ティアナ魔改造2発目投稿・なのはオリ主二話目を改定するために削除しました。



[27129] 【一発ネタ】フェイトを戦場の死神にしてみた【リリカルなのは×redEyes】
Name: ドレイク◆f359215f ID:613a5057
Date: 2011/04/12 00:18
どうも小説を書き始めてから、妄想を書きなぐりたい欲求が増大して困る。
というわけで、クロスとは名ばかりの、ありふれたリリカルなのはの設定改変話を書いてみた。


=================



――いたるところが破壊され見るも無残な様相を呈している研究所で、二人の女性が対峙する。


一人は、ウェーブがかかった紫の長髪を持つ妙齢の女性、稀代の天才魔導師、最強の魔女の異名で恐れられた、プレシア・テスタロッサ


もう一人は、金糸のような長髪を持つ、プレシアの娘、彼女の資質を余すことなく受け継いだ若き天才、ベルカ国防軍の若きエース、フェイト・テスタロッサ


だが、今の二人に流れる空気は、親子の間には相応しくない剣呑な空気だった。
そんな中、先に口を開いたのはフェイトだった。

「母さん、どうして……………・反乱なんか起こしたの」
「そうね、あなたにはすべてを教えるわ。――――――――そのための反乱だもの」
「えっ………」

プレシアの一言はフェイトにとっては、あまりにも想定外だった。
次元世界の中でも、ひときわ強大な大国ミッドチルダの脅威にさらされるかつての強国、だが今は一弱小国に過ぎないベルカ共和国の、陸・海・空三軍共同で設立した特殊部隊の訓練中に突如起こった反乱、それがただ、フェイト一人のために起こされたものだった。

あまりにも出鱈目なその話、だが、なぜかフェイトの裡には一つの確信があった。


――ヤメロ、ソレイジョウキクナ、ヒキカエセナクナル――


だが、フェイトはそれを力ずくで無視して続きを聞いた、聞いてしまった。


「それはどういうことです…………母さん」
「そうね、ならまずアリシアのことから話さなくてはならないわね」
「アリシア姉さん……」

プレシアがまず話したのは、フェイトには物心つく前に病で死んだと聞かされた姉の真相だった。
そもそも、アリシアは普通に生まれた存在ではなく、ベルカ共和国の軍部が現状打開のために生み出した人工魔導師、生物兵器だった。
正確に言えば、予定通りの資質を発現しなかったために廃棄された失敗作だ。
プレシアはその当時、軍部によって半ば強制的に研究に従事させられており、そんな中、情が移ったアリシアを秘密裏に引き取り、自分の娘として育てたのだった。

――姉の予想外にもほどがある生まれに絶句するフェイト、だがそんなものは序の口だった。

「だけどそんなのは関係なかった、アリシアは確かに私の娘だった。だけど、アリシアの生まれはアリシアに平穏はもたらさなかった、都合のいいサンプルとしてアリシアを狙う輩はいくらでも存在し―――――」

プレシアはそこで、数瞬沈黙した後、悔恨に顔をゆがませながら言った。

「―――――私は、アリシアをそんな輩から、守れなかった」

プレシアの独白はまだ続き――

「そのあと私は、アリシアの死を認められなかった、認めたくなかった―――――だからプロジェクトF.A.T.Eなんてものにもすがった、その結果フェイト、あなたが生まれたのよ」

――フェイトはアリシアの代替品だと告げた

続けざまに告げられる真実に、フェイトの頭は混乱に包まれながらも、それでもフェイトは告げる。


「それでも、私は!! 母さんの娘です!!」


そんなものは関係ないと、自分はプレシア・テスタロッサの娘だと。
その言葉にプレシアは苦笑する。


「そうね、私も最初はあなたを娘として愛したわ、だけど、成長するに従いわかってきたあなたの素質、アリシアが生み出された計画でも成功と判断されるほどのものが、私を打ちのめしたわ―――――私の娘には平穏は訪れないのかと」

顔から表情が抜け落ちながらも、なお独白を続けるプレシア、その様はまるで罪人のよう、いや正しく罪人なのだろう。

「そう思った時、私は八つ当たりかもしれないけど、ベルカという国そのものが憎くなったわ。ベルカが弱国でなければ、あんな馬鹿げた計画も、それに私の娘が翻弄されることも無かったかも知れないと!!」

まるで泣いているかのように見えるプレシアの顔を見ながら、フェイトは言う

「それとこの反乱、何の関係があるっていうんですか!!」
「大ありよフェイト、それはね、ベルカを根本から作りかえる存在としてあなたを作りかえるためよ、あなたは周りから優秀な魔導師と思われているみたいだけど、あなたは甘すぎる、それではいけないわ」


そう言って愛用のデバイスを突き付けるプレシア、同時に大量の魔力弾がプレシアの背後に出現する。


―――――照準は、すべてフェイトに向けられていた。


反射的にフェイトも、愛用のデバイス『バルディッシュ』をプレシアに突きつける、だが、フェイトの心情を現すかのように切っ先は震えていた、討ちたくないと無言で示していた。


「―――――どうして、どうしてっ!! 私なんですか、母さんっっ!!」


「あなたの力は私がよく知っているし、それに、あんな馬鹿げた計画が生み出したものがベルカを変える―――――中々皮肉が利いていると思わない?」


――直後、皮肉げな笑みを消し、冷徹な表情でプレシアは告げる。


「さあっ!! 私を討ちなさいフェイト、それで私の目的は完遂される!!」


「いやっ!! いやです母さん!!」


駄々をこねる子供のように、フェイトは泣き叫ぶ、しかし、プレシアは眉ひとつ変えることはなかった。


「ならば、死ぬことね」


そしてプレシアの魔力弾が発射され、研究所の室内は閃光に包まれる。
光が消えた後に残ったのは、強力無比な攻撃を、最悪な精神状態の中でも本能的に防ぎ切り、反撃までしてみせたフェイトと――――


――――望みを完遂し、安らかな顔で永久の眠りに就いたプレシアが残された。


望まぬ親殺しを行ったフェイトの顔からは、感情というものがすべて消え去り、眼から滂沱の涙を流していた。


「あ、あ、ああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァッッッッ!!!!」


――そして響くフェイトの絶叫、脳内には母親の最後の一言がいつまでも残っていた。



―――――生きなさい、フェイト―――――



それはまさしく、最強の魔女が残した、最悪の呪いだった。


=================


「時間だ、起き給えフェイト・テスタロッサ」


無機質な、だが怯えを隠しきれない看守の声で、フェイトはまどろみから目覚めた。
夢の時とは違い、少女の面影は消え、こんな監獄にあってもなお鮮烈な美貌を放つ美女になっていた。


「気分はどうかね、ベルカを裏切り、ミッドチルダに祖国を売り渡し、処刑されるというのは」


看守の問いに、フェイトは慈愛の笑みを浮かべる、それはこれから死にゆく看守たちへの、慈愛の笑みだ。


「そうですね、とても最高です、――――――これで続けられる、私の戦争を」


「なっ、何を言って!?」


刹那、舞い上がる鮮血、その出所は、フェイトの魔力を纏った手刀によって斬り落とされた、警備兵の首からだった。
あまりの早業、しかし、看守にはそれに驚く時間はなかった、首筋に突きつけられる手刀、同時に首筋に吐息が当たるぐらい間近に、妖しげな笑みを湛えながらフェイトが問いかける。


「ひとつ聞きたいことがあります、クロノ・ハラオウンは今どこにいますか」
「クロノ・ハラオウンだと!? しっ、知らない、あいつは今ミッドチルダ軍にいる!!」
「どうしてですか、なぜ彼がミッドチルダに?」
「あっ、あんたを捕縛した功績を使ってミッドチルダに取り入ったんだ、こ、これでいいか」


まるで猛獣、いや看守には正しく猛獣に見えているのだろう、に押し倒されたかのように動揺する看守。
それに対し、フェイトは慈愛の笑みを崩さず――


「―――――ええ、ありがとうございました」


――しかし、無慈悲に看守の首を断ち切った。


その後、返り血をふき取ったフェイトは、看守の羽織っていた黒のロングコートに着替えると、悠然と監獄から歩き去って行った。
彼女の目的は、かつてのベルカとミッドチルダの戦争中に自分を裏切った副官、クロノ・ハラオウンへの復讐、そして――――


「私の<母さん>の、戦争<戦い>はまだ始まって<終わって>いない――――」


―――――呪いの完遂だった。


そして加速する歴史、フェイトはその中心に立ち続ける、母親の望み通りに、その中で出会う様々な戦士


=================


「私はただ、必要とされるために、戦場に立ち続けている、自分は無意味な存在ではない、その実感がほしいから」

ミッドチルダ軍のエース、砲撃の使い手、白き災厄


――高町なのは――


=================


「なんなのクロノ君、ただの人間が魔導師を圧倒するなんて…………」
「ああ、エイミィには紹介してなかったな、彼は僕の個人的なボディガードさ」
「ボディガード?」
「そう、だけどただのボディガードじゃあない、そのあまりにも異質な剣技によって、魔導師すら圧倒する彼は、見る者によっては悪夢に見え、いつしかこう呼ばれるようになった、死を呼ぶ悪夢――――<ナイトメア>と」

