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「誰が首相でも同じ」 被災地視線冷ややか 民主代表選
 | 被災者不在で混迷を深める民主党代表選。避難所のテレビに映った立候補者の共同記者会見に、関心を示す被災者は少なかった=27日、石巻市の石巻中体育館 |
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民主党代表選の火ぶたが切られた27日、東日本大震災の被災地は、内向きの宰相レースに冷ややかな視線を送った。震災から5カ月が過ぎても、被災者の生活環境は一向に良くならない。「誰が首相でも同じなんじゃないか」。被災地の政治不信は極まっている。
宮城県石巻市の無職木村和樹さん(29)は津波で自宅が半壊し、今なお避難所暮らしを強いられている。勤務先の水産会社も被災し、仕事まで失った。 「今後の生活を考えると、就労支援に最も力を入れてほしい」と願うが、権力闘争に明け暮れる政治に失望を隠さない。「党利党略でなく、被災地の現実をしっかり見据え、実行力ある代表が選ばれてほしい」と祈る。 宮城県南三陸町の町臨時職員和泉博文さん(40)は「この5カ月、今日を生きるのに精いっぱいだった。首相交代劇は別世界の出来事のようで、被災者にとっては茶番に感じる」と言う。 仮設住宅への入居は2年間とされる。3人の子どもを抱え仮設に住む和泉さんは、先が見えず不安に駆られる。「被災したことで、政治がこれほど生活に関係してくるとは…」。復旧・復興の遅さにいら立ちが募る。 「誰が首相になっても現状を打破してくれないのではないか」。石巻市の主婦菊地悦子さん(53)は疑心暗鬼になる。「党内で足の引っ張り合いをしている場合だろうか。重要なのは誰が政治をするかでなく、どんな政治をするかだ」と語る。 5人が立候補した代表選は、今回も党内最大勢力を要する小沢一郎元代表との距離が、主要な対立軸となっている。 名取市閖上の自宅が被災した契約社員渡辺成一さん(62)は「首相交代は歓迎だが、またも『親小沢』『反小沢』という数の論理で動いているのは残念だ。新代表は党内をまとめ、早く復興に道筋を付けてほしい」と結束を求めた。 気仙沼市の主婦加藤美和さん(42)は「被災地無視の政争にはあきれるばかり」と手厳しい。震災から5カ月たっても、被災地は復興の糸口さえ見えない状況。「本格的な政権運営を担える体制を、早く構築してもらいたい」と切実に訴える。 仙台市泉区の主婦安部得多子さん(76)は「菅直人首相が政策を進められなかったように、誰が代表でも政権運営は行き詰まるのでは」と懸念。「自分の利害しか考えない政治家が多いように見える。被災者を思えば、政争どころでないはずなのに」と肩を落とした。
2011年08月28日日曜日
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