2011年8月24日
介護現場の人手不足感が再び強まっている。23日に公表された2010年度の介護労働実態調査によると、「職員が不足している」とする介護事業所は50.3%と過半数に上り、前年度より3.5ポイント増加。1年間に辞めた人の割合を示す離職率は17.8%で、3年ぶりに悪化した。
昨年10月1日時点の状況について、厚生労働省所管の財団法人「介護労働安定センター」が調査。全国の約1万7千事業所とそこで働く約5万1千人を抽出し、約7300事業所、約2万人から回答があった。
ここ数年は政府が介護職員の処遇改善に力を入れた効果で改善傾向にあったが、同センターは「景気の回復に伴い、介護よりも待遇がいい他の仕事へ転職する傾向が再び強まっているのではないか」とみている。
最も人手不足感が強いのは訪問介護の事業所で、「職員不足」とする事業所が65.9%。施設介護の事業所では40.4%だった。
離職率では、施設介護職員が前年度より0.2ポイント改善したものの19.1%と高い水準。一方、訪問介護職員は14.9%で、前年度より2ポイント上がった。
介護職員の賃金は、全体平均で月額21万6494円と前年度に比べて4062円増えたが、46.6%の職員が「仕事内容のわりに賃金が低い」と不満を感じている。事業所も過半数が「今の介護報酬では人材の確保・定着のために十分な賃金を払えない」としており、さらなる労働環境の改善を求める声が強い。