世界最強の剣士、死を呼ぶ二刀、――――悪夢<ナイトメア>


――不破恭也――


=================


「さていこうかみんな、ベルカを、私たちの国を取り戻す!!」
「了解しました、主、あなたの道は私たちで切り開きます」
「そうだぜ、はやては、気にせず前へ進めよな」
「ええ、後ろは私たちにお任せを」
「無論、主には傷一つ負わせません」
「ありがとうな、みんな」


最後の夜天の王、群雲の騎士団<ヴォルケンリッター>を率いるもの


――八神はやて――


=================


彼女らとの出会いが何をもたらすのか、歴史はどこへと進むのか、その答えは戦場の先にこそある。






というわけで、リリカルなのはにredEyesを当てはめてみた話でした。
ちなみにこの話を思いついた理由は、フェイトって見た目死神で、愛用の武器の名前がバルディッシュだからだと言ったらみんな怒るだろうか。




[27129] 【一発ネタ】血界戦線×宵闇眩燈草紙
Name: ドレイク◆f359215f ID:613a5057
Date: 2011/05/02 20:12


「あ~かったりぃな、まったく」


そう呟く一人の男、黒のロングコートに身を包み、右目には眼帯を付けた男だ。
紙巻き煙草を燻らせ、紫煙を垂れ流しながら歩く姿は、全身全霊でやる気の無さを体中から漂わせていた。

その男の向かう先には町があった――


その一言だけならば、何の変哲もない。しかし――
その地の名前が、その行為から「普通」というものを奪い去っていた。


白く深い霧に包まれ、人も、人ならざる異形の者も、ひとしく闊歩する混沌の町。その名を――



――ヘルサレムズ・ロット――


現世と奈落、現世と幽世、現実と異常を混ぜ合わせた、混沌の町の名だ。
この街ができたのは三年前、当時ここにはニューヨークという名の都市があった。そしてある夜――


一夜にして壊滅し、浸食され、再構築された。


そうして出来上がったのがこの町だ、そしてこの町には多種多様な者が集まっている、今まで伝承の類としか扱われなかった化け物や魔術、それらを手に入れるために、あるいは対抗するために持ち込まれた、世界最新鋭の科学技術、そしてそれらが混ざり合ってできた全く未知の何か。
いまではこの町の均衡が崩れるときは、世界全体のバランスを崩れるといわれるほどだ。
そんな状況のこの町に来るということは、物見遊山を気取り、調子に乗った阿呆か――


「ガハハハッ!! よう兄ちゃんこの町は初めてかい? よければ案内してやろうか」


そう言い放つのは巨漢、しかし、その体躯は人類の範疇にはおさまっていない。
優に五メートルはこすその身長、体の表面は肌ではなく、硬質のうろこに覆われ、とどめとばかりに腕が六本生えている。
どこからどう見たって人間じゃあない、というか体格は別にしても、人間と判断できるものはこれっぽっちもありゃしない。
これを見て人間だと言い放つ馬鹿は、眼科に行く前に眼球をとりかえることをお勧めする。
そんな、いかにもなやつを目の前にしても、コート姿の男は怯むそぶりなど一切見せずに対応した。


「悪いが、いらねえわ」


そう言って立ち去ろうとする男、その態度を舐められたと思った男は、その巨腕を振りかぶった。
巨漢の剛腕はうなりをあげる、こんな代物にかかれば人一人など、ミンチを通り越して地面に叩きつけられたトマトのようになるだろう。


「おいおい、人が下手に出てりゃあつけあがりやがって、これはちと、躾が必要だよなあ」


いやいや、そんなもので躾をされれば、あんたじゃなく、地獄の閻魔大王に躾を喰らうこと必至だろう。
それがギャラリーの認識だった。それは巨漢も同じこと、唯一人コートの男だけは違うことを思っていた。


――めんどくせえ――


やる気のない雰囲気はそのまま、コートの男は右腕をふるった、無手だったはずの右手にはいつの間にやら日本刀が握られていた。
直後、ゴトリ、という音を立てて地面に堕ちる巨漢の右腕、赤ではなく緑色の体液が地面を濡らしていた。
それを見るや否や、巨漢は絶叫をあげた。


「ギャアアアアッ!! いっ、痛ええっ!!」
「あっ、ワリィ。峰打ちしそこなった」


悲鳴を上げる巨漢に対し、コートの男はまるで、ちょっと肩がぶつかったぐらいの気安さで、一応謝って立ち去って行った。その右腕は再び、無手に戻っていた。


もう一度言おう、この町に来るのは物見遊山を気取り、調子に乗った阿呆か――


――生き残れるだけの何かを持った、逸脱した何かを持った奴だけだ。


=================


「外からの増員ですか?」


ここはヘルサレムズ・ロットの均衡を保つために設立された秘密結社『ライブラ』の事務所。
そこで間抜けな声をあげたのは、この異形・魑魅魍魎が跋扈するこの町の均衡を保つという、この組織にはそぐわぬ雰囲気を持つ、見た目は普通の青年。
名前はレオナルド・ウォッチ、ひょんな事からライブラに所属する事となった青年だ。
とある特殊な力を持ってはいるが、戦闘能力は一般人と変わらない、何か事件があるたびに死にそうな目にあっている、不幸極まりない青年である。


「うむ、外のスポンサーの一人からの要請でね」


答えたのは一人の偉丈夫、メガネをかけ、髪は赤色、口元には牙のように伸びた犬歯。
彼の名はクラウス・V・ラインヘルツ、秘密結社『ライブラ』のリーダーである。
彼によれば、この組織を構成するスポンサーの一人、表向きは小さな古道具屋を営む一人の女性が、昨日いきなり言ってきたらしい。
なんでそんなことを言ってきたのかは不明、まあ、実力のほうは折り紙つきらしいので、クラウスのほうには断る理由もなく、その申し出を受け入れた。
そして今日、その人物がこの町にやってくるらしい。


「なんて名前なんですか、その人は」
「ああ、確か長谷川――――」


クラウスがそこまで言いかけた時、テレビの画面が突如切り替わった。
写しだされたのは一人の男だ、椅子に優雅に腰掛け、顔は口元以外を仮面で覆っている。
見た目からでは、そう脅威を感じないような風貌、しかし、この町の住民ならば、この男に必ず脅威を覚えるだろう。


男の名は『堕落王』フェムト、ヘルサレムズ・ロット稀代の怪人にして、千年にわたるときを生き、あらゆる魔道を極めたとさえ噂される男だ。
数日前にも、暇つぶしの為だけに邪神を召喚しようとした男であり、今度はどのようなことを言いだすのか、二人の間には戦慄が広がった。
そして、ヘルサレムズ・ロットの住人すべてが注目する中、フェムトはその口を開く。


「やあ、ヘルサレムズ・ロットの住人たちよ、元気にしてたかな、僕は相変わらず退屈しているよ」


大仰な身振りをしながらフェムトの言葉は続く。まるで指揮者のように、この町に悪徳と災厄を振りまくための言葉を紡ぐ。


「期待してくれる皆さんには申し訳ないが、今日はただ、古い友人をこの町に招くだけなんだよ。――――もうすぐ、来ると思うけどね」


しかし、告げられた言葉はそれのみ、それのみでテレビ画面は復旧し、通常の番組へと戻った。
まるでたちの悪い悪戯であるかのように、いつも通りの番組を流すテレビ画面。


「まさか………、これで終わりですか!?」


このまま終わってほしい、そんな淡い希望を抱いてレオナルドは言う。
このまま性質の悪い悪戯で終わってほしい、と――



――――否、性質の悪い悪戯は、今から起こるのだ。



=================



同時刻、ヘルサレムズ・ロットの中心、『永遠の虚』の真上にて――


一寸先さえ見通せぬ、白き霧の闇の中、その闇が狂狂と、グルグルと、うねりをあげて渦を巻く。
やがて渦は穴となる、異界へと通じる穴へと、かつてこの大陸に存在していた。


シホイガン、という名の町にあった異界の穴と同じものが、だ――――


そして現れるは一人の男、一見では肥満体と見間違えそうな、しかし、長き時に渡り鍛え上げられた鋼の肉体、それを包むは白のスーツ、目元には丸型レンズのサングラス。
男はまるで、久方ぶりの外の空気を味わうかのように、深く深く深呼吸をした後、堪え切れぬ笑いを開放し、力の限り歓喜の声をあげた。


「フ~ハハハハハァ~、やっと私は帰ってキタネ~!!」




<あとがき>
今日血界戦線を買って読んでいたら、この組み合わせが浮かんできたんだ。
このデブならヘルサレムズ・ロットにいても、違和感ないと思う。





[27129] 【一発ネタ】血界戦線×宵闇眩燈草紙【二発目】
Name: ドレイク◆f359215f ID:613a5057
Date: 2011/05/03 11:13
今回の話は、lazy様の感想の一言がきっかけで生まれました。あんなことを言われては書かざるを得ない。





「ああん? 変な奴が暴れてるだあ?」


混沌の町ヘルサレムズ・ロットの均衡を守る、超常秘密結社『ライブラ』のメンバー、ザップ・レンフロは行きつけの飲み屋にて、店員からそう言われ泣きつかれた。
そんな七面倒臭い事をやる気にはなれなかったが、店主の方からいままでたまったつけを盾に盗られては従う他なく、ザップは飲みかけの酒が入ったグラスをカウンターに叩きつけると、店のドアを勢いよく開け放ち、件の阿呆を使って盛大に八つ当たりをしてやろうと思っていた。


そして、店員に案内された先にいた、その阿呆の姿が目に入った、それは――――


「…………熊?」


そりゃもう熊だった、完全無欠に熊だった、どこからどう見ても熊だった。
外の世界でも動物園にでも行けばだれでも見られるぐらい、普通の熊だった。
しかし、その足元にはこの町の住人が佃煮になるぐらい、のされ、ぶちのめされ、叩きのめされて積み上げられていた。


(いやいやおかしいだろう、この町の住人ならこんな熊の一つや二つ、余裕を持って叩きのめすぐらい造作もなくやってのけるのはごろごろいるだろうが!?)


