リビア政権は崩壊した。この北アフリカ・中東の混乱は「民主化のうねり」だというのは嘘八百で、あからさまに欧米が主導であるのは、もはや誰の目にも明らかになっている。
もう誰も「中東の春」だとか「ソーシャル・ネットワーク革命」だとか、国民が主体に反政府運動を起こしたようなニュアンスのある言葉は誰も口にしない。
どう見ても欧米が全力でリビア政権やシリア政権を倒そうとする姿がそこにある。
最初は欧米も背後にいて目立たなかった。しかし、カダフィ大佐が徹底抗戦を宣言したあたりから、フランスもイギリスも本気を出して倒しにかかっていっている。
状況を見ると、本当は2011年の2月から3月のどこかでカダフィ政権が倒れる「予定」で欧米は動いていたように見受けられる。
しかし、そうならなかったので、NATO軍まで動かしたが、戦闘は半年も続いた。つまり、予定が半年も狂っている。おまけに、シリアの抵抗も激しく、こちらはこれからの勝負だ。
欧米は親米政権だったチュニジアもエジプトも壊し、欧州と協力関係に入ったばかりのカダフィ政権をも壊し、ヨルダンもイエメンもシリアもサウジも片っ端から政情不安にさせている。
石油利権を考えるのであれば、親米・親欧政権を維持していたほうがやりやすい。しかし、今はそれらをすべて一掃しようとする勢いである。
この地域に広くスパイ網を張っていたイスラエルですら先が読めずに対応に失敗した。
イスラエルはアメリカと同心一体の国だが、そのイスラエルでさえ国内で暴動が起きていて、ネタニヤフ政権が突き上げられているのである。
イスラエルは最初から今回の中東の騒乱には危機的な意識を持っていた。
「ムバラク大統領が崩壊すると、中東の混乱は収拾がつかなくなる」
エジプトのムバラク政権が崩壊しつつあるとき、イスラエルはオバマ政権に伝え、ムバラク擁護を訴えた。しかし、オバマは動かなかった。
「オバマの弱腰外交が中東の政変を招いており、これはカーター大統領の二の舞だ」
そういって、まったく中東の混乱を収めようとしないアメリカにユダヤ系のメディアは噛み付いていたが、アメリカは逆にムバラク政権を崩壊させる方向に動いた。
そして、リビアでも騒乱が起きると、やはりカダフィ政権の崩壊に向けて動いている。
イギリスとイタリアは当初、カダフィ政権とは非常に深くビジネス取引があって、カダフィ政権の崩壊は望んでいなかった。
トニー・ブレア元首相はあまりにカダフィ政権との癒着が大きかったためにかなり動揺していた。デイリーメール紙のインタビューではこう答えている。「私は今起きていることに、他の誰よりも驚愕している」
ブレア元首相はイギリスの代表でもあるが、さらに言えばイギリスでもっとも重要な企業BP(旧ブリティッシュ・ペトロリアム)のエージェントでもある。
リビアの石油利権はすでにトニー・ブレアを介して、BPががっちりと持っていた。逆に言えば、石油利権のためにリビアが崩壊しては困る状況だった。
また、防衛計画から軍のトレーニングを請け負う契約をリビアとも交わしているのだが、こちらはアメリカのJ.P.モルガンの代理人として動いていた。
ここから見えるのは、イギリスもまたリビアで起きている事態は不意打ちだったということである。
この点ではイタリアも同じだ。ベルルスコーニ首相とカダフィ大佐は美しい女を交換しあうほどの仲だったし、リビアの石油を買っていたのもイタリアだった。カダフィ政権が倒れてイタリアにとっていいことは何ひとつない。
しかしカダフィ政権が打倒されるのは既成事実化していく流れとなり、オバマもヒラリーもそれを「望む」発言と行動をやめることはなかった。
そうなると、窮地に陥るのはイギリスだ。下手にカダフィ大佐が生き残ると、今までの裏の取引が暴露されてしまう。
イギリスのスパイがリビアに入り込んで必死になってカダフィ大佐を探しまわっているのも分かる。生け捕りではなく抹殺されなければならないとイギリスは考えているはずだ。
