「…わかった
ゴミ屋敷に住むのなんかゴメンだからな」
「契約成立
よろしく千尋」
■2巻発売しました。
小学6年生にして掃除・洗濯・炊事を完璧にこなす、母子家庭育ちの千尋。そんな彼は今、とある豪邸で住み込みのメイドとして働いている。この歳で早くも親を亡くし、身寄りがなくなったところに、叔父と名乗る男・鷹宮が手を差し伸べたのだ。しかし「働かざるもの食うべからず」という教えの元育った千尋は、その環境を無条件で受け入れることに抵抗。そんな彼を見兼ね、鷹宮はこんな条件を出す「3食おやつ付き、住み込み個室付き、学費免除で家事をする」。その条件を呑み、一緒に暮らすことになった千尋は、今日もメイド仕事に精を出す!?
ショタメイド萌え…ではなく、人と人の温かく優しい絆を描く、ホームコメディです。いや、やっぱりショタメイド萌え作品かも。というか、私は不覚にも萌えてしまいました、千尋に。っていうか表紙からこの破壊力、読んでさらに萌えるというおトク感。このビジュアルで、ややツンデレの気あり、そんでもってメイドですよ。男でも、萌えるに決まってんだろ!?どうしよう、ショタに目覚めたら色々アウトな気がするのですが…。いや、もう目覚てるのか!?
つきあうに決まってんだろ!?しかし千尋、誰かに似てる気がするんだよなぁ…。
さてお話ですが、背景はあらまし紹介まんまです。主人公は、世話好きのメイド・千尋。そしてその雇い主は鷹宮。衣装デザイナーとして活躍しているのですが、かなりだらしない性格で、家事は全くダメ。そんな彼を千尋が厳しく律するという関係。また鷹宮の世話人(秘書?マネージャー?)桂一郎がレギュラーとして登場し、話に色を添えます。彼が一番普通の人だと思う。また女性キャラも登場します。鷹宮の許嫁、ツンデレ女子高生の美耶子がそれで、花嫁修業として千尋の指導を仰ぎ、毎週屋敷に通ってきます。どのキャラも、あからさまな「作られた感」がせず、ストーリーに絶妙にマッチ。上手い具合にバランスが取れております。
また話の展開も上手いなぁ、と。貧乏だと思ってたら、実は親戚がお金持ちで…という展開は、「究極ヴィーナス」(→レビュー)や「メイちゃんの執事」(→レビュー)など多々ありますが、これが一番自然な気がしました。住み込みメイドなんてナンセンスだと思われるかもしれませんが、これは鷹宮が強制しているわけではなく、あくまで千尋の意思を尊重しての選択。ギブアンドテイクの関係を作り出すことで、千尋に気兼ねなく環境を受け入れてもらおうという配慮です。こういう時大切なのは、いかに相手の納得する形を用意できるかということ。そう考えたとき、この選択は上手いな、と。
またあくまでメイド生活がメインなので、学校生活の描写は少なめ。黒ランドセルは「男」を想起させる要素なのですが、それがあまり登場しないのは嬉しい。ガチショタの人には残念なのかもしれませんけど、やや中性的な存在の千尋(容姿だけじゃなく、名前も狙ってるだろ、コレ)に萌える際は、この措置はプラスになるのです。
【オトコ向け度:☆☆☆ 】
→単なるネタ作品じゃないです。それほどクセがないので、思いの外読みやすいと思います。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→まず人間関係がしっかり描かれているので、読み心地が非常に良いです。それだけでも読む価値アリ。ショタメイド萌えなんてのはオマケ…ですが、萌えられるなら2度美味しいです。個人的には☆5。
作品DATA
■著者:乙橘
■出版社:エンターブレイン
■レーベル:B's-LOG COMICS
■掲載誌:B's-LOG(2008年4月号〜連載中)
■既刊2巻
■価格:各620円+税
■購入する→Amazon