第21話 【現在のFクラス】
side 義之
俺たちの通う文月学園では、新学期最初の行事である『清涼祭』の準備が始まりつつあった。お化け屋敷の為に教室を改造するクラス。喫茶店をやるのでメニューや調理道具の手配をするクラス。この学園ならではの『試験召喚システム』について展示を行うクラス。学園祭準備の為のLHRの時間はどの教室を見ても活気があるれている。もちろん、僕のいるFクラスも清涼祭に向けて準備を始めている――――はずなんだけど……。
なぜか、教室には俺と姫路、島田、初春、月宮に木下の6人しかいない。ちなみに、学園祭の準備の為に皆出払っているわけでもない。じゃあ、どこに行ったのかと言うと―――――
『吉井!来いっ!』
『勝負だ、須川君!』
『お前の球なんか、場外まで飛ばしてやる!』
―――――校庭で野球をしている。※ただし杉並は行方不明
俺は実は清涼祭が少し楽しみだったりする。こういったお祭り騒ぎはもとから好きだしこのクラスの岡崎や真人なんかはずいぶんと親しくなってこのクラスで何かしてみたいと思うようになってきた。
そんなことを思っていると――
教室の扉が開き、西村先生が入ってきた。
鉄人「お前ら清涼祭の出し物決まっ――――おい、他の連中はどうした?」
飾利「あっ、先生。みんななら校庭で遊んでいると思います」
初春は素直に答えてしまった。まぁ事実だから仕方ないけど……。
鉄人「なにっ!ちょっと連れ戻してくるから、もう少し待ってろ」
はは、また皆怒られるなぁ。補習の時間これ以上増えなきゃいいけど……。
『貴様ら、学園祭の準備をサボって何をしているか!』
『ヤバい!鉄人だ!』
西村先生はもう校庭に着いたようだ。今出て行ったばかりなのに……あいかわらず、凄い人だなぁ。
『吉井!貴様がサボりの主犯か!』
『ち、違います!どうしていつも僕を目の仇にするんですか!?』
どうやら、吉井君がターゲットのようだね……
『雄二です!クラス代表の坂本雄二が野球を提案したんです!』
代表を躊躇なく売るあたり、さすが吉井だ。
義之「こりねぇな、あいつらも」
秀吉「まったくじゃ」
おそらく、二人とも捕まって終わりだろう、いつものパターンだ。
その後、そんなに時間が経たたないうちにクラスの皆が西村先生によって教室に担ぎ込まれてきた……ホント規格外の先生だなぁ。
鉄人「これで、全員揃っ―――――ん!?おい、坂本に吉井!月宮と杉並はどうした?一緒じゃなかったのか?」
そういえば、教室を見渡してもさっきまでいた月宮と行方不明の杉並の2人だけがいない。
坂本「杉並と当月宮なら最初から野球に参加してなかったぜ」
鉄人「ならどこにいるというんだ?隠してもお前たちの為にならんぞ!」
明久「鉄人!ホントに僕たちも知らないんです!」
鉄人「そうか、なら俺は今から二人を捜して来るから、お前たちはさっさとクラスの出し物を決めろ。この時期になって出し物が決まってないのはウチのクラスだけだからな」
再び、西村先生は教室を出て行く。僕は代表の席の近くに歩み寄り――――
義之「坂本、ホントにあの2人のこと知らないの?」
雄二「ああ」
秀吉「そういえば、あの先ほど月宮が誰かと連絡を取り合っておったな」」
義之「そういえば、それからいなくなったな」
ムッツリーニの情報収集能力は凄まじいことは知っているけど、その包囲網に引っかからないなんて……何かあったんだろうか?それとも学校の敷地内にいないとか?
ガラガラガラ
噂の二2人が教室に戻ってきた。
雄二「お前ら一体どこにいたんだ?」
杉並「少々野暮用でな。詮索はするなよ」
圭「俺もこいつの補佐みたいなものかな」
雄二「そうか…。なら余計な詮索はしないが――鉄人がお前らを捜しに行ったぞ!」
圭「そうか…。まあ大丈夫だろ」
明久「でもいったいなにをしてたのさ?」
杉並「詳しくは言えんが……部活、とだけ言っておこう」
ああ、非公式新聞部か。ってことは月宮も非公式新聞部なのか。まあ、どっちみちあの2人にはついてけない。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。