08/12(金曜日)

震災5ヶ月--誰ひとり孤立しない社会に向けて

 

昨日で、大震災から5ヶ月が経ちました。復旧・復興への取組みを日々進めながら、特に気にかけなければならないと思うことがあります。それは、震災によって《人と人との絆》が切れてしまい、孤立に直面している方への目配りです。

 

社会の中で孤立している人を、どう包み込むのか。《包摂》は、この震災が起きる前、私が総理就任直後の所信表明演説の時から掲げてきた重要テーマの一つです。折しも一昨日、私がお願いしていた「一人ひとりを包摂する社会」特命チームが、緊急政策提言を発表しました。

 

一昨年の正月、私は日比谷公園の「年越し派遣村」にいました。そこで"村長"として、貧困問題に体当たりで関わっていたのが、湯浅誠さんでした。同じ頃、自殺問題に真正面から取り組み続けるNPO「ライフリンク」の清水康之代表とも知り合いました。机上の議論ではなく、こうした現場主義の人達の実体験からしか、孤立問題の出口は見つからない。そう思って、私はお二人に頼み込んでこの特命チームの屋台骨になって頂きました。そして福山官房副長官を座長に、約7ヶ月の検討と、度々の被災地訪問などを積み重ね、今回の提言に至ったのです。

 

個人が社会から排除されるリスクというものが、この社会の中でどのように広がり、連鎖しているのか。まずは、それをきちんと実態調査して、直視しなければなりません。

 

もちろん、従来から色々な支援制度はありますが、現実を凝視すれば、全ての人が切れ目なくカバーされているわけではありません。例えば、高校を中退して、居場所の無くなった若者。誰かがそこに声をかけ、話をする機会が用意されれば、また新たな人生の展開が始まるでしょう。そんな一人ひとりへのパーソナル・サポート体制を、まずはモデルケースを拓くことで、先導します。

 

更に、このチームの初会合の席で私が提示したのが、全国的なコールセンター作りです。ワンストップで電話相談を受け付け、悩みを傾聴し、寄り添い、アフターフォローまで行う。そんな事業の実現に向け、さらに検討を深めてもらうことになりました。

 

---この提言は、巨額の予算が動く事業ではないけれど、大切さという意味でとても"大きい"仕事です。それを私の総理在任中にまとめて頂けたことを、嬉しく思います。特に、これからの復興への作業の中で、被災地にこそ《社会的包摂》のモデルを実現してほしい。三次補正でもしっかりと予算をつけ、こうした社会づくりの"芽"をきちんと育ててもらいたい。誰ひとりとして排除されることのない社会の実現に向けて、そう強く願います。

 



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