菅直人首相の後継を選ぶ民主党代表選は27日告示され、29日に投開票される。党内最大勢力を率いる小沢一郎元代表は26日、鳩山由紀夫前首相と会談を重ね、海江田万里経済産業相(62)を支持することを決めた。小沢、鳩山両グループに支援を要請していた小沢鋭仁(さきひと)元環境相は立候補を断念し、小沢元代表を中核とする非主流派は海江田氏に支持を一本化した。菅政権を支えた主流派からは前原誠司前外相(49)と野田佳彦財務相(54)、中間派から鹿野道彦農相(69)と馬淵澄夫前国土交通相(51)が立候補を表明し、過去最多の5人が争う混戦となった。
小沢元代表はギリギリまで支持候補を明確にせず、各候補の出方を探った。だが、前原氏は鳩山氏が求めた元代表の重要ポストでの処遇を受け入れず、鹿野氏は中間派としての立候補にこだわった。
26日、2回にわたった小沢元代表と鳩山氏の会談では、独自候補の擁立も検討した。輿石東参院議員会長や西岡武夫参院議長の名前も挙がったが、参院から首相候補を推す奇策は党内で受け入れられないとみて断念。鳩山グループに所属する海江田氏に落ち着いた。
海江田氏は同日夜、100人近くが集まった小沢グループの会合に拍手で迎えられた。小沢元代表は「政権交代の原点に最もふさわしい候補者」と紹介。海江田氏は「マニフェストの原点に返り、小沢先生のお力も得て頑張りたい」と述べ、非主流派の統一候補として支持を訴えた。
鹿野氏は国会内で支持議員30人を前に「挙党態勢をつくるために全力を挙げていく」と立候補を表明。その後の記者会見では「小沢さんを必要とするときが来るかもしれない」と述べ、小沢元代表の党員資格停止処分の見直しも検討する姿勢をみせた。
5人の乱立により、第1回投票で過半数を獲得する候補が出ない可能性が強まり、各陣営は上位2候補による決選投票を視野に入れる。「小鳩」グループと鹿野氏陣営の双方に、決選投票での協力を探る思惑もちらつく。
主流派分裂となった前原、野田両陣営も、決選投票での協力を前提にしのぎを削る。
野田氏は国会内で立候補の記者会見を行い、「民主党の掲げたマニフェスト、国民の生活が第一の理念は堅持していきたい」と強調。「増税路線」批判には「財政規律が緩んでいないという日本のメッセージを内外に発信しなければならない」と反論した。
26日、前原陣営が国会内で開いた決起集会の参加者は、25日のグループ会合と同じ38人にとどまった。前原氏は「挙党一致、全員野球を言っているのは、党内の選挙を勝ち抜くちっぽけな話ではない」と元代表側をけん制。27日の告示後、記者会見し、外相辞任の原因となった外国人からの献金問題について説明したい考えだ。
中間派からは馬淵氏も26日夕、記者会見を開き「当選3回の若さは強みだ。しがらみのない政治を貫くことができる」と立候補を表明した。
樽床伸二元国対委員長は「これ以上、代表選の混迷を深めることがあってはならない」として出馬を断念した。【平田崇浩】
<27日>
午前9時 告示、立候補受け付け開始
10時半 立候補受け付け締め切り
午後2時 日本記者クラブ主催共同記者会見
<28日>
午後2時 党主催公開討論会
<29日>
午前11時 両院議員総会開会
候補者スピーチ(各10分)
投開票(約40分)
*1位が過半数に達しない場合は上位2人で決選投票を実施
午後 新代表決定、党役員人事
<30日>
午後1時 衆院本会議で首相指名選挙
午後1時半 参院本会議で首相指名選挙
新首相選出
毎日新聞 2011年8月26日 21時29分(最終更新 8月26日 23時32分)