島田紳助「早過ぎる芸能界引退」の裏側に「暴力団幹部との親密関係」に重大関心を示した捜査当局の動き 「セーフ」はなぜアウトになったのか/伊藤 博敏
現代ビジネス 8月25日(木)7時5分配信
ここ3?4年は、暴力団を本気で壊滅させる動きになっている。 |
理由は、プロボクシング元世界王者・渡辺二郎(56)を通じて、山口組系極心連合会の橋本弘文会長(64)と交際をしていたこと。渡辺の携帯電話に、紳助から橋本への「伝言メール」が残されていて、その親密過ぎる関係を危惧した吉本興業が、「関係が事実なら(芸能人人生は)アウトだ」と伝え、最初は「セーフだと思っていた」という紳助も、「格好悪いやめ方だが、後輩たちに示しがつかない」と、引退を決意したという。
*** 警察の「暴力団壊滅」は本気になった ***
以前なら想像もつかない引退劇である。
暴力団と芸能界は、興行を通じて切っても切れない仲。結婚式や祭りなどの賑やかな場に、芸能人を連れてくるのは、暴力団の実力の"証"。また場を盛り上げる芸能人は、トラブルの際に暴力団を頼った。
しかし、最早、関係があること自体、許されなくなった。
警察が暴力団壊滅の動きを見せるのは「年中行事」だったが、この10年ほどで"本気度"は上がった。「反社狩り」の始まったここ3~4年は、暴力団を本気で壊滅させる動きになっている。
その頂点は、昨年4月の福岡県を皮切りに、次々に導入の決まった暴力団排除条例だ。都道府県は暴力団関係者を「住民」とは見なさなくなった。
みかじめ料は、徴取する暴力団サイドも、支払う住民サイドも禁止され、処罰の対象となり、暴力団関係者が不動産物件を借りるのはもちろん、貸すことも禁じられるようになった。公共工事に暴力団系企業は参加できず、暴力団組員は家族も含めて銀行口座すら開けない。
この動きに合わせ、警察庁は全国の都道府県警に指示を出し、暴力団を徹底排除、なかでも弘道会の壊滅作戦を命じた。弘道会は篠田建市山口組六代目の出身母体でナンバー2の高山清司若頭が会長を務める。
弘道会の弱体化は山口組の弱体化につながり、山口組の弱体化は暴力団の弱体化につながる---。
警察庁の安藤隆春長官のこの言葉に、警察の意欲がうかがえる。かつてのように、「暴力団と芸能人は"仲間"」という認識は通じなくなった。紳助の「セーフ」はいつの間にか「アウト」になっていたのである。
*** 警察が知りたがった山口組幹部との関係 ***
加えて、紳助が「10数年前にトラブルを解決してもらって以来、恩を感じていた」というBさんこと橋本会長は、山口組若頭補佐という大物で、「頂上作戦」の一環として高山若頭が逮捕起訴され拘留中の今、7代目候補に挙げられるほど。警察としては、橋本との親密交際を時にひけらかしていた紳助を許すわけにはいかなかった。
実は、国民的人気のタレントでありながら、紳助は大阪府警の"お客さん"であった。いつでも逮捕する準備をしている「暴力団周辺者」という位置づけなのである。大阪府警が、4年前に摘発した事件に、タレントの羽賀研二、渡辺二郎らが関与した恐喝事件があるが、その際、府警がしきりに聞きたがったのは、「紳助と橋本の仲」だったという。
「(羽賀)ケンちゃんにだまそうとか、脅そうとかいう気はなかったんです。値上がりが確実ではない未公開株の売買ですからね。だから一審は無罪判決でした。その取り調べ過程で、府警の刑事がしきりにケンちゃんに聞いてきたのが紳助のことだった。ああ、二郎さんを起点に橋本会長に辿り着きたいんだな、と思いました」(羽賀被告の知人)
橋本への渡辺を通じた紳助の「伝言メール」は、羽賀事件の過程で押収した渡辺の携帯電話に残され、公判過程で検察側証拠として提出されていた。従って、いつ山口組首脳と紳助との「親密過ぎる関係」が表に出てもおかしくなかった。
警察当局が、行政当局と一体となって、暴力団を「住民」とも「人」とも見なさなくなった以上、紳助も謹慎程度では済まなかったわけだが、「一民間人」に戻れるかどうかは、まだわからない。
飲食業や不動産業を営み、株式投資にも手を染める紳助は、実業家でもある。その「実業」の部分に橋本が関与したことはない、と会見で強く否定したが、直接はなくとも間接があるのは不動産や株の世界である。
*** 「梁山泊事件」でも取りざたされ紳助の名前 ***
事実、紳助の名を冠した競争馬を持つほど親密だった実業家が、07年3月、仕手集団「梁山泊グループ」の一員として逮捕され、紳助の名が取りざたされたことがある。
また、「(一緒に売買に関与していたら)ハラを切ってもいい」と豪語した不動産取引だが、企業舎弟と言う名の周辺関係者の多さを考えれば、紳助の知らないところで結びついていた可能性は十分にある。
もちろん、紳助ほどの大物の引退は、「その代わりに過去の(暴力団関係者との)関係を不問にして欲しい」という警察へのメッセージでもあろう。
だが、それで済むのか。
「何か出てくれば、引退しようがしまいが関係ない」
こううそぶく府警幹部もいて、交際を認めた紳助は、逆に安閑としてはいられないのである。
【関連記事】
中沢新一氏(宗教学者)×釈徹宗氏(僧侶)×平松邦夫氏(大阪市長)「アースダイバーで読み解く東京・大阪」 第2回 イノベーションとやさしさを生み出す大阪のコミュニケーション
『成功する人は缶コーヒーを飲まない』著者:姫野友美食を変えれば恋も仕事もうまくいく!?
被害者続出! 素人は大やけどする外貨預金 買ってはいけない
「いつまでも現役の秘密」インタビュー(1)名倉加代子さん(ダンサー・振付家 70歳)
盛り上がるハズがない! 不人気候補者たちの「民主党世も末代表選バトル」
最終更新:8月25日(木)7時5分