見たところほんとにただの熊だった、この町特有の新種の生物でもなさそうだ。そんなザップの疑問をよそに熊が動いた。
どこぞのカンフー映画のように右腕を持ち上げ、チョイチョイと手首を動かしていた。
見事な挑発だった、なんで熊が挑発するんだよとかそういう突っ込みは置いといて、気が短くチンピラ気質のザップは当然、このふざけたクマに対し職場のリーダーに日頃するときのように殴りかかった。
褐色の拳の砲弾が眼前の熊(?)に襲いかかる、熊どころかこの町のそれなりに実力を持った住人でさえ有効打になりそうな一撃だ。


しかし、その一撃を、眼前の熊はあろうことに――――


飛んできた蜂を叩き落とすかのごとき気安さで叩き落とす、漫画ならぺしっ!! とかいう感じの気の抜けた擬音が付いていることだろう。


「…………はい!?」


それにつられてザップも気の抜けた声を漏らす、しかし、それは眼前の熊(?)の前では致命の隙だった。
お返しとばかりにうなりをあげ、今放たれるは必殺のベアクロー、それは狙い過たず、間抜け顔をさらすザップの顔面にジャストミートした。
そのままザップは軽く五メートルは飛ばされた後、盛大に顔面から着地した。
その見事なK・Oシーンに周囲の観客は言葉を無くす、なにせドグシャアッ!!って感じで顔面から落ちたものだから、いや~な沈黙が場を包んだ。


「何すんじゃあっ、ゴルアァッ!!」


むくり、と血まみれの顔で起き上がるザップ、よもやただの熊がここまで強いとは、その油断からクリーンヒットを喰らった自分の阿呆さ加減と、それを行った眼前の熊に対して怒りをあらわにする。
その醜態を見て気分がいいのか、ザップを鼻で笑い見事なドヤ顔をする唯の熊。
断言しよう、これ絶対唯の熊じゃない、こんな熊がいてたまるか。


「OKOK、ちょっとばかり油断してた見てえだ、だからこれでぼこる!!」


そう言って握りしめるザップの右拳から血が流れ出る、ゾルゾルと、ゾルゾルと、流れ出る血は地面に滴り落ちることなく重力に逆らい形をなす、その形状は刃、血で形成した日本刀だ。


「斗流血法、――――刃身の一、焔丸」


…………明らかにぼこるためではなく、ナマス切りにするための技だと思う。
そんな周囲のツッコミをよそにザップは血の刀を振りかぶり、神速の踏み込みを持って熊に斬りかかる。
振り下ろされる紅き剣閃、血で形作られた刃は熊の生血をまき散らさんとするが、しかし、熊はその血刃を剛腕の先の爪でもって、見事にいなした。
武術の達人もかくや、というほどの技のキレを見せつけたクマは、返礼とばかりにもう片方の腕で、再びベアクローを繰り出した。
その爪先を鼻先にかすらせながらも避けたザップは、振り下ろした刃を手首を返して振り上げ、下からの斬撃を繰り出す。
それを熊はあろうことに、見事ジャンプからの後方宙返りでよけてみせた。ほんとに熊かこいつ…………
着地したクマはそのまましゃがみ込み、そこから地を這うような踏み込みを見せ、地面を巻き込みながらの薙ぎ払いを繰り出す。
それをザップはジャンプしてよけるとともに、内心でほくそえんでいた。


(今この熊は、無防備な背中をさらしてやがる、所詮は獣……底が浅いなぁ。クックックッ……このまま串刺しにして熊鍋を食ってやらぁっ!!)


そんな思いは、むなしく地面に突き刺さる血の刃によって霧散する。
熊はその巨体に見合わぬ俊敏な動きで地面を転がり、ザップの上からの一突きを避けてみせたのだ。


「…………はい!?」


またもや間抜けな声を漏らすザップ、当然この後に続くのは先の焼き直し、強烈なるベアクローだ。
吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられ、瓦礫の山に埋もれるザップ、体中に襲いかかる激痛の中、ザップの怒りは極限に達していた。


(アンの熊野郎、わざと隙を見せやがった!! わざと隙見せて俺の動きをコントロールしやがって、じゃあ何か、俺は獣風情に手玉に取られるほどに単純だって言いたいのかぁっ!!)


ゆらり、とまるで幽鬼のように立ち上がるザップ、その体は誰の目に見ても満身創痍である。
しかし、その眼にはいまだ闘志がともり、まだ戦う気でいることを存分に告げていた。


「もういい加減、オレも我慢の限界だ、これで燃やして焼いてやる。ああ――――安心しろ、ちゃんと残さず食ってやる、だからおとなしく焼き肉になっちまえ!!」


そう宣言したザップの周囲を、糸状になった血が浮遊する、直後、その血の糸はまるで生きているかのように熊に襲いかかった。
まるで雲の巣のように、血の糸は熊を包む、紅き繭が形作られるとともに、ザップの呟きがこだました


「――――・七獄」


同時に、いつの間にやらザップの右手にはジッポーライターが握られ、そのライターの火は血の糸を伝い、紅き繭を燃やしつくす。
火球に包まれる熊、誰もがこれで決着がついたと思ったが、それは甘かった。


「グウォオオオオォォォッ!!」


咆哮一閃、世界すべてを揺らしてしまいそうなほどに響き渡る熊の雄たけび、それにより、ザップの作りだした火炎は、あっけなく、あっという間に霧散した。
ただそれのみで危地を脱した熊は、憮然とした顔で体に付いた煤をはたき落とす。


「うっそぉ~~!?」


その光景にザップは三度、間抜けな声を漏らし、三度ベアクローが揮われ、限界寸前だったザップの意識はそれによって断ち切られた。
それを成したただの熊は、悠然と夜の闇に消えていった。


――――誰が知ろう、この熊こそは長寿の十三人『エルダーサーティーン』の一人馬吐呑と互角に渡り合った術師、長谷川寅蔵すらを必殺のベアクローで叩きのめした伝説級の、唯の熊だ。(いや、それ絶対ただの熊じゃないよねというツッコミは無しで)


後日、この映像が職場の仲間に流出しザップは盛大に笑われたそうだ、特にチェィン・皇が一番ひどく爆笑していたそうだ。



<あとがき>
この世界ならデブは確実に長寿の十三人の一人だと思う、ならばそれを曲がりなりにも撃退している寅蔵を叩きのめしたこの熊の実力、推して知るべし。






[27129] 【一発ネタ】ガンダムSEED改変・まともなザフト
Name: ドレイク◆f359215f ID:613a5057
Date: 2011/06/25 00:30


ここのメイン掲示板を見てたら無謀にも、まともなザフトをを書いてみようと思った。
一発ネタでかなり短い上に、設定改変がありますので、お読みになられる際はご注意を







物語の始まりは、人類が増えすぎた人口を支えるため、宇宙開発に希望を見出し、しばらくが過ぎたころ。


――ジョージ・グレン――


その男はまさしく、掛け値なしの天才だった。
機械工学、医学、スポーツ、挙句の果てには兵士としてまで……様々な分野で圧倒的な業績を残した一人の男。
彼は、宇宙開発という先の見えない道を歩む人類社会にとって、燦然と輝く太陽のごとき存在だった。
故に、世界の最果てへと旅立つリーダーとなったのは、必然だったのだろう。


―― コーディネーター ――


自然のままではなく、人の手が加えられ生み出された、あってはならぬ存在。
医学技術が進歩した今でも、その行為は社会倫理的に許容できない――――筈だった。
ジョージ・グレンという光が、その影を眩ませてしまった。
彼が何を思い、自身の存在の根幹を、製法を全世界に公開したのかは定かではない。
あるいは――――、同族が、偽りなく関係を結べる同族がほしかったのかもしれない。


ヒーローになれる、あの頂に到達できるのかもしれない。


コーディネーターという存在に社会倫理、人類社会が長きにわたり築き上げた道徳観念故に拒否感が蔓延る中にも、そう思う人々は少なからずいた。
世界が変わり始めたのは、この時だったのだろう。


新たな人種が、――――新たな火種が生み出された。




一定以上にまで膨れ上がったコーディネーターに、地球の先進国がとった方法は端的に言えば隔離だった。
各種法整備、遺伝子改良を施されず自然のままに生まれてきた旧来の人種、ナチュラルとの軋轢、そう言ったことに手を焼いていたのは、どこの国家も同じだった。
故にまとめて隔離する、いたってシンプルな手段だった。


