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【教科書採択】県立伊奈学園中の歴史・公民とも育鵬社の教科書採択 県教委「批判は当たらないと判断」
「批判には当たらないと判断した」-。25日、埼玉県立伊奈学園中学校の生徒が来年度から使う歴史と公民の教科書に育鵬社の教科書を採択した県教育委員会。樋爪龍太郎委員長は、こう述べて採択結果に自信を示した。いわゆる「自虐史観」を否定する内容の教科書が採択されたのは、県内公立校では初めてだ。一方、他の市や採択地区協議会はいずれも東京書籍を採択。県教委の判断が際立つ結果となった。
この日の委員会ではまず、6人の委員が意見を述べた後、投票により採決。票数の内訳は歴史教科書が育鵬社4、自由社1、清水書院1。公民教科書が育鵬社4、自由社1、帝国書院1の結果となり、結果が読み上げられると傍聴席からは「ああっ」という声が上がった。
今回の採択は、上田清司知事が16日の定例記者会見で「日本国の英雄である伊藤博文を『射殺』と書いた教科書を間違っても選んではいけない」「自信をなくさせる教科書ばかりだが、そうでない教科書も出てきた」と私見を述べたことでも注目された。
委員会終了後に記者団の取材に応じた樋爪委員長は、知事発言について「影響は全くない。発言は私たちも承知しているが、教科書の採択というのは1カ所の表現で変わるものではない」ときっぱり。「(自由社や育鵬社の教科書の)歴史観には批判もあったが、私どもは1ページずつ読み込んでいく中で、そういう批判には当たらないと判断した」と力説した。
また、公民教科書について、樋爪委員長は「(育鵬社の教科書では)領土問題や自衛隊、拉致問題が政府見解をベースに書かれていた点が、各委員にとって安心感を与えたのではないか」と述べた。
今回の採択結果に、上田知事は「教育委員が教科書を精査した上で教育委員会の権限と責任のもと、自信を持って判断した結果だと受け止めている」とコメント。鈴木正人県議(刷新の会)は「ようやくまっとうな教育への第一歩を踏み出せたと感動している。これが議会の大多数の意向だ」。元県教育委員会委員長の高橋史朗・明星大学教授(教育学)は「反対行動もあっただろうが、教育委員の良識と識見が示されたといえる」と述べた。
一方、共産党県議団や埼玉教職員組合は、いずれも「今回の採択は問題がある」などと結果に抗議する談話を発表した。
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