ムーディーズが日本国債格下げ、影響は限定的
格付け会社大手のムーディーズ・インベスターズ・サービスは23日、日本国債の格付けを上から3番目の「Aa2」から、1段階下の「Aa3」へ引き下げたと発表した。同社が日本国債を格下げするのは9年3カ月ぶりとなる。米国債に続いて格下げされた格好で、格付けはサウジアラビア、台湾、チリと同水準となった。
しかし、米国債の格下げとは異なり、日本国債の格下げは世界の金融市場にとりわけ大きな影響を与えなかった。24日の円相場はむしろ円高に触れ、前日比16銭の円高ドル安となる1ドル=76円64銭を付けた。東京株式市場も前場は一時上昇し、大引けは1.1%安だった。ソウル株式市場では、韓国総合株価指数(KOSPI)が1.2%下落した。米国債の格下げ時に各国の株価が3-5%下落したのとは対照的だ。
専門家は、日本国債の大半を自国民が保有していることを理由に挙げる。日本の財務省によると、日本国債のうち、自国民による保有率は昨年末現在で93.5%に達し、ドイツ(46.2%)、米国(52.3%)、フランス(65.3%)など他の先進国に比べはるかに高い。そのため、いくら格付けされても、直ちに世界的に投げ売りの対象となる可能性は低いというわけだ。
韓国銀行(中央銀行)によると、日本の家庭で金融資産に占める現金の割合は55.2%で、米国の4倍に達する。多額の余裕資金が国内債券の購入に活用され、日本の政府や企業は、日本国内での起債だけで資金調達が可能だ。
ナショナル・オーストラリア・バンク(NAB)のチーフエコノミスト、ロブ・ヘンダーソン氏は「国債の大半を日本国民が保有しているため、実際に政府債務により危機に陥る可能性は低い」と指摘した。
日本国債の格下げが既に織り込み済みだったことも、ショックが少なかった理由の一つだ。今年1月にはスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が日本国債の格付けを「AA」から「AAマイナス」へ1段階引き下げており、ムーディーズも5月末の段階で格下げを予告していた。S&Pによる格下げ時にも世界の金融市場は動揺しなかった。その上、日本国債は1998年に最高格付けの「Aaa」から転落して以降、今回までに5回の格下げ、3回の格上げを繰り返しており、70年ぶりの格下げとなった米国債に比べ、ショックは小さかった。
さらに、日本経済特有の安全性も一因とされる。世界的な製造業の競争力を背景に巨額の純対外債権を保有しており、国家デフォルト(債務不履行)に陥る可能性は低いからだ。国際通貨基金(IMF)によると、昨年末の日本の対外純債権は3兆ドルで、中国(2兆5400億ドル)を上回り世界首位に立っている。また、日本の外貨準備高も6月末現在で1兆1000億ドルに達し、中国(3兆2000億ドル)に次ぐ2位となっている。
崔炯碩(チェ・ヒョンソク)記者