問題となったのは場所だった。


矢面に上がったのは、先進国が共同で建造した技術開発用新型コロニー群、次世代人工居住地の頭文字をとって、「プラント」と呼称される砂時計型のコロニーは、まさにうってつけだった。
コーディネーターのほとんどは、現在学術・研究関連に従事しているものがほとんどだ。
その理由としては、当初はその恵まれた素質を生かすために、頭脳労働、もしくはスポーツ関連に進むコーディネーターがほとんどだった。
しかし、スポーツ界において、「遺伝子に手を加える行為はドーピングと同じく、協議の公平性を損ねているのではないか?」、そう言った意見が噴出したため、コーディネーターのスポーツ選手はどのような競技においても、その姿を消すこととなった。
その結果、コーディネーター=優れた技術者集団という図式が成立したのだ。
厄介物の集団を、金の卵を産み落とすかもしれない雌鶏に変える一手は、プラント出資国すべてがとることとなり、地球圏に住むコーディネーターは、その殆どが半ば強制的にプラントに移住することとなった。


だがそれですべてが解決した、というわけにはいかなかった。
プラントはコーディネーターが移住する前から稼働を開始している。つまりはナチュラルもプラントの住民であり、プラントという閉鎖環境での軋轢は瞬く間にその苛烈さを増していった。
多数の負傷者や死者まで発生することとなったこの事態に、プラント出資国は共同での宇宙艦隊を派遣・駐留させた。(これが後の地球連合の前身となった)


しかし、それでもなお、プラントの政情不安は解消されず、いつしかプラントは、その資源価値と政情不安から、「第二の・宇宙の中東」とまで呼ばれるようになっていった。


このころになると、プラントのコーディネーターの住民たちは、平穏な暮らしの為にはプラントの住民はコーディネーターに限定すべし、という意見で纏まっていた。
半ば追いやられてプラントに居を構えている彼らにとっては、この人工の大地以外ゆく処がなく。
故に、それを成すための自治権の要求運動は当初から猛烈なものであった。初めから背水の陣を敷いていたともいえる。
そして、それを出資国側が強権を持って押さえつけ(これには国内で予想以上に反コーディネーター感情が高まっており、下手にコーディネーター保護政策を打ち出せない、というのもあった)、さらにコーディネーター側の自治権要求運動の過激さを増していくという悪循環となっていた。


この時、コーディネーターの中には二つの勢力があった。
パトリック・ザラがリーダーを務める強硬派、シーゲル・クラインがリーダーを務める穏健派である。
一見、水と油のように思える二つの勢力だが、ある一点においてのみ足並みをそろえていた。


――――武力でもって、プラント駐留艦隊に打撃を与える――――


過激派はともかくとして、穏健派もこの一点に賛同しているのには勿論理由がある。


コーディネーターの交渉能力の低さである。生まれた時から輝かしい人生を歩んできた彼らにとっては、何よりも経験こそがモノを言う交渉事というのは、コーディネーターであるが故に苦手としており、おまけに人脈・情報網ともにお粗末としか言いようがなかった。
そんな状況であるからして、出資国側との交渉は惨憺たるものであった。
老獪な狸、そうとしか言いようがない外交官の手練手管に、幾度となく煮え湯を飲まされ続けてきたシーゲルたち穏健派は、流れを変えるための戦闘行為を過激派よりも切望してやまなかったのだ。


問題は攻撃手段であった。
技術者集団ゆえに、先進軍事機器に関わるものも少なからずいた彼らにとって、知識・データこそはあったものの、軍事兵器の現物入手はどうあがいても無理だった。
そこで彼らは、船外作業用の人型重機に目を付けた。各種推進機材のテストヘッドとしても利用していたため優れた機動性を持ち、各種工作機械を使用するための高性能マニュピレーターを持つそれは、まさにうってつけのものだった。
そうして彼らは、その人型重機に搭載するための専用銃火器の製作を開始した。
搬入資材の水増し、監査の目を盗んでの工作機械の無断使用、勿論即座にできるものではなく、一通りの準備を完了させたのは、人型重機の軍事仕様を決定してから、優に二年の後だった。




――――C.E.69年、蜂起の時が訪れる。




暴動などが多発していたため、歩兵戦力は充実していた駐留艦隊であったが、宙間戦力は形が整えられていただけであり、想定すらしていなかった人型重機による奇襲に、一方的な敗北を期することとなる。
敗北といっても、プラントの港湾部に停泊していた艦隊の艦橋に密造銃を突きつけ降伏させただけであり、一発の銃弾も撃ってはいなかったのだが――――


その後、プラントのナチュラルの住民を強制退去、武装解除させた駐留艦隊に送り届けさせ、コーディネーター初の武装蜂起は、一滴の血が流れることもなく、一人の死傷者もなく、理想的な成功を収めた。




後にこの事件は、”プラント無血占拠事件”として歴史に名を刻むこととなる。




この事件の後、コーディネーターとプラント出資国の緊張は、コーディネーターがプラント出資国以外の国家を抱き込み、世界を二極化することになるのだが、それは別の機会に話すことにしよう。




ちなみに、”プラント無血占拠事件”で人型重機のパイロットを務めていた人物が、こんな言葉を残している。


「――――ほんと、一発も撃たずに成功してよかったよ、一回も試し打ちしていない銃器なんぞ、撃ちたくなかったからな」









<あとがき>
まあ、一発ネタなんで、この後の展開なんてろくすっぽ考えちゃいないんだけどな。
ただ、この先を書くとすれば、血のバレンタインは起こってもエイプリルフールクライシスは起こらないだろうけど。




[27129] 【一発ネタ】ティアナ・ランスターを本当に魔改造してみた
Name: ドレイク◆f359215f ID:613a5057
Date: 2011/07/15 14:17

【一発ネタ】ティアナ・ランスターを本当に魔改造してみた












燃え盛る炎の中を、消化装備と防火服に身を包んだ二人の人影が突き進む。
一人は魔力駆動式のローラーブーツと、右手に装備したガントレット型のデバイスで瓦礫を破砕しつつ、道なき道を突き進んでいく。
もう一人はその後方から、両手に携えた放水銃と魔力カートリッジ内蔵型の銃型デバイスで、的確な消火活動を行っていた。
熟練者から見ればまだまだ粗い部分はあるが、息のあったコンビネーションはこの二人の絆の確かさを克明に見る者に伝えていた。

「ティア~、瓦礫の破砕完了したよ!!」

その二人の内の片方、瓦礫を破砕していた人物が、この状況下にあってもなお明るさを失わぬ声色で相棒に呼び掛ける。――――もっとも、相棒曰く、基本的にあいつは馬鹿だから、らしい。

「んじゃ次は、右前方10メートルに生命反応があるわ、そこまでのスキャン結果を転送するから破砕お願い」
「了解っ!!」

威勢のいい応答の声をあげる少女――スバル・ナカジマ――にデータを送った相棒の少女、ティアナ・ランスターは吶喊していくスバルをカバーするために放水銃を放ち、スバルに襲いかかる炎のことごとくを文字通り消し飛ばしていく。
命の危険はあれど、順調に進んでいく二人。
自分たちが死ぬことなど考えてもいないのかもしれない、それが悪いということはないだろう、そうやって自分の前には可能性があると信じ、日々の生活に励む。それは至って健全な命の輝きだった。




――――だが、そんな輝きを一瞬にして飲み込む災禍があるのもまた事実。




そもそも、今回このミットチルダの湾岸部にある大型倉庫群で起こった火災は、この倉庫の一部を違法な物品の密売に用いていた犯罪組織が、管理局の強硬捜査から証拠を消すために破れかぶれで行った、端的にいえば自爆だ。
そして、その犯罪組織が取り扱っていた物品の中には、過去に滅んだ文明の遺産、ロストロギアをも含んでいた。
さて、そんな状況の中、自爆なんぞを行えばどうなるか……素人目に見ても愉快の一言では済まされない事態が起こるのは確実だった。
ティアナとスバルにとってはさらに不幸なことだが、今回の強硬捜査は複数の次元世界にまたがる犯罪を取り締まる次元航行部隊、通称「海」の主導で行われており、ミッドチルダの地上部隊にその詳細が伝わっていなかったことだ。
故に、ティアナとスバルの所属するこの部隊も、今回の件をただの火災としか認知しておらず、最悪な地雷が埋まっているかもしれないことを欠片も知りはしていなかった。




「それ」は唐突に起こった。




管理局員ならば、誰もが知っている。しかし、その眼で見たものはごく僅か。
その災禍の名は、――――次元震といった。


「――――スバル、危ないっ!!」
「え!?」


最初に気付いたのはティアナだった。幸か不幸か次元震の規模はごくわずか、しかして二人を飲み込むには十分な大きさを持つそれに対し、ティアナは反射的にとった行動は、無二の相棒を助けることだった。
口では貶しながらも、親友といえる少女を助けるために地獄に飲み込まれ、意識を失う直前にティアナが見た物は――


「ティア――――――――!!」


自身の名前を、必死で叫ぶ親友<相棒>の姿だった。




=================




「――――ここ、は?」


浮上する意識。視界に写るのは全く覚えのない光景。倉庫の群れを舐めつくす炎の群れなど欠片も無く、防火服越しに床のひんやりとした冷たさが伝わってくる。

「私は…スバルと一緒に消火活動をしてて……」

靄がかかったように不鮮明な意識を手繰り、目覚める前のことを思い出していく。
確か…そのあと、いきなり――――

「そう………だ……………………私、次元震に飲み込まれて」

デバイスからの自動警報が念話の形で脳内に鳴り響く中で、私が最後に見たのは、悲痛な顔でこっちを見つめるスバルの顔。

「あの馬鹿…死んでないわよね」

そうでなきゃ、私が次元震に飲み込まれた意味がない。あの馬鹿は頑丈な体だけが取り柄だから、そう心配はしてないけど。
それより心配するべきは私の状況だ。見たところ何らかの研究施設だろうか、何に使うかわからぬ機材が所狭しと並べられている。

