ニュース
鳥取県、生レバー禁止条例断念
県民反対多く 注意事項明示義務提案へ
「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件で、平井知事は24日の定例記者会見で、9月議会に提出する県食品衛生法施行条例改正案に生レバーの提供禁止を盛り込むことを断念すると述べた。
全国初の措置として検討していたが県民からの反対が多かったためで、生レバーや生肉を提供する際に食中毒の危険性があるなどの注意事項を明示するよう業者らに義務付ける内容に見直す。
県は、改正案をホームページなどで公表して、7月26日から8月12日まで意見を募集。寄せられた266件のうち263件が「提供するかの判断は店や消費者にゆだねるべきだ」「食文化であり、禁止は不要」など反対意見で、焼き肉店などの業者からは「経営圧迫につながる」との声もあった。
県は別に、定期的に意見を聞いている県民200人にアンケートしたところ、賛成68人に対し、反対が72人だった。22日の県議会福祉生活病院委員会では、議員から「昔から(看板メニューとして)生レバーを出し続けている店もあり、一律に禁止するのはどうか」など否定的な意見が相次いだ。
県はこれらの意見を考慮し、提供禁止は取りやめた。新たに検討する改正案では、食中毒の恐れがある点をメニューに掲載したり、店内に掲示したりして客に注意を促すよう求める。表示しなかった場合は、営業停止などの処分とし、さらに応じない場合は罰金を科す方針。
一方で、国が生レバーの安全性について調査中であることから、県は引き続き、生レバーの提供自粛を業者に求める。国の調査などで安全性が確保できない場合は、改めて提供禁止などの追加措置を取るとする条文も盛り込む。
平井知事は「条例は県民の合意が得られる内容にしたいと考え、禁止については一呼吸置くことにした。今回の論争を通じて、生レバーに健康上のリスクがあることが周知されたと思う」と話した。
県の方針転換について、生レバーを提供している鳥取市内の焼肉店の男性経営者(58)は「夏場はレバ刺しが人気なので禁止を取り下げたのはありがたいし、店内の表示についても協力する。ただ、決め方が唐突だと思う。頭ごなしに生レバーを禁止するのではなく、最初から業界団体と話し合えば、もっと早く合意が得られたのではないか」と指摘した。(野口英彦)
(2011年8月25日 読売新聞)
最新健康ニュース
- 除染の指針作成へ家屋を高圧洗浄…福島
(8月25日)
- 「除染に効果」高圧洗浄機ケルヒャー販売6割増(8月25日)
- 東北電、冬の電力「かなり不足し厳しい状況」(8月25日)
- 鳥取県、生レバー禁止条例断念(8月25日)
- 肉牛の出荷停止、25日にも全面解除(8月25日)
- 岩手の仮設もう冬支度…断熱材を追加で張り付け
(8月25日)
- タケノコ汁の缶詰が人気
(8月24日)
- 生レバー禁止条例、鳥取知事断念…反対意見大半(8月24日)
- 「おいしいふくいの水」雑菌混入、基準の140倍も(8月24日)
- 食品の放射性物質、国が抜き打ち検査へ(8月24日)