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イトカワ:10億年で消滅 「はやぶさ」微粒子を分析

 探査機「はやぶさ」が持ち帰った小惑星イトカワの微粒子の分析結果から、東北大や東京大などのチームがイトカワの形成過程を解明するとともに、今後10億年ほどで消滅すると予測した。関連する6論文が26日、米科学誌サイエンスに掲載され、表紙には微粒子の電子顕微鏡画像が紹介された。同誌がはやぶさ関連の研究成果を特集するのは、06年6月に次いで2度目。

 東北大の中村智樹准教授は、イトカワは直径約20キロの「母天体」に別の小惑星が衝突して粉々になり、一部が再び集まって現在の形になったとみられることを明らかにした。中村准教授は、微粒子を構成する元素の割合から、粒子が約800度で加熱されてできたことを確認した。しかし、今のイトカワの大きさ(長さ約500メートル)では形成時に内部が800度まで高温にはならず、理論的に直径約20キロの「母天体」が必要だと推定した。

 また、調べた微粒子のうち大部分が高温になった母天体内部の形跡を残していたことから、母天体に別の小惑星がぶつかって粉々になり、再度集まった可能性が高いと論じた。

 一方、母天体が壊れた時期は分かっていない。中村准教授は「今後広い領域の壊れた時の痕跡が見つかれば、壊れた年代も分かるだろう」と期待を寄せた。

 また長尾敬介・東大教授の分析で、イトカワの表層部の粒子は古くても数百万年前のものだと分かった。この結果から、重力の小さなイトカワは表層部が宇宙に飛散し続けてどんどん小さくなり、10億年ほどで消滅すると推定できた。

 川口淳一郎・はやぶさプロジェクトマネジャーは「イトカワの観測成果の特集に続き、再度特集号が発刊されることは、日本の月・惑星探査が本格的な成果を出せる段階を迎えた象徴だ。後継機のはやぶさ2ではメンバーを大幅に若返らせ、若い世代の自信と希望につながっていけばと願っている」と話した。【野田武、永山悦子】

毎日新聞 2011年8月26日 3時00分

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