民団新聞 MINDAN
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永住外国人の地方参政権
日本各界に聞く<11>

衆議院議員・海江田万里さん(民主)



提出法案の早期立法化を
納税者の立場から見ても自然

 民主党の海江田万里衆議院議員は、周知の通り経済の専門家。現在は党の国際交流本部長として、アジアとの交流強化に努めたいと語り、経済危機のアジアを活性化するために、まずはサッカーのW杯共催が決まっている日本と韓国の景気回復を挙げる。地方参政権については「法案」を提出した党として、一日も早い実現に努力する考えだ。


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■地方参政権問題についての基本的な考えは。

 民主党は基本政策の中で、「在日外国人の地方参政権付与を一日も早く」という方針を打ち出している。日本に住みきちんと税金を払っているわけだから、地方参政権を与えるのは当然のことだと思う。

 一部「在日」の方の中には反対をしている人もいるが、この問題は権利を開放するということであって、地方参政権を得ることが、民族的な誇りを傷つけることになるという人たちは、受け取らなければいい。

 地方参政権とは国の安全保障とか外交問題に対して参政権を行使するということではなく、地域の政治に関わるということだから、地元の教育の問題とか交通、医療などの問題について、納税者の立場から地方参政権を行使するのは自然なことだと思う。


■金大統領の訪日についての感想は。

 大変意義のあった訪日だ。私自身国会で演説を聞いたし、テレビで流れた大統領のインタビューは、日本の国民にも深い印象を与えた。大統領の人柄もよく表れていたし、何よりも二十一世紀に向かって日韓が互いに支えていこうという趣旨が国民によく伝わった。

 新しい日韓関係を築く上で、これまで韓国で禁止されていた映画をはじめとした日本の文化が、一つ一つ開放されていくということも聞いており、日本にも韓国の文化が入ってくる。日韓はこれから文化交流が大切になってくる。


■二〇〇二年のサッカーW杯共催については。

 ぜひとも成功させなければならない。ソウルのスタジアムで「一緒にフランスに行こう」という韓国側サポーターの声援にも正直驚いた。フランス大会に出場したことで下降気味だったサッカー熱が盛り返し、二〇〇二年に弾みがついたことは確かだ。一緒にフランスに行ったことで、共同開催に大きな意義があった。

 今年の秋にソウルで日韓の国会議員の親善サッカー試合があった。私は参加できなかったが、民主党からも五人くらい国会議員が出かけた。残念ながら日本は四対三で負けたが、いいスコアだった。こういう親善などを積み重ねて成功に導かなければならない。

 今アジアは大変な経済危機の状況にある。日本と韓国がまず真っ先に景気回復をして、アジア全体に影響を及ぼしていく。その意味でもW杯共催が節目になると思う。世界から多くの選手やサポーターが来るわけだから、その人たちに日本と韓国の結びつきをアピールするのは重要なことだ。二〇〇二年までに大々的に活力ある日本と韓国を世界にアピールしていく。

 ヨーロッパの国々では、例えば今年は日本におけるフランス年とかイギリス年とか決めて交流をしている。そのように二〇〇〇年を日本における韓国年、二〇〇一年を韓国における日本年にして、二〇〇二年の共催を迎えるというようにしたらどうか。


■めざしているのはどういう政治ですか。

 政治というのは市場万能ではいけない。マーケットの行き過ぎに対して一定程度の調整を行うのが、政治の大事な役割だ。マーケットの世界は「弱肉強食」だが、それだけではいけない。

 党の国際交流本部長として、アジアとの協力、友好関係をこれまで以上に強めていかなければならないと思う。アメリカとの関係は基軸だが、アメリカ一辺倒であってはならない。


■「在日」へのメッセージを。

 日韓の間には不幸な歴史があったが、それは長い日韓の交流の歴史から考えると一瞬の出来事でしかない。今は関釜フェリーもあるし、福岡の空港からも日本国中を移動するよりも短時間で韓国に行けるわけだからもっと頻繁な交流があってもいい。日本の若い世代がもっと韓国を訪れ、韓国の若い世代と歴史を語ったり、修学旅行で慶州を訪ねたりすればいい。金大統領の観光CMをもっと日本で流せばよかったと思う。

(1998.12.02 民団新聞)



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