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07/25(月曜日)
既にKAN-FULL TV第22話でご紹介しましたが、先月、NPO制度をより一層使いやすくするための画期的な制度見直しの法案が成立しました!
制度見直しの趣旨は、多様化する社会のニーズを人々の支え合い、地域の絆で充足していく社会づくりに向けて、その重要な担い手となるNPO法人が活動しやすい基盤を整えること。以下で詳しく説明しましょう。
NPO法人を取り巻く状況
「特定非営利活動法人」という言葉を聞くとほとんどの方は???と思われるかもしれませんが、「NPO」という言葉は、既に定着しているといえるのではないでしょうか。
阪神淡路大震災後のボランティア活動を支援する新たな制度として制定されたのが「特定非営利活動促進法」(NPO法)です。平成10年に制定され、制度発足から12年あまりを経て、いまや4万以上のNPO法人が存在しています。東日本大震災の復旧・復興にあたっても、多くのNPO法人が被災地で活躍されていることは、皆さんもご存じのとおりです。
福祉、教育・文化、まちづくり、子育て、環境、国際協力など、様々な分野でのNPO法人の活動を支援するため、一定の要件を満たしたNPO法人に税制上の優遇を行う制度を平成13年に設けました。これが「認定NPO法人」制度です。
しかし、認定要件が厳しいという声があり、全国で42,741あるNPO法人のうち、税制の優遇が受けられる「認定NPO法人」の数は、223法人と、全体の約0.5%にとどまっています(平成23年7月1日現在)。
「平成22年度特定非営利活動法人の実態及び認定特定非営利活動法人制度の利用状況に関する調査」より
図1:認定要件の厳しさが認定申請のネックに
また、日本では、寄附総額がGDP比わずか0.11%であるなど、寄附文化が育っていないため、NPO法人の活動の資金面でのサポートが弱く、多くのNPO法人が財政難で困っているといわれます。
総務省統計局、国税庁、AAFRC Giving USA2009、NCVO UK Voluntary Sector Almanac 2008より
図2:日・米・英の寄附総額と寄附支出比率
そこで、NPO法人を支援したい市民にとっても、NPO法人にとっても、より使いやすく、NPO法人の活動基盤をしっかりと支えられるような仕組みにすることが急務となり、今般の制度見直しに至ったものです。
見直しの具体的な内容
今回の制度の見直しのポイントは以下のとおりです。
(1)税制上の優遇が受けられる「認定NPO法人」の対象を広げる(=NPO法人が寄附を集めやすくする仕組み)
認定NPO法人として認められるためには、「市民から広く支持を受けている」ことが認定要件の一つとなっていますが、その判断基準を緩和します※1。また、活動実績が少ない法人でも税優遇が受けられるよう、設立5年未満の法人には、要件を緩和した仮認定制度を導入します※2。
※1:従来は「寄附金が総収入に占める割合が1/5」であることを要件としていたが、新たに「各事業年度に3,000円以上の寄附を平均100人以上から受けること」という絶対値基準を設け、どちらかを満たせばよいこととした。また、事務所所在地の自治体の条例で個別指定を受けた場合には、要件を免除することとした。
※2:平成24年4月1日から3年間は、設立後5年以上の法人も仮認定を受けられることとしている。
(2)市民が寄附をしやすくなるよう、税制上の優遇措置を拡大する(=市民の側が寄附をしやすくする仕組み)
所得税の軽減制度を大幅に拡充し、少額の寄附でも相当程度の税金の軽減を受けることができるようにします。新たな制度のもとでは、認定NPO法人等※3に2000円以上の寄附をすると、その超えた分の寄附金額の最大半分が所得税や住民税から減額されることになります。
※3:ⅰ)認定NPO法人と同様の基準を充たした公益社団・財団法人、学校法人、社会福祉法人、更生保護法人、ⅱ)都道府県・市町村が条例で個別に指定したNPO法人も含まれる
(3)NPO法人関連事務を身近な自治体に移管
認定事務を国税庁から地方自治体に移管するなど、自治体の役割を強化し、自治体とNPO法人の協働しやすい環境を整えます。
これらの見直しのうち、(1)は本年6月30日から施行されており(仮認定制度の導入は、来年4月1日からとなります)、(2)については平成23年分から適用されます。また、(3)は来年4月1日から施行されます。
社会を良くしたいという市民の想いを後押ししたい!
被災地でも、住宅の片付けやガレキの撤去、医療支援、被災された方の心のケア、などに大活躍されているNPO法人の数々。今後、「新しい公共」の担い手としてもその存在感は増してくるに違いありません。NPO法人の今後の活動の広がりには、期待は大きく広がります。
こうした公的サービスにも参加するNPO活動をあなたも応援してみませんか?
自らはボランティア活動に参加できなくても、寄附をすることは「当事者」としてそうした活動に参加することに他なりません。日本に「寄附文化」を発展させ、市民の皆さんが社会を良くしたいという想いを後押しする今回の制度改正。ぜひとも活用ください!