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【コラム】

中日春秋

 ある米国のドラマで、年若い娘が父親を諭す場面があった。妙に大人びた内容なので父が訝(いぶか)ると、娘が肩をすくめ、確かこう答える。「テレビで言ってた」

▼蓋(けだ)し、テレビの、特に若い人への影響は大なるものがあって、どうかすると親の意見などより、ありがたがって聞くところがある。この人も画面の中で折々、若い人に「意見する人」だった印象がある

▼タレントの島田紳助さん。司会を務める番組も多い人気者が、暴力団関係者との親密な交際を認め、芸能界を引退するという。テレビという「光の世界」の核心と「闇の世界」のつながりが突如、明らかになり、驚かれた人も多かったに違いない

▼説教じみた話さえ、笑いを交え、そうとは聞かせない類いまれな弁舌の才。その説得力、視聴者への影響力において、テレビ人の中でも最大級の一人だったと言ってよかろう

▼そういう人が続けてきた反社会的勢力とのつきあいだ。<天才の一面は明らかに醜聞を起こし得る才能である>と芥川龍之介は言ったが、こんな醜聞は、まったく別。「この程度」のことでも「セーフ」でもないのは自明であろう

▼ある面、潔いともいえる引退の決断については「自分が軽い処分で終わっては、若手芸人にしめしがつかない」とご本人。自己の反省さえ、若い人への「意見」にする辺り、この人らしいといえばこの人らしい。

 

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