厚生労働省
第2回「精神障害者の雇用の促進等に関する研究会」議事要旨


上記議事論につき、コメント無しで掲載します  
1  日時 平成14年9月18日(水)10:00〜12:00

2  場所 厚生労働省 共用第7会議室(5階)

3  出席者 ・  委員 荒井委員、池末委員、磯部委員、上田委員、金子委員、下川委員、高橋委員、 竹島委員、舘委員、長尾委員 、中嶋委員、西島委員、野中委員、畠山委員、 松為委員、松矢委員、山口委員、輪島委員

・  オブザーバー 高坂障害保健福祉部精神保健福祉課在宅福祉係長

・  事務局 太田高齢・障害者雇用対策部長、谷中障害者雇用対策課長、今井調査官、 上野課長補佐、佐藤課長補佐、工藤障害者雇用専門官他

(欠席された委員)   倉知委員

4  議題(1) 今後の進め方について(2) 精神障害者の実態把握について

5  資料(1)資料1 ・精神障害者の雇用の促進等に関する研究会検討項目(案)(2)資料2 ・精神障害者の雇用の促進等に関する研究会当面のスケジュール(案)(3)資料3 ・全国障害者社会復帰ニーズ等調査(障害保健福祉部)について(4)資料4 ・企業に対するアンケート調査について(案)(5)資料5 ・企業等に対するヒアリング調査について(6)資料6 ・これまでに実施された各種調査の概要(7)資料7 ・その他

6 議事要旨

 ・  異動により交替した事務局のメンバーの紹介の後、前回の議論の中で、委員から質問や資料請求があった件について、事務局から資料7に基づき説明が行われた。

 ・  資料7の説明に対して、以下のような質疑応答があった。

○  委員  4月に国会で、石毛議員(民)がモデル就業規則の解雇条項の表現がダイレクト過ぎるのではないかという質問があり、当時の労働基準局長が何ができるか検討すると答弁しているが、検討状況はどうか。障害者雇用機会創出事業については、去年、途中で枠がなくなったということがあったが、今年の実施状況はどうか。補正で枠の拡大をするというようなことはないのか。

○  委員  障害により業務に耐えられないことが一時的なこともあるので、そうしたことも踏まえて判断してもらうための措置が必要。休職が長くなることが多く、履歴書を書くときに苦労している精神障害者が多い。空白期間が生じ、病気で休職したことについて明らかにしないと経歴詐称と言われる。授産施設の実態はどのくらい把握できているのか。授産施設で行われている訓練の質が就業に結びつくものになっていないことが問題。アメリカの施設を視察してきたが、ニーズに応じた訓練が行われている。

○  事務局  モデル就業規則は、労働基準局所管の全国労働基準関係団体連合会で作っているもの。検討状況については、適宜情報入手し、本研究会の議論も必要に応じて伝えるようにしたい。

○  委員  授産施設については、日本は面倒を見ていれば補助が出て、就職させて対象者が減ると補助が少なくなるので就職させないということも生じているが、アメリカでは、就労率を評価をした上で予算が出る。

○  委員  障害者重点公共職業安定所は、求職者からも求人側からも重点公共職業安定所であるということがいつでも分かるよう周知体制を整えるとともに、重点安定所のサービスの充実の取り組みをさらに進めて欲しい。オープン・クローズの状況については、障害について企業側に明らかにされないケースがあるということが分かっただけでも意味がある。トライアルの対象者の疾病別で、その他と不明の違いは何か。

○  委員  障害により業務に耐えられないことによる解雇は、雇用継続のための努力をした上でも困難な場合に認められるものであって、事業主がなんら努力をしない場合には裁判で争われると理解するが、どうか。また、この規定に関する検討は、障害者の雇用促進施策の検討と直接関係することなのか。

○  事務局  この法理は判例に基づく一般原則。障害者の雇用施策とは別の問題であり、関係するのはごく一部と思うが、判例を見て、実際の判断の状況、関連性についてもう少し調べていきたい。

 ・  事務局から資料1、2に基づき説明を行った。

 ・  資料1、2の説明に対して、以下のような質疑応答があった。

○  座長 全体の検討の期間は2年ぐらいであるのか。

○  事務局  論議の状況にもよるが、概ねそのぐらいだと考えている。

○  委員  雇用機会創出事業の実態を1の実態把握に加えて欲しい。雇用と、授産施設等での就労の関係の整理を5のその他に加えて欲しい。

○  座長  今の問題に関しては、前回、別の委員からも話があり、検討課題として、項目に入れたら良いのではないかと思う。

○  委員  障害者のポジティブな面を踏まえた新たな形態の雇用・就業機会の創出を加えて欲しい。

○  委員  精神障害というものについて、委員の間の共通理解を進める時間をとる必要がある。精神分裂病の患者には知能障害はなく、思考障害のみ。また、知的障害や身体障害は固定だが、精神は固定ではない。こうしたことについて事業主の理解を進めることが必要。

○  委員  前回も対象の範囲についての議論をしたが、うつでは働いている人が多い。新しく就労することと、就労を続ける、雇用維持するという2つの側面に分けて議論すると明確になるのではないか。