「とにかくここから動いて、誰か探さないと」

私はとりあえず、現状無用の長物となっている防火服を脱ぎ捨て、きしむ体を無理やり動かし立ち上がった。
とりあえずを誰かを探してここがどこなのかを調べよう、床を見れば誇り一つ無く清潔に保たれていて、明らかに人の手が入っていることを教えてくれる。ここが無人の施設ということは、まずあり得ないだろう。
そう考えた私は、まず目の前にあった扉に近づき、近くにあったコンソールを調べていく。
コンソールのディスプレイに流れる文字列は私の知らない言語で構成されていた。地図の一つでも見つけることができたのならよかったけど、これでは望みは薄そうだ。


そうしていると、突然扉が開く。


よかった、誰かがきた。そう思った私の目に飛び込んできたのは黒光りする金属の筒を四本束ねた、ミッドチルダではまず目にかかることはない質量兵器。


ガトリングガン、だった。


とっさに私はあまり得意ではない身体強化を行使、いきなりのことに混乱しながらもなんとか物陰に潜り込むことができた。
直後、さっきまで私のいた場所をガドリングガンが弾雨を降らせ、床一面に無数の弾痕を刻む。
ちょっとでも反応が遅れていれば、そうなっていたのは自分だった。背筋に怖気が走る。
警告も無しに、いきなりの実弾発砲、明らかに私を殺すつもりだ。――――冗談じゃない!! 次元震に巻き込まれても落とさなかった私の命、こんなことで奪われてたまるもんですかっ!!

「まずは、どんな奴が相手なのか確認しないとねっ……」

物陰から顔をのぞき、先程銃撃をかましてきた馬鹿の姿を確認する。
その姿は二本の逆関節の足で自立する機械。武装はどうやら先ほど撃ったガドリングガンのみらしく、見た目では他の武装の存在を確認できなかった。
おそらくはこの施設の警備用のガードロボなのだろう、しかし、警告も無しの発砲をすることから、どうやらここは相当後ろ暗いことを行っている施設なのかもしれない。
まあ、そんなことはどうでもいいか、とにかくあいつをどうにかしないことには始まらない。
とりあえず私は相手の性能を見るために誘導弾を二発発射。オレンジ色の魔力弾がガードロボを左右から挟み込むように襲いかかる。
しかし、ガードロボは的確な狙いで魔力弾に対し、ガドリングガンで迎撃。弾丸と接触した魔力弾は術式を崩壊させ、小規模な魔力爆発を起こす。

「あっちゃ~、迂闊に出ていったらハチの巣ね、これは……」

予想以上に高い迎撃性能に、私は苦虫を噛み潰しながらも次の手段を構築。
とはいってもシンプルな方法で、まずはフェイクシルエットを使い私の幻影を作り出す。
ガードロボは即座に私の幻影を認識、機械故の素早い反応で発砲、幻影を霧散させる。


同時に、ガードロボのセンサー部分に私の放った魔力弾、オプティックハイドで光学迷彩を施した姿なき魔弾が命中、センサー部分という構造上どうしても脆い部分を貫かれ、機能停止に陥るガードロボ。
機体各部から白煙を噴出させてガラクタへと成り果てたそれを見ながら、とりあえずの窮地を脱したことに私は安堵の息を漏らす。


「ふうっ、まったく……はた迷惑な機械よね、――――あうっ!?」




そして、――――突然、首筋から走る激痛と痺れに、体の自由を奪われた。




再び途絶していく意識の中で、私は油断をかました自分へ憤りを感じていた。




=================




「これが今回の被験体か」
「ええ、わが社の研究施設に突飛な話ではありますが、空間転移と思われる技術で侵入、その後ガードロボ一体を不可思議な手段で撃破したとのことです」
「成程実験材料としては申し分なしだな、実に興味深い、……新しい、惹かれるな」
「同感ですね、自白剤を投与した結果、彼女は異世界の住人であるらしいですね、しかも魔法使いであると来た」

手術用のライトの強烈な光で、意識が浮上する。
かろうじて耳に入る不穏な会話に恐怖を感じ、抵抗しようとするも体は拘束され、薬物でも投与されたのか指先一つ動かせず、喉を震わせ叫び声をあげることもかなわなかった。


不穏な会話は続く。


「所長がどうせだから、わが社の研究結果の全てをつぎ込んでみようかと言っていたな」
「キサラギ社最高の強化人間ですか、非常に面白いですね、……研究結果のすべてということは、生体兵器部門のあれも?」
「当たり前だろう、この少女の卵子はもう摘出しているし、各種細胞サンプルも確保済みだ、存分にやっていいぞ」
「クククッ、テンションが上がりますねえ」
「ああ、さっさと始めようか」

そう言いながら、メスを手に迫る白衣の男二人、その眼には暗い歓喜を湛え、まるでおもちゃを見るようにこちらを見つめる。




――――ヤメテ、コナイデ



メスが、私の体に入る。




ヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテ――――




――――ワタシニ、ソンナコトシナイデ!!




私の声なき悲鳴は、無論、届くことはなかった。




=================




『最後の高脅威目標の撃破を確認、周囲の敵性反応零です』


狭苦しいコックピットの中で、女性型の機械音声が響く。
正面のディスプレイの中には、コックピットブロックを撃ち抜かれスクラップとなった人型兵器、MT<マッスルトレーサー>の姿。


「敵機の全滅を確認、認めよう、君の力を、今この瞬間から、君はレイヴンとなった」


試験監督の、人間であるにもかかわらず、機械音声と相対差のない無機質な声で、私がこの世界の傭兵、<レイヴン>となったことを告げる。


「そうだ、…………私はレイヴンだ、モルモットじゃ、ない…………」


そうコックピットの中で呟き、パイロットスーツ越しに操縦桿を握りしめる。パイロットスーツの擦れるわずかな音が、鮮明に私の耳に届き、脳髄に直結した機体のセンサー群が、外部のありとあらゆる情報を、直接流し込んでくる。
常人ならば、脳がいかれてもおかしくはない情報の奔流。しかし、いかれたほどに手の加えられた私の体は難なくその情報の奔流を制御する。




私が人間をやめさせられたあの日から、数年が過ぎた。
魔法という、この世界にはない力があった私の肉体は、幸か不幸かやつらの実験の数々に耐え抜いた。
そうして私は順調に人間をやめてゆき、奴らのモルモットに成り下がっていった。
実験と、改造手術の身の日常。体を切り刻まれ、毒にも等しい薬物を投与され続け、その結果を考証するための命がけの戦闘実験。
その地獄ともいえるサイクルにも、私は耐え抜いてしまった。そうそうに死ぬことができたなら、楽だったのかもしれない。


だけど、私は何よりも怖かった、死ぬことが。


だから懸命に生き抜いた。もう、執務官になることも、兄さんの無念を晴らすことも、私の脳髄からは流れ去り消え去った。
只管に際限のない生を望む、ティアナ・ランスターの残骸、それが今の私なのだろう。
だからこうして、あの施設の人間を皆殺しにして、レイヴンとなるためにここまで来た。
もう、人を殺すことにすら、躊躇はなくなった。


私は、もう繋がれたものじゃない、戦場を駆けるレイヴンだ。




私を縛りつけようとするやつは、有象無象の区別なく殺してやる。そのための力は十二分に、ある。









こうして、一人の少女がレイヴンとなった。


際限なき生を望み、自由を望み、人ならば必ず訪れる寿命すら捨て去り、戦い続ける彼女はいつしかこう呼ばれるようになる。




――――”イレギュラー”と。




=================




「――――死神?」
「そうや、なのはちゃん」


ゆりかご事件の傷跡も収束していき、復興の兆しが見えつつあるミッドチルダ。
その立役者となった機動六課の隊舎内にて、機動六課隊長八神はやてと、スターズ分隊隊長高町なのはは、とある一人の人物について話し合っていた。
その人物とは、辺境の管理世界で頻発する、人材不足による治安維持能力の低下、それから発生する質量兵器の復活運動と管理局体制からの脱退。
時には武力でもって行われ、次元航行部隊によって管理局としては不本意ながらも武力による鎮圧を行う運動に、最近一人の人物が協力しているとのことだ。
ただ一人の魔導師ならば、そうそう脅威にはならないだろう。しかし、その人物は未知の人型兵器を所持しており、複数の高ランク魔導師を容易く殺傷して見せるというのだ。おまけに生身の時を狙おうと試みた部隊もいたのだが、件の人物は生身でも恐るべき戦闘能力を発揮したとのことだ。
しかも、致命傷と思われる傷を受けてもなお戦闘を続行し、挙句の果てに見る見る間になおって言ったらしい。


