クルマ好きの私としては、見過ごせない記事です。
『 長年にわたり地域医療に尽力し、周囲に慕われたベテラン医師が、法廷に立った。
首都高で制限速度を80キロ以上超え走行したとして、道交法違反罪に問われた男性被告(58)の肩書は「文京区医師会」会長。愛車ポルシェを“暴走”させたワケは−。(時吉達也)
東京地裁で10日に開かれた初公判。検察側の冒頭陳述などによると、被告は1月4日深夜、自宅に向け東京・中野の首都高中央環状線トンネル内を走行していたところ、後ろか らハイビームを点灯させたり、幅寄せしながら追い越していったトラックに「許せない気持ちになり」(捜査段階の供述)、激高。「運転手の会社に通報してやろう」と、トラックを追いかけようとポルシェを急加速させ、制限速度60キロを81キロ超える141キロで走行したとされる。
起訴内容を認めた被告は、摘発後の3月まで4年間、かつて父親も務めた同医師会の会長職に就き、警視庁から感謝状を受けたこともある地域の「名士」。証人として証言台に立った先輩医師は、「温厚で寛容な性格。看護師からも慕われている」と語り、今回の事態に驚きを隠せない様子だった。
被告人質問では、「(トラックに)白線をまたぐ形で接触するように幅寄せされ、初めての経験でしばらくあっけにとられた」「ブレーキを踏まなければ、本当にぶつかっていたかもしれない。トラックの名前を確認しておかなければと思った」と被害を強調。検察官に速度違反の前歴を指摘され、ハンドルを握ると人格が一変する“スピード狂”だったの かと問われても、「それはない」ときっぱり否定した。
しかし、裁判官の追及が始まると、被告の主張も勢いを失っていった。
裁判官「中央環状線はよく通りますか」
被告「2〜3カ月に1度くらい」
裁判官「現場にオービス(速度違反自動取締装置)があるのは知っていましたか」
被告「はい。オービスを知らせる看板も見ていましたが、トラックが気になってしまって…」
裁判官「『熱く』なっていた?」
被告「いえ、バックミラーばかりみて走っていたので、そちらに気を取られてしまいました」
裁判官「オービスの存在を忘れてしまったんですね」
被告「もともと具体的な設置場所は存じていなかったですし…」
“言い訳”にしびれを切らせたように、裁判官の口調も「熱く」なっていく。
裁判官「自宅も近かったんですよね。そこまで熱くなることですか?」
被告「深く反省しています」
裁判官「社会的地位も名誉もある人がやることじゃないですよね」
被告「そう思います」
裁判官「オービスを忘れるくらい熱くなっていたら、危険でしょう。冷静な状態でも何か飛び出したりしたら大変なのに。オービスを知っていても気づかないようじゃ、思わぬ事態に対応できないし。『80〜90キロくらいで走っていたつもり』と言って、実際は140キロでしょ? 正確に(速度の)認識もできていない。一歩間違えば、どんな事故につながるかもわからない」
返答の間も与えず言葉を継ぐ裁判官に、被告はひたすらうなずくしかなかった。
裁判官「実質的な危険を、理解しましたか」
被告「…はい」
検察側は「安易かつ短絡的で、酌量の余地はない」として、懲役3月を求刑。
弁護側は「偶発的な行為で、スピードを楽しむ目的ではなかった」として、寛大な判決を求め、即日 結審。
裁判官は、「制限速度の2倍以上の速度を出し、『暴走』に近い」として、懲役3月、執行猶予2年の有罪判決を言い渡した。
反省、憤り、羞恥(しゅうち)…。年齢の近い裁判官の説諭を、普段は「先生」として患者を諭す立場の被告はどんな思いで受け入れたのだろう。叱責(しっせき)を受けた子供のように肩を落とし、“教室”を後にした。 』
明日は我が身ということで、気をつけなばなりません。
覆面とオービスに・・・