○  座長  事務局は、精神障害についての委員の間の共通理解を作るためのレクチャーの機会を設けるようお願いする。

○  委員  理解のために、実態把握が必要である。アメリカでは、新薬が就労に結びついている。分裂病患者で行政書士の仕事をしている者もおり、そういう実態をきちんと把握するとともに自営業者の育成のための訓練を真剣に検討する必要がある。

○  委員  共通理解はこの場でも、社会全体でも必要。企業の実態で言えば、知的障害と精神障害の違いについてすら、人事担当で理解しているかどうかも自信ない。理解をどうやって広げていくか、そのためのツールをどうするか、是非検討して欲しい。

○  委員  対象はどうするか検討する必要がある。精神分裂病を中心としたもの、そううつ病とか、神経症などいろいろあり、また、いろいろなレベルの人がいる。やはりその辺の疾病と対象をどうするかということはしっかり認識して議論をする必要がある。

○  委員  精神の問題となると、アンケートやヒアリングを受ける企業の方が共通ベースを持っていないと出てくるデータの信頼性が低くなる。手帳を持っていない人については、企業はあまり出したくないだろう。職場が原因ではないかと思われるのではないかということや、雇用率にどう反映されるかわからないということもある。雇用機会創出事業の状況を見ても、雇用している企業は55人以下規模が多い。大企業は一律の試験で採用しているからだろう。検討項目には、「採用後精神障害者の支援」と、「雇用継続困難となった場合の受け皿の整備」を入れて欲しい。

○  座長  他に何か検討項目として追加すべきことはあるか。よろしいか。それでは、この事務局からの案にいくつか新しい項目を加えて今後検討を重ねたいと思う。

 ・  事務局から資料3、4、5、6に基づき説明を行った。

 ・  資料3、4、5、6の説明に対して、以下のような質疑応答があった。

○  委員  資料6に関して、先頃、てんかん協会で調査を実施したものがあり、取りまとめ中。後ほど御紹介したい。事務局案のアンケート調査では、支援策のニーズは分かるが、割合や雇用率の対象となる者の把握はできないのではないか。

○  座長  自分の理解では、雇用率制度の対象となる人がどれくらいいるかは、制度の概要についてある程度決めた後でするものであり、今回の調査は、その前段階として、実態把握の一環として実施するものと思っている。

○  委員  今回の調査も、雇用率制度と切り離して行うことはできない。対象者の範囲や、採用後精神障害者や手帳を持たない人をどのように把握するかを検討するためのものと思う。

○  委員  内容的に、前回の調査と変わっていない。粗めの数や基本資料の収集という意図は分かるが、何をもって精神障害者として回答しているのか分からないということが、いつも調査の信頼性の壁となっている。それを解決するために工夫が必要。よく社内の状況を把握している産業医を活用したヒアリングを行うなどして、より精密な状況を把握することはできないか。

○  委員  従来の実態調査では、精神科の受診者を対象としたものや、地域での調査であった。地域での調査は、人権問題等により現在は行われていないが、企業の中で、本来支援策の対象となるが利用していない人を把握しようとするならば、もう一度地域での調査を、企業を通じてできるか検討する必要がある。高齢化で高齢者が動いているように、障害者も流動している。その「動き」を調査項目に入れられないか。難しいと思うが、調査票を作る段階で、委員会にかける前に、委員に見せて欲しい。そうすれば、何か案を提案できるかもしれない。また、過去のいろいろな調査をまとめたデータベースを作ることができないか。

○  委員  資料4の(11)と(12)の労働条件の変更などは、前回の調査ではなかったし、詳しく調べていただきたい。また、雇用形態の変更に関して、嘱託に変更されるということもあるように聞いている。休職期間中は有給か、賃金カットか、無給かなども調べてほしい。

○  委員  記入担当者の障害についての理解の度合いに調査結果が左右される。これまでの調査でも、手帳対象群以外も入れて答えてしまっているのではないか。曖昧にしないような説明の文章が必要である。

○  委員  雇用率を作る場合には、数字が必要だが、実際にどれくらい精神障害者がいるかは表に出てこない。企業内におけるスティグマを正確に把握する必要がある。

○  委員  用語説明は重要。精神障害者と表明していない人や、手帳を持っていない人をどう把握するか。資料4の(23)で休職期間が長い人はどれくらいいるか、及び診断理由を聞いてはどうか。雇用率の対象とする精神障害者の定義を決める前段階の大まかな実態をつかめる。

○  委員  雇用率を決める調査とは違うものと理解している。前回調査と同じと別の委員はおっしゃったが、採用後精神障害者に関する、資料4の(10)〜(13)あたりは前回なかったものである。この案についてはいろいろ意見はあるが、重要であると思う。

○  委員  対象を1000社程度と大きくしているが、前回の調査の状況も踏まえ、企業での状況をつかみにくいということを考えると、トライアルで受け入れた企業に限定して調査し、継続雇用しなかった企業の状況を把握するようにした方がよいのでは。

○  座長  現段階で調査することの意義について疑義もあるようだが、事務局の考えはどうか。

○  事務局  雇用率を決めるための調査の前段階の調査として、実施したいと考えている。次回調査票の案をお示しし、実施方法も含め、議論していただきたい。

○  座長  了解。次回の研究会の前に事前に委員に送付し意見を聞くという手続きを行ってください。

照会先:職業安定局障害者雇用対策課

     雇用対策係 内線5854







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