故に、その人物に付けられた二つ名は”死神”、死を与えられても死ぬことはなく、有象無象の区別なく死をまき散らすその光景は、まさしく死神と呼べるものだったのだろう。


「そんな人がいたんだね……」
「被害は甚大、……そこで解散を目の前にして人員の浮いている機動六課に白羽の矢が立ったわけや」


そう言いながら、はやては件の人物の調査結果に目を通していく。
そこには一枚の写真が記載されており、そこから割り出された名前を、はやては呟いた。


「ティアナ・ランスター……か、確かスバルの同期、やったな」


とある事故に巻き込まれ、殉職扱いになっていた管理局員が、なぜこんなことをしているのか、そして――――




「本当に同一人物か?、これ」




殉職前の顔写真と比較して、あまりにも似つかなかった。確かに顔の輪郭はほぼ同じだろう、だが、写真越しにでも伝わる禍々しい雰囲気が、その二枚の写真の人物をイコールで結ばせなかった。
この少女にいったい何があったのか、それを知るすべははやてにも、勿論なのはにもスバルにも存在しなかった。


「厄介なことになりそうやな、なのはちゃん」
「そう……だね」


再び巻き起ろうとする戦乱の予感を感じ取った二人の呟きが、虚しく部屋に響いたのだった。













<あとがき>
というわけで、ティアナがアーマードコア世界でナニカサレテ魔改造されたお話はどうだったでしょうか。
まあ、一発ネタなんで続きは欠片も考えていないんですが、この話のティアナは最終的に、ヘルシングのアーカードみたいに、化け物たる自身を殺し、際限のない生に幕を引く存在を恋焦がれるんだろうとは思っています。






[27129] ティアナ魔改造・2発目
Name: ドレイク◆f359215f ID:84b7eae3
Date: 2011/08/27 11:57




「――――武装隊っ、一斉砲撃っ!!」




指揮官の号令のもと、光条の色に差異あれど一糸乱れぬ魔力砲撃が放たれる。
おおよそ治安維持部隊である時空管理局の戦闘光景とは思えない、苛烈極まる集中砲火。
それは最早“戦闘”ではない。個と個がぶつかり合ったところで、このような光景は決して起き得ない。
ならば、それは何か。個と個のぶつかり合いで起きぬのなら、それを“戦争”というのだ。

「――――甘い、甘いっ!! それじゃあ私の命はやれない!!」

だが、“戦争”であるというのなら、その光景は更にありえない。
砲撃の濁流に応じるはただ一人。くすんだ橙色の、まるで黄昏時の様な髪と羽織ったコートの裾を振り乱し、両の手には規格外の大型カートリッジを搭載した銃型デバイスを持ち。

――まるで泣いているような、凄絶な嗤いとともに居並ぶ武装隊員に飛びかかる悪鬼羅刹の如き美女。

管理局の知らぬ土地、知らぬ次元世界において“イレギュラー”の二つ名を奉られた傭兵。
最強の一語ですら全く足りない、まさに世界の異物。正に規格外の生命体。
だからこそ為せる。だからこそ相手取れる。だからこそ個が群を相手取れる。

「だから死ね。ここで死ね」

無常なる宣言。武装隊員に暗い闇を湛えた、底無の地獄へと堕ちるような、巨銃の咆哮を向ける。
カートリッジが爆ぜる。内包した魔力を増幅させ撃ち出す。ただそれだけのシンプルな一撃。
だがそれは、人間一人の命を奪うには十分。黄昏色の閃光は射線上にいた武装隊員の一人を飲み込み、悲鳴を上げる間もなく消し去った。
血の一滴、断末魔の一つすらない命の消去。それを成した女はそのまま武装隊員の群れの只中へと降り立つ。
無論、この場にいる武装隊員は誰もが一廉の腕を持つ精鋭である。
即座に飛行魔法を発動。加速術式を併用しての迅速な離脱。だがしかし、それでも遅きに失した。
巨銃の砲口は飛び立つ獲物を見失うことなく、続けざまに閃光を吐き出した。

本来、砲撃魔法というのは威力を重視する代わりに、速射性・連射性能を犠牲にするのが常である。
乱れ撃たれる砲撃魔法、というのはどんな凄腕であっても起こせない。
ならば今、女が撃ち出している砲撃魔法は何なのか。銃型デバイスのリボルバーが回転し、銃口から次々と砲撃魔法を吐き出す。
そのどれもが狙いを外すことはなく、次々に武装隊員を消し飛ばしていく。

絡繰は実に単純。そもそもこれはカートリッジが内包した膨大な魔力を、デバイスの銃身内部に刻んだ術式によって収束して指向性を持たせているだけのこと。使用者の魔力量・魔法適性には何ら依存していない。
だがしかし、だからと言ってその銃が扱いやすい代物であるかと言えば、決してそうではない。
六連装の規格外大型カートリッジ専用のリボルバーは、そのサイズと重量を大幅に増してとり回しに難を残し、発射の反動は余人には耐えることのできない領域にある。
ランクの低い魔導師ならば、例え強化術式を使用していたとしても下手を打てば骨折する程だ。
だがそれを使い、女は曲撃ちの如き連射を繰り返す。六発撃てばシリンダーをスイングアウトさせて空薬莢を排出し、腰に備えたカートリッジ格納用のデバイスから競り出した次弾を、シリンダーで叩くように装填する。
そして再び砲撃魔法を連射する。その攻撃密度は武装隊に何ら劣ることなく、その命中精度は武装隊を次々に落としていく原因となった。
しかもそれを周囲からの、いっそオーバーキルとさえいえそうなほどの弾幕を潜り抜けながらというのは、とても現実の光景として見ることができなかった。



「どうしたっ!! 貴様らの牙は私の肉を抉っていない。貴様らの刃は私の肉を切り裂いていない。――――貴様らの全て、私の命に届いていないっ!!」



それは嘲笑か、あるいは懇願か。女は吠える。未だ私は死なない、倒して見せろと。
既に残り僅かにまで数を減らした武装隊員たちは、最後の望みを賭けて吶喊を仕掛ける。
義心と怒りを燃やしつくし、正真正銘最後にして、全身全霊の力を込めた突撃。
各々杖型デバイスの先端に魔力刃を顕現させて、己が身を弾丸へと変えるような音速突破の突撃。
隊員たちの咆哮が唱和し世界を揺るがす。だが、それを聞き届ける女の顔には笑みが浮かぶ。
それこそを待っていた、そう言わんばかりの凄絶な笑み。
同時、女が持つ巨銃が最後の突撃に閃光でもって応える。全方位から襲いくる人の弾丸。それら一つ一つを砲撃の連射で撃ち落とし、空いた隙間にその身を躍らせかいくぐる。


「堕ちろ死神いいいぃっ!!」


それでも、隊員たちの全てを賭けた突撃は、女の体に届いた。
形振り構わぬ殺傷設定の魔力刃は女の体を貫き、急所を抉る。溢れ出る鮮血、確かな肉を割く手応えが隊員たちに勝利を確信させた。
確かに届いた、刃は女の肉体へと、――――だが、命には届かなかった。


「―――――――――――残念、これでは堕ちてやれない、死んでやれない」


本当に惜しむような、悔しさに満ちた声が隊員たちの耳朶に届く。
常人ならば死んでしかるべき、急所を貫く一撃ですら”規格外”たる女には届かなかった。
巨銃のカートリッジがその銃身に魔力刃を形成し、驚愕に満ちる武装隊員たちの首を刎ね飛ばす。


「地獄へ落ちろ。――――死神」


その間際、凝縮された怨嗟に満ちた隊員たちの叫びが響いた。




=================




「――――こちらティアナ、管理局武装隊の殲滅は完了したわ」


鮮血に塗れ、死の香りの満ちた戦場跡の只中で、ティアナ・ランスターは後方の仲間へと通信を送る。
一個人でこれだけの魔導師を打ち取ったのは大殊勲と称賛されるほどだが、彼女の胸中に満ちるのはまた勝ってしまった、という歓喜とは真逆の念だった。

あの鋼鉄の巨人が闊歩する世界からこうして元の世界、というには少々の語弊はあるものの、生まれ故郷へと帰ることのできる状態になってもティアナは戦場に居続けた。
彼女にとって、辺境の管理局体制からの独立運動などに興味はない。双方共に正しさはあり、どちらが正義かなど論ずるに値しないと思っている。
ここにいるのはただ、苛烈な戦場に身を置ける、ただその一点のみが重要だった。
平穏な日常など、最早ティアナにはあまりに遠いものへと変わり果てた。

彼女がこの世界から消えて数年がたつが、その通りの年数で帰還できていればあるいは、日常へと帰還出来ていたかもしれない。
だが違うのだ、ティアナが異世界で戦い続けた年月は数年では済まされない、数十年どころではない、軽く百年以上は経過しているのだから。
彼女が異常を自覚したのはレイヴンとなって十年近くがたち、一切老化しない自身の体を目の当たりにしたから。
どうやら彼女に施された改造手術は、寿命という、誰にでも訪れる救いをも奪い去っていた。
それはひどく、悪辣な仕打ちだった。
寿命で死ねるのならば、戦場から身を引けた。だが、そんな普通の死が望めないのならば、どうやってティアナ・ランスターの人生を終えればいいのか。
自殺、など論外だった。既に生き残るために数限りない屍を積み上げて、今更、自ら幕を引く。
それは奪い尽くした命の侮辱に他ならない。そんな無意味な終わりの為に無意味に奪われたなどあってはいけなかった。




だからこそ、ティアナ・ランスターは戦場に立ち続ける。




ずっと。永劫に。”終わり”が来るその時まで。


死ねないのならば、殺されるしか道はない。だが、自ら戦場で命を捨てるのは自殺と何ら変わらない。
だからこそ全力で戦場を駆け抜け続ける。その全力の果てに訪れる死を望み続けながら。
しかし、彼女が全力であればある程彼女の死は遠ざかる。
寿命が無いということは、只管に成長し続けるということ、時がたてばたつほどに体に刻まれた戦闘技術は磨き抜かれ、彼女の死は遠ざかっていく。

