重い気持ちのまま、仕事場に向かった
休みの彼が、どこへ出かけているのか
夕方においでという意味は何なのか
プレゼントがあるって、どういうことなのか
ひとつわかっていることは、そのプレゼントは
たぶん買ったものではないということだ
よく、プレゼントという名前の、お金のかかって
ないものをもらったことがあるからね
時には、彼自身だったりね
へえー、これがプレゼント?というと
好きって気持ちの俺をプレゼントみたいな 汗
でも、気持ちには覚悟ができてしまって
別れるんだろうなという
許せないものを、許したところで
わずかな時間の差なのだからとね
午後3時に仕事場につくと
彼のサンダルがある
帰っているんだ
彼の部屋には向かわず
仕事場にいると彼が降りてきて
笑顔で、おかえりーーって
手をひろげてきた
私は微妙な顔をしてしまった
笑顔で抱きつくなんてできなかった
やけに日に焼けている
えっ?どっか行ったの?
そう思う暇もなく
今日ね、殺生に行ってきたんだと彼
はあーー、なるほどねえ
すごい日焼けだもの
それで、もしかして、もしかして
プレゼントとは?
どうする?何にして食べる?
それとも、俺、これから寝ようかな?
二時起きだったんだ、千葉だからと彼
なにも秘密にして行くことないじゃないよね
向こうで女がいるわけじゃあるまいし
まあ、今日のことというより
行動をすべて把握されたくないうんぬんの
争いだから
今まで、彼が捕獲したものは
奥さんが食べてきた
今度は私にというのだろうけど
おとといの喧嘩は終わってない
謝ったところで、どうせ再開するのなら
今のチャンスに別れた方がいい
そう思っていたから
彼の捕獲してきたものをみても
ふーーんという顔をしていた
別れを前に喜べるはずもないしね
様子がおかしいと思った彼は
どうしたの?としきりに聞いてくる
ううん、なんでもない
ねむいなら寝れば?帰るからと
思っていた
すると、キスしてきて
本当にどうしたの?俺に文句あるの?
言いたいなら言っていいよと彼
それは、つきはなすような言葉でなく
なだめるようにね
でも、長くなるからいいというと
それでも話してというので
この前のこと納得できないと言った
すると、わかった、休みは全部教えると
あっさりいう
ええ?あんなにどうのこうの言ったくせに?
あり得ない
なんで?そんなあっさり言うなら
この前、あんなひどい言い方で
泣かせたの?とつめよると
考えたら、すぐに俺の方がおかしいと
思ったからだよという
ふーーん、それでも納得できない私に
彼は
やっぱり失いたくない大切な女なんだよ
俺ね、今日、釣りしていて、〇〇のこと
やっぱり好きだと思ったよ
愛おしいと思っているんだよという
驚きの発言に声もでない
彼の口から愛おしいと聞いたのは
初めてだった
自分から大切だと聞いたのも
初めてだった
そういうことに関してだけは嘘は
つかない人だからね
心があたたまるまで
抱き締めてくれて、キスしていたら
だんだん、元気になってきた
単純だ
これからはもっと大切にするよと
彼は言った
そんな気持ちになったのかは
わからないけど 好きなことをしてきて
大海原をみて、ふと 好きな女を
思ったのなら、ある意味本当かもしれない
いつまで拗ねていても大人げないので
彼が魚をおろす姿を一緒にみていた
そして、お刺身をつまんで、おいしくて
驚いた
刺身にするのは面倒だといいながら
私のために、沢山作ってくれた
鯛めしを焚いている間に
彼の日に焼けた背中をケアしていた
いつも、そうやっているうちに
感じてしまう彼
そういえば、一週間くらいごぶたさ
だった、エッチ
ベットに行く?と聞いたら
うんという彼
喧嘩のあとは、余計に感じてしまう
そんな私をみて、彼もいつもより激しい
愛し合っていると思うふたりが
する行為は、やはりちがう
結婚期間中はほとんど自己処理で
すませたせいか、最近になって
愛し合う深い喜びを知ったという彼
20代のころは、ただ、放出のために
してきたのだろうけど
今になって、ちがう世界を知ったという
大満足の行為をしてから
彼の獲物をふたりで食べた
はじめてのおいしさに、よく食べる私をみて
もっと、こんどはおいしいの採ってくるからねと
いう
今日のところは仲なおりかな
こういうことが、いつまたやってくるか
危機など、100もやってくるだろう
でも、自分だけが我慢するのでも
彼が我慢するのでもなく
自分が女として、愛される存在で
いられるようにすることで
自信ももてるし、愛おしさも
感じてもらえるだろうしね
努力、努力かしらね
ご褒美はやっぱりあれかしらね