サンマ漁、福島第1原発から半径100キロで自粛


待望のサンマの季節がやって来た。だが今年のサンマ漁は例年よりも遠い漁場で行わなければならず、価格も上がりそうだ。

Associated Press
3月20日、宮城県女川町で避難住民のためにサンマを焼く漁師

漁業者団体の全国さんま棒受網漁業協同組合は先週、福島第1原子力発電所から半径100キロ以内の海域でサンマ漁を自粛することを明らかにした。卸売業者や小売業者、消費者らの同海域で捕れる海産物に対する放射能汚染の可能性への懸念に対処したもの。

7月初めに行われたモニタリング検査で北海道沖で捕れたサンマから、国の基準値をはるかに下回る水準ではあるが、微量の放射性セシウムが既に検出されていたため、堅実な判断と言える。

組合によると、福島第1原発から半径100キロ圏内の海域は、例年であれば10月から11月にかけて主要なサンマ漁場となる。現在店頭に並んでいるサンマは北海道近海で捕れた今季の初物。

サンマの群れは北海道を起点に太平洋を徐々に南下していくため、漁船もその動きに合わせて移動していく。だが日本国内での捕獲量が少なければ、需要を満たすために輸入に頼らざるを得なくなり、小売り価格の上昇を招く可能性がある。

サンマ漁シーズンが始まる2カ月前の今年6月、北海道は北方海域で捕れたサンマの放射性物質検査を開始した。7月初めの検査で微量の放射性セシウムが検出された以外は、現在までのところいずれのサンプルからもその他の放射性物質は検出されていない。

福島第1原発近海でのサンマ漁自粛の決断に至った理由について、組合の広報担当者は「魚市場や流通関係の人たちから放射能汚染が不安だという声が上がっている」とし、今回の措置はそのような不安を解消するためでもあると説明した。先月、放射能で汚染された牛肉が市場に広く出回っていたことが発覚したことを受け、国民の食の安全に対する懸念が高まっている。

さらに広報担当者は、サンマの群れは秋にかけて北から南へと移動するため、群れが福島県沖合に達する10月ごろを中心にモニタリング検査の結果を厳密に監視し、自粛期間の延長と南方海域での自粛を判断する意向だとした。

英語原文はこちら≫


コメントを投稿する

あなたのご意見をお待ちしています。
投稿する際は、利用規約の内容をご確認ください。
「名前」欄はニックネームでも結構です。








Facebook 人気記事