それでもティアナの歩みは止まらない。彼女の救いは最早、その歩みの先にしかないのだから。




=================




同時刻、管理局の保有する重犯罪者収容所にて、フェイト・T・ハラオウンとシグナムは一人の犯罪者と面会するために、この施設を訪れていた。


かつてジェイル・スカリエッティが引き起こしたJS事件において、その実動部隊として猛威を振るった違法実験により生み出された禁忌の存在、戦闘機人。
“ナンバーズ”と呼称された彼女たち。だが、そんな中でただ一人、ナンバーを与えられなかった存在がいた。

死した戦士の魂を呼び寄せる。そう伝えられた名もなきロストロギア。
その駆動実験の一環として、ジェイル・スカリエッティが作り上げたナンバーズでありながらナンバーズではない存在。
”ロストナンバー”の呼称を与えられたその戦闘機人は、正しく死した戦士の魂を内包した存在としてこの世界に新たな生を受けた。
彼女はその後、他のナンバーズと同等、いや、それ以上の猛威をふるい、シグナムとの激闘の後捕縛された。
捕縛されたのちも尋問には黙して語らず、取引にも応じず沈黙を貫いていたが、突如として反応を変えた。


「最近世間を騒がしている辺境世界の半管理局運動の鎮圧に、私を投入してほしい」


ただ一言、そう答えた彼女を真意を知るために、二人はここを訪れたのだ。
厳重なロックが解除され、二人の視界に件の人物の姿が映し出される。
まずはシグナムが歩み寄り、激闘を繰り広げた強敵の名を呼んだ。


”ロストナンバー”の開発コードを与えられた彼女ではあったが、起動してからは生前の名を名乗り続けていた。


こことは違う世界において、腕利きの傭兵として名をはせたその名前を。




「――――久しぶりだな、“ジナイーダ”」


「――――待っていたよ、シグナム」








<あとがき>
ちなみに作者、ACは2から始めましたがその時の構成は防御を重視したタンクに武装が千マシに両肩追加弾倉という意味不明なものでした。勿論そんな構成で全クリできるはずもなく最終ステージで断念しました。
3からは、軽量フロート・軽量実弾EOコアに同じく千マシ、SLからは左手ハンドグレネードという構成でNXまではいけました。LRは察してください………




[27129] 【習作】テンプレななのはオリ主転生ものを書いてみた
Name: ドレイク◆f359215f ID:1fe83eb3
Date: 2011/07/31 21:22

「――――どうも、ミッド総合商事です。先日発注を受けたカートリッジの件なのですが」


少しばかり調子の悪い空調が耳障りな音を立てるオフィスで、俺は電話でこの会社の得意先、………というかほぼすべての注文先である、時空管理局のミッドチルダ地上部隊の経理部と電話で話し合っていた。
先日発注を受けたカートリッジ千個分が、製造元の工場でストライキが起きたせいで納期内の納入ができない状況に陥ったのだ。

カートリッジというのは知っての通り、魔力の一時的な増強を行うことができるがその制御が難しく、なかなか普及はしていない。
しかしながら、管理局地上部隊に限った話でいえば、使用者は確かに少ないものの、高ランク魔導師が少ない地上部隊において、カートリッジ使用者というのはほぼ例外なくそれぞれの部隊において戦力的な要であり、それを支えるカートリッジの納入が滞るというのはとても望ましくない事態なのだ。

全くストライキもいやな時期にやりやがって・・・・・、せめて発注分だけでも生産してからやれよ!!
他の業者のカートリッジで品質がほぼ同じやつを選定したのはいいけど、僅かに値が張るんだよなあ、一発の差額は微々たるものだけど、千発ともなればそれなりに値が張るからな。
ただでさえかつかつの経済状況の地上部隊が、それでOKサインだしてくれるかどうか。

「――――というわけでして、MD機器のカートリッジが期限内に納入できない状況でして、同品質で別メーカーのカートリッジを選定したのですが差額が発生しまして、――――はい――そうです――わかりました――はい――どうも申し訳ありません」

経理部の局員の若干気落ちした言葉を聞いてから、電話の受話器を置いた。
此方としても足が出ないぎりぎりまで値引きしたんだが、想定外の値上げに気を悪くするのは当然だよな。
つられて俺も少々気落ちしながら、早速書類の整理と注文の変更を伝票にまとめにかかる

「課長~、新型デバイス部品のカタログの草案できたんで確認お願いします」
「おうっ、そこにおいててくれ、あとで目を通す」

また仕事が増えた。そう思いながら、仕事量の多さを物語る、草案の束を机に置いた、ドサアッ!!、という音が俺の耳に入る。
こりゃ今日もまた残業だな。また総務課がいやな顔をするのが目に見える。残業時間の多さと有給消化率の悪さで目を付けられているからな、俺は。
そうこうしているうちに先ほどの件の書類を纏め終わり、部下に手渡す。

「おい、先日のカートリッジの件仕様変更になったから、これがその書類」
「あっ、はい、わかりました」
「ただでさえ突然の値上げだから、業者に納期は守るようしっかりと釘をさしておけよ」
「先月の一件はひどかったからですね、解りました、よ~く釘さしときます」
「おう、たのむわ」

先月の一件とは、管理局の陸士学校に納入するためのベルカ式デバイスを、向こうの担当者が納入の日にち間違えやがって、新入生の初授業に間に合わない事態になりかけたのだ。
向こうの会社に直々に乗り込んで、こっちを優先するようにじっっっくり話し合いをしたのが功を奏して、昼夜問わず工場を稼働させて、何とか乗り切ったからな。
相違やあのころは大声出し過ぎてのど飴が欠かせなかったなぁ、十時間近く怒鳴ってりゃそうもなるか。
そんな益体も無いことを考えながらも俺の宇津は休みなく動き続け、休みなく書類を処理していく。




――――俺、には実を言うと秘密がある。




ぶっちゃけて言うと前世の記憶を持っている。ネットとかでよく言う転生とかいうやつだろうか。
前世はどこにでもいる平凡なサラリーマンで、酒もたばこも賭けごとも女もやらず、休みになれば家で一人寂しくゲームをするのが趣味な、実に平凡な人生だった。
処が築けばいきなり赤ん坊になって、おぎゃあおぎゃあと泣き声を上げるしかできない体になっていた。
ついつい頭の中で、某奇妙な冒険のあのセリフが流れたのは秘密だ。
そうしてしばらくがたち、歩き回れるようになって本とかも読めるようになると、ここが日本ではないことがすぐに分かった。
ここは日本じゃ無くミッドチルダという異世界の見知らぬ国だし、何より魔法があった。
その時初めてここが前世で見た、何かのアニメの世界であると気づいたんだ。そんなにこの作品のタイトルすらろくに覚えているわけでもないが、かろうじてデバイスとか、ミッドチルダ式とかの単語で確信を持てた。
まあ、それを知った後、俗に言うオリ主とかになって活躍できるんじゃないか? そう思って魔法の勉強に励んだが、俺には魔力がほとんどないことを知ると、やはり自分はそんな主役になれるような存在じゃないと思い知った。

やはり人間、身の丈に合った生き方が一番、世界を救う英雄になれないのなら日々を平凡に生きるのが一番だ。
そう考えた俺は、魔法以外の勉学に励みながらも、異世界で売られているゲームとか映画とかアニメとかで楽しみながら日々を生きていた。

――――ビデオショップでいかにも魔法を使っている姿がパッケージに写っている映画が、真に迫るノンフィクション映画と紹介されていたのは、やはり異世界だな、と妙に納得がいった。

とまあ、日々をそうして生きていったら当然、就職の一つもしなければいけないわけで………
地球よりも就業年齢が低いミッドチルダでは銃後で、二本でいえば中卒で職に付くのも珍しくはなく、同級生たちが管理局への就職とかを考える中、俺は一人民間企業の就職募集の書類を真剣に見比べていた。
やはりというか若者が考える就職先は、管理局が一番人気が高かった。嘘でも誇張でもなく世界を救い続けている組織で働くというのは、正義の味方になるような気持なのだろう。
あいにくこっちは日本で平和ボケにつかりながら生きてきた前世のせいか、そういう組織に真剣にあこがれる気持ちというのは今一ピンとこなかった。――――何より自分には魔法を使える魔力など欠片も無いしな。

そんな俺が就職の際重視したのが給料と福利厚生。やはり人生の大半を費やすかもしれない仕事なのだから、そこが一番重要だろう。
そんな中見つけた企業が「ミッド総合商事」だった。規模は小さいものの、給料・福利厚生ともに充実していて、ネットで業績とかを軽く調べてみれば、ミッドチルダ地上本部へのさまざまな機材の納入を主な事業としていた。つまりは管理局が一番にして唯一のお得意様ということだ。

――――親方日の丸、実にいい響きである。寄らば大樹の影でもいいけどな。

そんな優良企業、面接を受けないわけにはいかないだろう。
意気揚々とミッド総合商事に面接の申し込みを行った。採用定員が少ないこともあり、必死に担任の先生に申込書類を叩きつけるように手渡した。こんな虫のいい話手放してたまるものか!!
そうして面接も張り切って受けて、面接官からのいい感じの反応も見れてこれは確実に受かる、バラ色では無いけれど大木のような安定した人生を送れると思うと、帰りがけにはガッツポーズもして道行く人に、変な奴を見るような眼で見られもしたがそんなのは些細なことだった。




