08/26(金曜日)

菅政権の仕事・総括報告(2)経済・財政・社会保障の一体的改革

 

菅政権がしてきた仕事を、まとめて御報告するシリーズ。第二回のテーマは、「経済・財政・社会保障の一体的改革」です。菅政権の取り組んだ経済政策全般を《経済成長》《財政健全化》《社会保障》の区分けに沿って、順に振り返ってみましょう。
(赤数字は、シリーズの通し番号です。)

 

《経済成長》

●新成長戦略

就任後の6月、[9]「新成長戦略」を閣議決定しました。かつてのような公共事業による経済成長(「第一の道」)や供給サイドの効率化に偏った成長戦略(「第二の道」)ではなく、新たな需要と雇用の創造による成長(「第三の道」)を目指し、7つの戦略分野と21の国家戦略プロジェクトを推進してきました。「新成長戦略実現会議」を設置し、これらのプロジェクトを本格的に実行する体制も構築しました。

国内産業の空洞化を防止するため、昨年11月には[10]「日本国内投資促進プログラム」を策定。平成23年度税制改正法案において、法人実効税率の5%引下げが盛り込まれたほか、低炭素型産業の国内立地への補助を実施してきました。

他国との経済連携については、昨年11月に[11]「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定し、アジア太平洋地域における21世紀型の貿易・投資ルール形成に主導的に取り組むことを決めました。インド、ペルーと交渉を妥結したほか、EUと交渉のためのプロセスを開始、日中韓FTA実現に向けた取り組みも進めました。

高いレベルの経済連携の推進と両立させるべく、農林漁業の再生にも取り組みました。昨年11月に「食と農林漁業の再生実現会議」を立ち上げて議論を進め、その後、東日本大震災の発災も踏まえ、平成23年8月に[12]「我が国の食と農林漁業の再生のための中間提言」をとりまとめました。

 

●経済対策の推進等

昨年9月、急速な円高や海外経済の減速のリスクに対し「3段構えの経済対策」を発表し、[13]「ステップ1」として同月に「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」(約0.9兆円の経済予備費の活用等)、[14]「ステップ2」として10月に「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」(約4.9兆円の平成22年度補正予算の活用等)を実施するとともに、[15]「ステップ3」として、平成23年度予算・税制等により新成長戦略の本格実現に向けた措置を講じました。

また、東日本大震災以降、日本再生に向けた取組を進めるため、経済財政運営の基本方針や、財政・社会保障の持続可能性確保、新たな成長へ向けた国家戦略の再設計・再強化の方針を示すべく、本年5月には[16]「政策推進指針~日本の再生に向けて~」、8月には「政策推進の全体像」を閣議決定しました。

 

●雇用対策の推進

「3段構えの経済対策」や、平成22年12月の[17]雇用戦略対話合意(雇用戦略・基本方針2011)に基づき、新卒者等雇用対策の推進、雇用調整助成金の活用による企業の雇用維持努力の支援など、雇用を「つなぐ」、「創る」、「守る」の3本柱による政策を展開しました。

 

《財政健全化》

●「財政運営戦略」の策定

政権発足直後の昨年6月に[18]「財政運営戦略」を閣議決定し、「国・地方の基礎的財政収支について、遅くとも2015年度までにその赤字の対GDP比を2010年度の水準から半減し、遅くとも2020年度までに黒字化する」との目標を設定するとともに、ペイアズユーゴー原則や財政赤字縮減ルールなどの財政運営の基本ルールを導入しました。

「財政運営戦略」では、イギリスの仕組み等も参考に、向こう3年の基礎的財政収支対象経費の上限等を定める[19]「中期財政フレーム」を導入し、各年央に改訂することとしました。平成23年8月の改訂では、震災対応等は別途管理とした上で、財政規律の維持を図ることとしています。

 

●23年度予算案での対応

平成23年度予算案の策定にあたっては、社会保障関係費を5.3%増加させ、科学研究費補助金を3割増とする一方、公共事業関係費を実質5%削減するなど、[20]従来型の配分を大胆に組み替えたほか、[21]「元気な日本復活特別枠」を活用し、新成長戦略やマニフェストに掲げた優先度の高い施策等に重点配分しました。

昨年10~11月に事業仕分け第3弾を実施し、特別会計の仕分けを行うととともに、これまでの事業仕分け等の評価結果・指摘事項が的確に反映されていないものについて「再仕分け」を実施しました。また、これまでの事業仕分けの成果を23年度予算に反映しました。

予算の大胆な組み替えを行い、優先度の高い施策に重点配分を行う一方で、「中期財政フレーム」に沿って、歳出の大枠71兆円以下、国債発行額44兆円以下を堅持しました。

 

《社会保障改革》

少子高齢化の進行等、社会経済状況が大きく変化する中、国民生活の安心を確保するため、社会保障と税の一体改革に着手し、平成22年10月から検討を開始、「社会保障改革に関する集中検討会議」で精力的に議論を進め、平成23年6月に、社会保障改革の安定財源確保と財政健全化の同時達成に向けた取組等を明らかにした[22]「社会保障・税一体改革成案」をとりまとめました。(具体的な内容は、これまで「一歩一歩」でも紹介してきたとおりです。)

また、社会保障と税の各制度における効率性、透明性の向上を図り、給付や負担の公平性を確保するインフラとしての番号制度導入に向け、本年6月、[23]「社会保障・税番号大綱」をとりまとめました。

 

次回は、「国民・市民の目線からの取組」について総括します。

 



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