民主党の横峯良郎参院議員が、週刊新潮の記事で名誉を傷つけられたとして発行元の新潮社(東京都)などに損害賠償などを求めた訴訟の控訴審で、横峯議員が東京高裁(芝田俊文裁判長)に請求放棄を申し立てることがわかった。新潮社側が29日、明らかにした。
記事は2007年8〜9月に掲載された。昨年11月の一審・東京地裁判決は、暴力団組長と賭けゴルフをしたり、女性に酒を強要し、服を脱がしてペンで落書きし写真を撮ったりしたなどと報じた記事について「真実の証明があった」と認めたため、横峯議員が控訴していた。請求放棄により、議員は記事の内容を事実上認めた形になる。
議員側は慰謝料など5500万円の支払いを求めて07年に提訴していた。高裁は30日に判決を言い渡す予定だったが、申し立てを受け、口頭弁論に変更して訴訟を終わらせる見込み。
週刊新潮編集部は「都合が悪くなると自ら提起した裁判から逃げ出すという行為は、政治家として完全に失格。即刻、議員辞職すべきと考える」とのコメントを出した。
政府の司法制度改革審議会の意見書が出されてから10年。裁判員制度などが定着してきた一方、「身近で頼りがいのある司法」の実現は道半ばだ。