――――それが実に甘い考えだと思い知らされるのは、そう遠い未来ではなかった。




ミッド総合商事。規模は小さい物の業績はかなり良く、従業員の待遇も社内規則の文面だけで見れば非常にしっかりしている。
世間での認知度は限りなく低いが、それは管理局だけが顧客であり宣伝の一切を必要としていないからである。
その歴史は比較的浅く、二十年前に起業した企業である。
もともと、管理局の地上本部は人材・機材・資金ともに次元航行部隊、通称「海」に吸い取られ、苦しい台所事情が常だった。
そんな中、削れるところは削ろうとするのは自然な流れであり、当時の地上部隊の総務課は、ミッド中の企業を巡り、少しでもいい品質で安いものを探しまわった。
時には、仲買いの総合商社を通さず、製造元に直接発注することもあった。
当時の管理局では、管理局の本局高官とつながっていた大手企業の製品を購入することが推奨されていた。
市場に悪影響を及ぼさないため、との名目で、市場の適正価格より少しばかり高いものばかりがカタログに並んでいた
当然地上部隊がそんなもの買うわけも無く、総務課の血を吐くような努力で少しでも安い物を買い続けていた。
しかし、本局がそんな状態を看過せず、総務課を通していたずらに市場経済に悪影響を及ぼすような真似はするなと、監査部を通しての警告があった。
(嘘か真か、本局指定の企業から納入しなければ、地上部隊に回す資金を減らすなんて脅迫もあったそうだ)

そんな中、地上部隊の人達が見出した策が、ミッド総合商事の設立である。
地上部隊用の資材や機材を、これまで総務課の人達がやっていたように、少しでも安く納入できるように尽力する企業。
そんな地上部隊に都合のいい企業を、地上部隊の定年退職者が中心となって作り上げたのだ。
勿論監査部を通じて、脅迫じみた警告が本局から届けられたが、地上部隊の総務課課長はこういって追い払ったそうだ。

「この安さはミッド総合商事という民間企業の、“企業努力”によってなし得たものですから、私たちがいちいち口を出すような問題ではないと認識しております」

ミッドチルダ地上本部という、ある意味法のエキスパートが設立した会社である。法的問題など一切起こりようがなかった。
つまり何が言いたいのかというと、ものすごく忙しいのである。それこそブラック企業という言葉が生易しく感じるくらいにだ。
入社初日からえげつない量の仕事を任された時、脳内で“騙されたっ”と叫んだ俺は決して悪くないと思う。
おまけに人件費もぎりぎりまで削るために、人員定数までぎりぎりまで削っている。つまり一人当たりの仕事量が跳ね上がるのだ。
え? 福利厚生は充実しているんじゃないかって? ああ、確かに充実しているよ、俺が外回りで交通事故にあって足の骨を折った時なんか、すぐさま高位ランクの医療魔導師まわして事故から一時間もたたんうちに業務復帰させるぐらいにはなっ!!
確かに痛みも無く、魔力を体力に変換する術式と、体から乳酸を抜く術式で疲労も痛みも一切なかったよ。これで少しは休めるという俺の儚い望みを、同時に完膚なきまでに破壊してくれたけどな。


そんな戦場の如き業務をこなしていたら、23で課長になってますます退職する機会を失ったわけだ。


おまけに、ミッドの平和維持に欠かせない仕事だから、心情的にも辞め辛い。
おかげで通帳の残高が増える一方だ。――――使う暇なんか一切ないけどな。
そんなこんなで今や俺はミッド総合商事の期待の若手、という扱いだ。――――もちろん同期は俺一人なんだから、期待もくそも無いけどなっ!!

ちなみに先ほど、俺はここの総務課に目を付けられていると言ったが、これ以上は倒れるぞ、といった意味で目を付けられているのだ。決して法に定められた労働時間云々、なんて意味では決してない。




――――何より一番の問題は、ここでの仕事にやりがいを感じている自分自身なんだよな。




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――――翌日。眠気にくらくらする頭を抱えながら、俺は社長室に呼び出されていた。

「おはようございます社長」
「ああ、よく来てくれた、座って楽にしてくれ」

白髪を撫でつけた、温和な感じの小柄な老人。このミッド総合商社の社長にしてもと管理局地上部隊で少将にまで上り詰めた老人が、人好きのする笑みを浮かべながら、俺に着席を促した。
規模が小さい故に、社長でありながら俺のような若手にまで気さくに接してくれるのは、この会社の数少ない美点だ。
しかしながら、こうして社長が呼びだすということは厄介な仕事を言い渡すも同義であり、とてもではないが緊張を解けそうになかった。

「――――機動六課、というのを知っていますか?」
「ああ、何やら近々設立される、部隊の枠を飛び越えた即応性を求めた実験部隊、でしたか」

仕事上、こうした管理局でも機密レベルの高い事情に詳しくもなってくる。
やはり、今回も厄介な仕事を申し渡されそうだ。総務に格安の栄養ドリンク10ケースほど頼んでおこう。

「ええ、本局の肝いりで設立されるようで、後見人にはかの三提督や聖王教会が名を連ね、人員に関してもリミッターを付けてまでSやらAAAクラスの高ランク魔導師をかき集めているとか、勿論レジアス少将お反対したようなのですが、後見人に押し切られるように承認してしまったとか」
「うわぁ……………………………」

確実に地上部隊に喧嘩売ってるよな、本局の奴ら正気か? 
そんなに地上に配属できるなら、それぞれの部隊に分散して配置しろよ!! 素人考えでもそれだけで即応性が上がるぞ!!

「それでですね、主導権は本局が握っているんですが、運用資金は地上と折半という形になってね」
「うわぁ……………………………」

何それ、そんな喧嘩売るような真似わざわざするなら、根回しの一つぐらいやっておけよ!! 
せめて、機動六課に配備する人材に地上部隊の支援を行わせるとかさあ、またぞろ地上の動きが遅いとか本局で話題になったんだろうか………
この仕事に付いていると、いかに地上の人達が四苦八苦しながら頑張っているか骨身にしみてわかる。
向こうの人達もうちの社員のことを、まるで戦友のようにフレンドリーに接するしな、こうして地上の人達に泥ぶっかけるような所業を聞くと怒りすらわいてくる。

「そこでレジアス少将から一つの提案がありまして」
「提案……ですか?」
「ええ、地上でのアドバイザーという名目で、うちから人材を機動六課に出して地上の窮状を徹底的に教育すると」

まあ、確かに第三者である民間人からそう言われれば本局の人間も無碍には扱えないか、下手に強圧的に扱ってそれをマスコミにリークされようものなら恰好のネタになる。
巧く行く確率は低いが、見逃せないチャンスでもある……というわけか、……………って、まさか!!




「そこで君に、件の出向人材になってもらおうというわけです」




「………………………………………………やっぱりそうですか」




微塵の崩れも無いにこやかな社長の笑顔を見ながら、俺は栄養ドリンクを20ケース買おうと決意するのだった。




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「――――畜生っ!! やってられっかあっ!!」




ああ、飲まなきゃやってられねえよッ、こんな厄介事持ってきやがって!!
ふらりと入ったバーのカウンターでそんなことを思いながら、貯め込んだ預金残高を無くす勢いで高級酒をがぶ飲みする。
喉を通り抜ける芳醇な味あいだけが、俺の心をいくらか沈めてくれた。
けど、それを超える勢いでどんどん怒りがわいてくるから、結局ずっと怒り狂いながら俺は酒に酔いしれていた。

「えらい荒れてるなあ、アンタ」

その時俺が座っているカウンターの隣の席に、かなりの美女が座っていることに、今更ながら気が付いた。
しかも顔立ちからすると、久しくお目にかかっていない日本人だ。そのことが俺の中の箍を外す。
普通なら見知らぬ人には絶対言わない話題も、アルコールのせいにして遠慮なくしゃべり始めた。

「管理局で機動六課って言う阿呆な部隊を作る話があってよおっ!!」
「へ、へえ……阿呆な部隊」
「ああ、素人目にも突っ込みどころ満載の、まさしくおれのかんがえたさいきょうぶたい(キリッ)ってな感じでさあ」
「そ、そうなんや……」
「しかもその魔窟に今度俺が出向することになって、それでやけ酒してるんだよおっ!!」
「そうか…………………………………・明日覚えとけよ、この阿呆」




酔いに眩む意識の中、最後に隣の彼女の舌打ちが聞こえたような気がした。




――――翌日、件の機動六課の設立予定地の仮事務所にて。


「私がこの機動六課部隊長になる予定の八神はやてや、――――よ・ろ・し・く・な・あっ!!」


笑顔の中に怒りを湛えた、昨日バーのカウンターで出会った美女が、何故か機動六課部隊長が座るはずの椅子に腰掛けていた。
とりあえず、ここは前世の経験で身につけた伝統芸能で乗り切ることにしよう。


「申し訳ありませんが、記憶にございません」


「じゃかぁしいわっ!! あんたはどこの政治家やっ!!」




――――全く持って、幸先は最悪過ぎた。














<あとがき>
作者には、オリ主ものを書いてみてもこんなテンプレな物しか書けませんでした。
ネタが浮かべば、ちょくちょく続きを書いていく予定です。


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