中東で親米政権が崩壊していくとアメリカの影響力は中東から消えていく。ドル防衛から見ても現在起きていることは非常に不利だ。従来ならばそれは許されざる動きだったとも言える。
カダフィ政権が倒れるとイギリスの利権も消えて行く。従来ならばそれも許されざる動きだったとも言える。
イスラエルはポスト・ムバラク、ポスト・カダフィがどうなるのかまったく分からない状況になるのだから、国が存続できるかどうかの正念場に来ている。これも、従来ならばそれも許されざる動きだったとも言える。
つまり、アメリカのドル防衛的にも、イギリスの利権維持的にも、イスラエルの存続的にも、今起きている中東・北アフリカの動きは、すべて「起きてはいけないこと」なのである。
そう考えると、今起きているこの騒乱は、今までの欧米の動きとはまったく違うものであることが分かってくる。
何かが変わった。第二次世界大戦後に作られた世界秩序のルールが今、すべて破壊されつつある。まさに、ゲーム・チェンジである。
アメリカの衰退、ドル覇権の縮小、ユーロの瓦解、中東の政権崩壊、日本の凋落、イスラエルの窮地は、2011年1月から一気に加速化されている。
別々の事件が適当に起きているのではなく、ひとつの意図を持って起こされている。何か、とてつもなく大きな「計画」が、今まさに目の前で動いている。
それは驚いたことに、今までの秩序、利権、国家計画、スキームをすべて吹き飛ばしてでも遂行されている。今までの常識が通用しない時代が来ており、とても危険な方向に向かっている。
私たちはカタストロフィ(大崩壊)に準備しなければならない時期になっているのだろうか。はっきりとした確証は何ひとつないが、どうやらそのように見える。
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もう誰も「中東の春」だとか「ソーシャル・ネットワーク革命」だとか、国民が主体に反政府運動を起こしたようなニュアンスのある言葉は誰も口にしない。
どう見ても欧米が全力でリビア政権やシリア政権を倒そうとする姿がそこにある。
イスラエルも望まない事態
最初は欧米も背後にいて目立たなかった。しかし、カダフィ大佐が徹底抗戦を宣言したあたりから、フランスもイギリスも本気を出して倒しにかかっていっている。
状況を見ると、本当は2011年の2月から3月のどこかでカダフィ政権が倒れる「予定」で欧米は動いていたように見受けられる。
しかし、そうならなかったので、NATO軍まで動かしたが、戦闘は半年も続いた。つまり、予定が半年も狂っている。おまけに、シリアの抵抗も激しく、こちらはこれからの勝負だ。
欧米は親米政権だったチュニジアもエジプトも壊し、欧州と協力関係に入ったばかりのカダフィ政権をも壊し、ヨルダンもイエメンもシリアもサウジも片っ端から政情不安にさせている。
石油利権を考えるのであれば、親米・親欧政権を維持していたほうがやりやすい。しかし、今はそれらをすべて一掃しようとする勢いである。
この地域に広くスパイ網を張っていたイスラエルですら先が読めずに対応に失敗した。
イスラエルはアメリカと同心一体の国だが、そのイスラエルでさえ国内で暴動が起きていて、ネタニヤフ政権が突き上げられているのである。
イスラエルは最初から今回の中東の騒乱には危機的な意識を持っていた。
「ムバラク大統領が崩壊すると、中東の混乱は収拾がつかなくなる」
エジプトのムバラク政権が崩壊しつつあるとき、イスラエルはオバマ政権に伝え、ムバラク擁護を訴えた。しかし、オバマは動かなかった。
「オバマの弱腰外交が中東の政変を招いており、これはカーター大統領の二の舞だ」
そういって、まったく中東の混乱を収めようとしないアメリカにユダヤ系のメディアは噛み付いていたが、アメリカは逆にムバラク政権を崩壊させる方向に動いた。
