「奥義」だなんて我ながら大仰なタイトルをつけてしまいましたが、実際はそれほどスゴイお話ではありません。筆者は DTM に関してはズブの素人なので、「僕から見れば、こりゃぁ奥義だぜ!!」という、DauGe の個人的な覚え書きだと思って適当に読んでください。
すみません(^^;)。
この技術は元レコーディングエンジニアにして古くからの友人、T君が僕に教えてくれたものです。
この場をお借りして、お礼申し上げます、T君。
ここでは BGM や歌ものを作成する方向けに、DTMで利用できるエフェクトのコツをご紹介します。エフェクトは主に「ディレイ」と「リバーブ」を扱います。
作曲ソフトとして筆者は ACID 4.0 を使用していますが、T君は SONOR を使用していることもあり、他の作曲ソフトでも応用が利くかと思います。
またこのページの最後に、エフェクトタイム計算機がついています。
ACID に限らず、作曲ソフトでは各トラック、バス、およびミックス(マスターアウトプット)と、いくつかの独立したエフェクトをかけられるのが普通です。では簡単に、各部分でのエフェクトのコツをおさらいしましょう。
部位 | 用途 | ポイント |
トラック | ひずみ系やフィルタといった、音作りのためのエフェクトに使う。 | ・トラック単体にリバーブをかける場合は、ディケイタイムを短めに、リバーブアウトを高めにします。 |
バス | ボーカル部・コーラス部・リズム隊というように、グループ単位でエフェクトをかけるときに使う。 | ・バスは複数トラックにまたがる生楽器・ボーカルに一気にエフェクトをかけるときに便利です。また、Loops
For ACID のような整形済み WAVE
ファイルだけで曲を作る場合も、複数の楽器にオートメーション(時系列コントロール)エフェクトを使用するときに威力を発揮するでしょう。 ・T君によると、SONOR にはバスの概念がないので「バス・AUX」と考えると良いそうです。 |
ミックス | マスタリングの感覚で、イコライザ、ダイナミクス(コンプ)をトータルにかけるときに使う。 | ・マスタリングは別の環境・ソフトウエアで行うのであれば、ここでは何もしません。 ・マスタリングっぽいことをするのであれば、ミックスの主たるエフェクトはイコライザやダイナミクス(コンプ)であり、リバーブは、“最後の薄化粧”程度に使用するに留めます(この際、ディケイタイムを長めに、リバーブアウトを少なめにしておきます)。 |
T君から教わった、「これこそが奥義だ」という数式です。
dt = 60 ÷ テンポ
dt は「ディレイタイム」で、この式はもともとディレイの計算に使うのですが、他のエフェクトのパラメータにも流用できるので単に「ディーティー」と読むことにしましょう。
では dt を作る例です。今、曲のテンポが「BPM=140」だったとすると、
dt = 60 ÷ 140
となり、dt は 約 0.4285 となります。
……実はこれだけです。しかも、T君いわく「多すぎるときは、2で割っていくんだよね〜」とのことで、ちっとも魔法の数式っぽくないのですが(^^;)、面白いのでこのまま続けます。
魔法の数式で導き出された数値は、以下の三つのエフェクトで使用します。例を見てみましょう。
BPM = 140 の曲を例に考えます。
これだけ使えれば十分でしょう。あとはコーラスぐらいですが割愛します。
僕の曲はこれを覚えただけでもかなり違った感じになりました。無論、よい方向へ、ですよ。
さていちいちこういったものを計算するのは面倒ですね。JavaScript
で上記の計算をするシステムを作りました。
テンポをいれて、計算ボタンを押すだけです(計算結果は若干丸めてあります)。
Pianos DauGe で曲を発表するようになってからは多くの人が聞きやすく、また扱いやすい音声を作ることに興味が向くようになりました。
無論、商用で使うようなクオリティの高いものを作りたいのであれば、T君のようなレコーディングエンジニアに頼むか、レボリューションレコーディングさんのようなスタジオに持ち込む必要があります。
が、今回のT君との修行のおかげで、個人レベルで押さえておくべき知識が得られたのはとても大きな収穫でした。
T君「今一番売れているCDをよく聞くといいよ。それが最高の教科書なんだ」
日々これ勉強、ですね(^^;)。
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