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ウソか?真か!?ゲームにまつわる神経科学の話題集
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2011.08.25 |
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ゲームにまつわる脳科学・心理学の話題には刺激的なものが多い。インディーズ系のゲーム開発者で、神経科学の研究に携わったことのあるエリン・ロビンソン氏は、本人の視点でとくに興味深い話題をチョイスし、開発者向け情報サイト“Gamasutra”で紹介している。以下にその一部を紹介しよう。
★記憶力を失った人も『テトリス』は上達することがある
★ヘロイン中毒と『スタークラフト』中毒の禁断症状は、同じ薬で抑止できる
★火傷を負った子供は、VR(仮想現実)ゲームで遊ぶときには火傷の痛みを感じにくくなる
★脳卒中患者のリハビリに任天堂のWiiが効果的
★統合失調症の患者はゲームをプレイすると症状が軽減される
★『カウンターストライク』をプレイすると視覚情報処理能力が向上する
例えば、1点目の「記憶力を失った人も『テトリス』は上達することがある」を説明すると、映画「メメント」や小説「博士の愛した数式」の登場人物のように、脳に受けたダメージが原因で新しいことを覚えられなくなった人でも、『テトリス』は支障なくプレイできて、しかも回数を重ねるたびに腕が向上していくという(ただし、健常者に比べると上達速度は遅い)。
『テトリス』にハマッた人なら誰でも、ゲームをしないときもブロックが落ちてくる画面が目に浮かぶ体験をしたことがあるはず。これは一般に“テトリス効果”と呼ばれる現象で、記憶力を失った人にも起きるというのだ。
どうやら、「人・場所・体験の記憶」と「練習による技能の上達」は、脳内で別々の経路として働いているらしい。そのため、一方がダメージを受けても、もう一方は機能しつづけるというわけ。他の話題についても詳しいことを知りたい人は、ぜひリンク先の記事を参照してほしい。
なおロビンソン氏は高校時代、「神経科学は百年前の物理や化学と同じ状況にあって、大発見の時代が待ちかまえている」と心理学の先生に教えられたとか。そうした発見に、ゲームが大きな貢献を果たす可能性は高そうだ。
(中島理彦)
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