カダフィ政権と癒着していたイギリス
そして、リビアでも騒乱が起きると、やはりカダフィ政権の崩壊に向けて動いている。
イギリスとイタリアは当初、カダフィ政権とは非常に深くビジネス取引があって、カダフィ政権の崩壊は望んでいなかった。
トニー・ブレア元首相はあまりにカダフィ政権との癒着が大きかったためにかなり動揺していた。デイリーメール紙のインタビューではこう答えている。「私は今起きていることに、他の誰よりも驚愕している」
ブレア元首相はイギリスの代表でもあるが、さらに言えばイギリスでもっとも重要な企業BP(旧ブリティッシュ・ペトロリアム)のエージェントでもある。
リビアの石油利権はすでにトニー・ブレアを介して、BPががっちりと持っていた。逆に言えば、石油利権のためにリビアが崩壊しては困る状況だった。
また、防衛計画から軍のトレーニングを請け負う契約をリビアとも交わしているのだが、こちらはアメリカのJ.P.モルガンの代理人として動いていた。
ここから見えるのは、イギリスもまたリビアで起きている事態は不意打ちだったということである。
この点ではイタリアも同じだ。ベルルスコーニ首相とカダフィ大佐は美しい女を交換しあうほどの仲だったし、リビアの石油を買っていたのもイタリアだった。カダフィ政権が倒れてイタリアにとっていいことは何ひとつない。
しかしカダフィ政権が打倒されるのは既成事実化していく流れとなり、オバマもヒラリーもそれを「望む」発言と行動をやめることはなかった。
そうなると、窮地に陥るのはイギリスだ。下手にカダフィ大佐が生き残ると、今までの裏の取引が暴露されてしまう。
イギリスのスパイがリビアに入り込んで必死になってカダフィ大佐を探しまわっているのも分かる。生け捕りではなく抹殺されなければならないとイギリスは考えているはずだ。
今まさに目の前で動いている
中東で親米政権が崩壊していくとアメリカの影響力は中東から消えていく。ドル防衛から見ても現在起きていることは非常に不利だ。従来ならばそれは許されざる動きだったとも言える。
カダフィ政権が倒れるとイギリスの利権も消えて行く。従来ならばそれも許されざる動きだったとも言える。
イスラエルはポスト・ムバラク、ポスト・カダフィがどうなるのかまったく分からない状況になるのだから、国が存続できるかどうかの正念場に来ている。これも、従来ならばそれも許されざる動きだったとも言える。
つまり、アメリカのドル防衛的にも、イギリスの利権維持的にも、イスラエルの存続的にも、今起きている中東・北アフリカの動きは、すべて「起きてはいけないこと」なのである。
そう考えると、今起きているこの騒乱は、今までの欧米の動きとはまったく違うものであることが分かってくる。
何かが変わった。第二次世界大戦後に作られた世界秩序のルールが今、すべて破壊されつつある。まさに、ゲーム・チェンジである。
アメリカの衰退、ドル覇権の縮小、ユーロの瓦解、中東の政権崩壊、日本の凋落、イスラエルの窮地は、2011年1月から一気に加速化されている。
別々の事件が適当に起きているのではなく、ひとつの意図を持って起こされている。何か、とてつもなく大きな「計画」が、今まさに目の前で動いている。
それは驚いたことに、今までの秩序、利権、国家計画、スキームをすべて吹き飛ばしてでも遂行されている。今までの常識が通用しない時代が来ており、とても危険な方向に向かっている。
私たちはカタストロフィ(大崩壊)に準備しなければならない時期になっているのだろうか。はっきりとした確証は何ひとつないが、どうやらそのように見える。
〓 この話題について、参考になる書籍・メディア
無差別テロの脅威—21世紀型の戦争の実態
テロリズムとはこう戦え
「テロ対策」入門—遍在する危機への対処法
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