北海道電力:シンポでやらせ指示 道内から批判と不信の声 /北海道
毎日新聞 8月27日(土)10時47分配信
◇「うわさあったが…」
プルサーマル計画への賛意はやらせだった−−。共産党道委員会の指摘を受けた北海道電力は26日、泊原発3号機の同計画を巡り08年10月に実施された道主催のシンポジウムで、計画推進の意見を述べるよう社員に電子メールで求めていたことを認めた。九州電力のやらせメール問題などに続く電力会社の不祥事で、道内から北電への批判と不信の声が上がった。【田中裕之、吉井理記、坂井友子】
■第三者が調査を
「北電と道は徹底的な調査で、やらせの全容を明らかにするべきだ」。メールを独自に入手した同委は26日午前、道庁で緊急会見し、青山慶二書記長が語気を強めた。お盆中、北電社員から同委にメールの提供があり、複数の北電社員に問い合わせて書式から北電内部のものであると確信したという。
青山書記長は「道は主催者として調査する責任がある」と指摘する一方、高橋はるみ知事が北電役員から個人献金を受けていることを挙げ、「知事に北電を追及する資格はない。有識者を加えた第三者機関が厳正に調査するべきだ」と訴えた。
■確認の末に
25日に同委から疑惑の指摘を受けた北電は、発信元とされる泊原子力事務所渉外課を含む複数部署の社有パソコンをチェックし、メールや保存文書を調査。26日夕までは「存在を確認できない」としていたが、午後9時に札幌市中央区の本店で緊急記者会見を開き、メールが実際にあったことを認めた。
泊村で08年8月に行われた国主催のシンポは経済産業省の指示で調査し、社員35人の参加が判明したが、北電は「参加を促したことはない」と報告した。2カ月後の道主催のシンポを調査しなかった理由は当初「指示がなかった」と話したが、その後調べる方針を明らかにした。
■不安になるが…
問題のシンポに出席した泊村の牧野浩臣村長は「賛否両方の意見が出て、『やらせ』の雰囲気は感じなかったが……」。泊原発から20〜30キロ圏内にある倶知安町の福島世二町長は「今になって過去を追及してもどうにもならないが、きちんとモラルを守らないと逆にマイナスになってしまう」と北電を批判した。
岩内町の反原発団体「岩内原発問題研究会」の斉藤武一代表は「3号機(09年稼働)増設の時にも同じことをしており、予想はしていた。許されることではなく、他にもやっていると思わざるをえない」と批判。泊村の男性漁師(63)は「うわさは聞いたことがあった。不安になるが、原発を止めろと言うこともできない」と複雑な気持ちを話した。
◇シンポ後アンケ、55%肯定的な回答
北電社員の動員が明らかになったシンポジウムは08年10月12日、道と地元4町村が主催し、地域住民の意見を聴くために開かれた。計画の安全性を検討する道の有識者検討会議会長を務める成田正邦・北大名誉教授が状況を報告したほか学識経験者らによるパネルディスカッション、質疑応答などが行われた。
岩内町と札幌市の2会場で計469人が参加。聴衆から30件の発言があり、「大きな地震があった時に不安」「絶対安全なんてあるわけない」など計画に否定的な意見が多かった。しかし、シンポ後のアンケート(237人回答)で「計画への理解は深まったか」との問いに55%が「深まった」「だいたい深まった」と肯定的に回答。結果は道の有識者検討会議に報告され、参考とされた。
メールを送った泊原子力事務所渉外課は地元4町村のほか、商工会議所など関係団体との連絡や折衝に当たっている。定期検査中だった泊原発3号機が17日に営業運転に移行する前、最終検査の受検申請も4町村に連絡した。課員は10人強だという。
北電は99年にも泊原発3号機の増設を巡り、道の意見募集などに賛成意見を送るよう社員に指示していたことが発覚している。【片平知宏】
8月27日朝刊
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■第三者が調査を
「北電と道は徹底的な調査で、やらせの全容を明らかにするべきだ」。メールを独自に入手した同委は26日午前、道庁で緊急会見し、青山慶二書記長が語気を強めた。お盆中、北電社員から同委にメールの提供があり、複数の北電社員に問い合わせて書式から北電内部のものであると確信したという。
青山書記長は「道は主催者として調査する責任がある」と指摘する一方、高橋はるみ知事が北電役員から個人献金を受けていることを挙げ、「知事に北電を追及する資格はない。有識者を加えた第三者機関が厳正に調査するべきだ」と訴えた。
■確認の末に
25日に同委から疑惑の指摘を受けた北電は、発信元とされる泊原子力事務所渉外課を含む複数部署の社有パソコンをチェックし、メールや保存文書を調査。26日夕までは「存在を確認できない」としていたが、午後9時に札幌市中央区の本店で緊急記者会見を開き、メールが実際にあったことを認めた。
泊村で08年8月に行われた国主催のシンポは経済産業省の指示で調査し、社員35人の参加が判明したが、北電は「参加を促したことはない」と報告した。2カ月後の道主催のシンポを調査しなかった理由は当初「指示がなかった」と話したが、その後調べる方針を明らかにした。
■不安になるが…
問題のシンポに出席した泊村の牧野浩臣村長は「賛否両方の意見が出て、『やらせ』の雰囲気は感じなかったが……」。泊原発から20〜30キロ圏内にある倶知安町の福島世二町長は「今になって過去を追及してもどうにもならないが、きちんとモラルを守らないと逆にマイナスになってしまう」と北電を批判した。
岩内町の反原発団体「岩内原発問題研究会」の斉藤武一代表は「3号機(09年稼働)増設の時にも同じことをしており、予想はしていた。許されることではなく、他にもやっていると思わざるをえない」と批判。泊村の男性漁師(63)は「うわさは聞いたことがあった。不安になるが、原発を止めろと言うこともできない」と複雑な気持ちを話した。
◇シンポ後アンケ、55%肯定的な回答
北電社員の動員が明らかになったシンポジウムは08年10月12日、道と地元4町村が主催し、地域住民の意見を聴くために開かれた。計画の安全性を検討する道の有識者検討会議会長を務める成田正邦・北大名誉教授が状況を報告したほか学識経験者らによるパネルディスカッション、質疑応答などが行われた。
岩内町と札幌市の2会場で計469人が参加。聴衆から30件の発言があり、「大きな地震があった時に不安」「絶対安全なんてあるわけない」など計画に否定的な意見が多かった。しかし、シンポ後のアンケート(237人回答)で「計画への理解は深まったか」との問いに55%が「深まった」「だいたい深まった」と肯定的に回答。結果は道の有識者検討会議に報告され、参考とされた。
メールを送った泊原子力事務所渉外課は地元4町村のほか、商工会議所など関係団体との連絡や折衝に当たっている。定期検査中だった泊原発3号機が17日に営業運転に移行する前、最終検査の受検申請も4町村に連絡した。課員は10人強だという。
北電は99年にも泊原発3号機の増設を巡り、道の意見募集などに賛成意見を送るよう社員に指示していたことが発覚している。【片平知宏】
8月27日朝刊
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最終更新:8月27日(土)10時47分
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