菅直人首相は29日、首相官邸で高木義明文部科学相と会談し、北朝鮮による韓国砲撃を受けて昨年11月から停止している朝鮮学校10校に対する高校授業料無償化適用の審査手続きを再開するよう指示した。文科省によると、菅首相は審査再開の理由について「朝鮮半島を巡る緊張緩和の動きがあり、砲撃以前の状態に戻っていると判断できる状態になった」と説明したという。
朝鮮学校への適用審査停止を巡っては、教育を受ける権利や平等権が侵害されたなどとして、東京、愛知、大阪などの朝鮮学校で国家賠償請求訴訟を起こす動きがあり、9月初旬にも提訴する準備を進めていた。
今月になって北朝鮮の金正日総書記が、前提条件なしで6カ国協議を再開する意向を示したことなどを踏まえ、菅首相は審査再開を決めたとみられる。だが、退陣直前の判断だけに反発も予想される。【木村健二】
毎日新聞 2011年8月29日 13時55分