アリアドネの糸

【罪人は罪を償える日は来るのか？】

結論からいうと、それは来ない。
どんなに汚泥を掬って罪を償い続けたとしても、
一度貼られた「罪人」の烙印は消えることがない。
いつまでも後ろ指をさされ続ける。

そう、恩師でもあるかつての上司から教わったことである。

たった一度のミスで、
末代までそのレッテルを貼られ、
どんなに償えどもそれはヒトの意識から消えない。

だから、罪人にはなるべきではない。
隣の某もやってるから、というのでは、
ソマリアの海賊どもと変らない。
当然だ、まともにやるより儲かる上に取り締まられない。

だが「不正をしちゃいけませんよ」などと、
馬鹿馬鹿しい奇麗事をここで言いたいわけではない。
下らない道徳や倫理観に対する教育などは、
すでに済ませているはずでしょう？
そして奇麗事では生きていけないことも知っているでしょう。

【カルタゴの塩】


パンサガであてはめてみよう。

例えば、あるクランである１ＰＣによってスパイ行為が
平然と行われたという事実が過去にあったとしよう。
まぁ、ちょんたん・エロフィンがやっていた、とすれば想像しやすいか。

これに対して、世間はどう考えるか。
そのクランからそのＰＣがいなくなったとしても、
そのクランがその後潔癖なクランとして有り続けたとしても、
「不正をするクラン」としてのレッテルは剥がれることはないだろう。
そういうことなのだ。


不正、というものに対する定義も曖昧だ。
完全な規約違反から、不正ｗｐやバグ利用、マクロ、
それこそスパイや妨害キャラなど、グレーゾーンまで幅広く認識される。
グレーゾーンに至っては、
あくまでユーザー間の良識に基づくローカルルールであって、
運営に対してなんらかの動きやフォローを
期待することができないというのが現状だ。


それ故に、しばしば人は極論に陥る。
「バグ利用でなければ仕様だ。
　だったらやったもん勝ちだ。こちらに非はない」

そうやって、不正クランとレッテルを貼られていながらも、
胸を張ってやるというスタンスには恐れ入るところもあるが。

１つを許容すると、今度は歯止めがきかなくなる。
線引きはしょせん、「ユーザー間の良識」でしかなかったのだ。
だったら寝マクロもスパイもやり放題、ということになる。
スパイキャラで指揮官登録して自殺を続けるのも構わないというのだろうか？
そうなってくると、もはや遊び、
すなわちルールありきのゲームにはならなくなってくる。

かつてローマ軍は焦土と化したカルタゴに、
その大地には草一本生えることすら許さないという意味で、
塩をまいたという。

たしかに、それでカルタゴは平和になったかもしれない。
国も軍も兵も、守るべき土地も民もなくなったのだから。
だが、このゲームにおいて、「カルタゴの塩」は？




【箱庭のルール】

運営は、我々に砂場を与えてくれた。
そこに砂城を作るも、トンネルを掘るも、
泥団子を投げ合うも、犬の糞まみれにするのも、
結局はユーザーの良識でしかない。

ゲームにおいては、
プレイヤーが互いのモラルや良識に委ね信じあうことができないと、
ルールがあっても異質な泥沼と化してしまう。


この良識を無視した者・集団が現れたとき、いったい何ができるのか？

非難し、そして罪人としてレッテルを貼り、仲間外れにしていくしかない。
所詮は砂場の遊びだ、やり方も幼稚にせざるを得ない。

もちろん、それは「糾弾する側にも後ろめたいことがある」と
ただの罵りあいになる。
故に、他人の不正を指摘するためには、潔癖さが要求される。


そう、曖昧な正義感で「不正をするな」、といっているのではない。
グレーゾーンで行われる不正行為に対してできることは、
相交わらず、糾弾することだけだ。
そのために、潔癖さを維持していなければならない。
説得力がないからだ。
グレーが黒であるという認識・風潮を与えるべく、
自衛のための安全マージン確保が必要だ、という問題なのだ。

「それ言ったら連とかスパイ置いてた感あった」などとどこぞの屑は言ってたが、さすが馬鹿殿というべきか。現状認識に対する甘さだけは天下一品だ。これがわたしより年だけはくってる人間の言うことなのだから、開いた口が塞がらないといったところだ。
まぁこのように、社会的経験の不足による幼さ（幼さは若さとは違う）では、「自衛のために必要な潔癖性」を理解するのは難しいのかもしれない。


どこぞの痴れ者がスパイ活動していようと、
かのクランが不正ｗｐやバクステ壁登りに躍起になっていようと正直構わないのだ。
「ああいうクラン（国家）だから」とレッテルを貼って笑っておけばいい。
己の首を真綿で絞めているようなものなのだから。
そのＰＣ自らの手で、所属するクランや国家の民度を貶めているのだ。

問題は、身内にそれがいては困る、ということだ。
それ故に問う、皆の望む戦争とはどういうものなのか。

なぜ、運営の敷いたルール内であっても、
グレーゾーンの不正に眉を顰める気分になるのか。
やっている側が大々的に口にしないのはなぜか。


良心の呵責、だよ。
それは後ろめたいことであると、本人も気づいているから。

だから、敵味方問わず、あらゆるグレーな不正行為は看過しない。
もちろん利用もしない。そして許さない。
それしか守る方法がないのだ。

かつて「帝国のために汚泥をすすってでも」といって奔走していた者がいたが、ミイラ取りがミイラになった。
これらを許容するかは好みの問題ではなく、民度の問題であり、
失われた将来への展望をいかに再生するかということが重要なのだ。

内戦の続くソマリアで必要なのは、武器か？食料か？金か？
答えは、「学校」なのだ。
同胞の過ちを見てみぬふりをするのは、
踏みにじられた祖国に塩を撒くのと同義だ。
それを教え伝えるに必要なのが、言葉であり歴史であり、学校なのだ。