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「心霊現象」に潜む心の病気

2011年8月28日(日)10時0分配信 All About

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かわいい飼い猫が化け猫になって、突然人の言葉を話した? それは幻覚症状かもしれません [ 拡大 ]

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 「蒸し暑い夏の夜は、怖い話で盛り上がりたい」という怪談好きの人は、時代や年代を問わずいるようです。上手な語り手にかかれば、恐怖や興奮でスリリングなひとときを楽しめるかもしれません。

 心霊現象が純粋に超常現象として存在するのかどうかはわかりません。幽霊やお化けは、一般的に非科学的な現象として扱われています。場や人をわきまえずに、「幽霊が出た」と取り乱してしまったら、怪訝な顔をされてしまうかもしれません。幻聴や幻覚など、場合によっては、その人自身のきちんとした治療が望ましい場合もあるでしょう。

 ここでは、ひと夏の怖い体験ではすまない、心霊現象に関連する心の病気について解説します。

■心霊現象の大部分は、ただの錯覚?

 例えば子供のころ、窓の外で何かが動いたのを見て、「お化けが出た」と騒いでしまったことはありませんか? 「そんなのは怖くもなんともない。オヤジが怒ったときが一番怖かった」と茶化せる人は、心霊現象には無縁かもしれませんが、風に吹かれた木の枝や見慣れない鳥、吹き上げられたゴミなどを、子供が幽霊と勘違いして怖がることは珍しいことではないでしょう。

 大人が訴える心霊現象も、実際はこうした錯覚の延長であることが大部分ではないかと思います。錯覚とは、視覚、聴覚、嗅覚など、体の知覚器官が受けた何らかの刺激を、脳が別のものと勘違いして認識しまう現象です。

 空腹時に人の頭がスイカなどの食べ物に見えたとしたら、それは錯覚かもしれません。ただ、落ち着けばすぐに正しい認識ができる「錯覚」ではなく、もう少し重度な「幻覚」となると、脳内環境に深刻な問題が生じている可能性が出てきます。

■幽霊が見えた? 心霊現象にも似た幻覚症状

 幻覚は錯覚よりも深刻な精神症状です。幻覚には見えないはずのものが見える「幻視」、聞こえないはずのない声が聞こえてくる「幻聴」などがあります。もしも、お盆の夜に数年前に亡くなった故人が現われたら……? まさしく故人の霊が現われたことになり、心霊現象として語られるでしょう。

 しかし、こうした心霊現象も精神医学的な解釈は可能です。脳内環境、特に脳内神経伝達物質のドーパミンの働きに問題が生じたために、知覚に異常が生じ幻を見てしまうわけです。

 幻覚は心の病気の代表的症状。統合失調症などでよく見られますが、脳内に腫瘍などの器質的病変がある場合にも生じます。日常的にも寝入りばなのように、覚醒レベルが低下しているときには何かの声が聞こえてくることがあります。

■霊に取りつかれた……心霊現象にも似た解離性障害

 憑依現象はホラー映画などでもよく描かれます。かわいらしい少女が急に不気味な表情になり、恐ろしい言葉を口走るようになったら……。「悪霊が取りついた」と表現されるいわゆる憑依現象は、精神医学的には「解離性障害」の範疇に入ります。

 解離性障害の「解離」とは、日常的にも軽度なものが見られます。例えば、ボーッとしているときに背中を誰かにたたかれて、ハッと我にかえるような状態は誰にでもあるでしょう。このボーッとしている状態が解離です。解離の程度が大きくなると、病的な症状が出現するようになります。記憶のない時間が現われたり、俗にいう多重人格を発症することもあります。

 憑依現象も心が病的に解離した結果だと解釈できます。悪霊に取りつかれたような行動をとる問題については、「憑依という現象がある」という知識が深層心理に働きかけているためと考えられます。

 例えば、キツネつきなど動物の霊がつくと信じられている地域では、その文化的背景があるために実際に動物の霊がついてしまったような症状が出る人がいるのです。「キツネつき」を知らない人が「キツネつき」のような行動をとることは、精神医学的には考えにくいと思います。

 憑依現象はまれなことだと思いますが、万が一起きてしまった場合は、すぐに精神科(神経科)へご相談ください。

【メンタルヘルス:中嶋 泰憲】

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