菅直人首相が27日に福島県内に設置する方針を明らかにした「中間貯蔵施設」は、青森県むつ市で建設が進められている使用済み核燃料を再処理する前に一時的に貯蔵するための中間貯蔵施設とは異なる新しい施設になるとみられる。
政府は現在、福島県を放射性廃棄物の最終処分場にしない方針を示しており、菅首相が設置方針を表明した「中間貯蔵施設」は、東京電力福島第1原発から放出された放射性物質で汚染されたがれきや土壌などを「低レベル放射性廃棄物」と同等のものとして貯蔵する施設になる見通しだ。
原発の通常の低レベル放射性廃棄物の一部は、青森県六ケ所村の低レベル放射性廃棄物埋設センターでセメントやモルタルなどで固めた後、ドラム缶に入れて、地中に埋設処分する。
これに対し、この日明らかになった「中間貯蔵施設」は、野積みされている仮置き場と安全に管理された最終処分施設との中間の施設と位置づけられ、放射性物質の地下水汚染や大気中への飛散などの防護設備を備えたものを想定している。しかし、事実上の「最終処分施設」になりかねない。【比嘉洋】
毎日新聞 2011年8月28日 東京朝刊