環境省は27日、東北、関東地方など16都県を対象に廃棄物焼却施設で出た焼却灰を調べた結果、7都県42施設で、埋め立て可能な暫定基準(1キロ当たり8000ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されたと発表した。東京電力福島第1原発事故による汚染が広範囲に広がっていることが改めて示された。
同省は福島県に限り、同10万ベクレルまでは埋め立てを許容する方針を既に提示しており、福島県以外にもこの方針を拡大する考えだ。
調査は、東京都内の焼却施設で6月、暫定基準を超える放射性セシウムが検出されたことから、青森県を除く東北5県、関東・甲信越地方と静岡県の計16都県に対して同省が要請していた。
その結果、焼却灰のうち、焼却炉内に残った「主灰」からは、福島県内の7施設で放射性セシウムが暫定基準を超えた。フィルターなど集じん設備から回収した「飛灰」からは、岩手2▽福島16▽茨城10▽栃木3▽群馬2▽千葉8▽東京1--の各施設で暫定基準を超えた。最も高い数値は、福島市内の焼却場で検出された9万5300ベクレルだった。
27日開かれた、がれき処理に関する安全性検討会では「廃棄物処理を進め、身近な環境から放射性物質を取り除くことが重要」として、8000ベクレル以下の焼却灰は従来通り埋め立て処分を急ぐ一方、8000ベクレル超~10万ベクレルの焼却灰についても福島県同様、適切に処分することが必要との意見で一致した。【江口一】
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◆廃棄物焼却施設の焼却灰測定結果(概要)◆
都道府県 測定結果
岩手県 19 (2) 不検出~30000
宮城県 18 (0) 不検出~ 2581
秋田県 16 (0) 不検出~ 196
山形県 14 (0) 不検出~ 7800
福島県 22(16) 不検出~95300
茨城県 30(10) 42~31000
栃木県 18 (3) 217~48600
群馬県 24 (2) 20~ 8940
埼玉県 48 (0) 93~ 5740
千葉県 58 (8) 不検出~70800
東京都 54 (1) 不検出~12920
神奈川県 39 (0) 不検出~ 3123
新潟県 35 (0) 不検出~ 3000
山梨県 13 (0) 不検出~ 813
長野県 27 (0) 不検出~ 1970
静岡県 34 (0) 不検出~ 2300
計 469(42)
※数字は報告施設数、カッコ内は1キロ当たり8000ベクレルを超した施設数。測定結果の単位は1キロ当たりのベクレル数。
毎日新聞 2011年8月28日 東京朝刊