島田紳助「早過ぎる芸能界引退」の裏側に「暴力団幹部との親密関係」に重大関心を示した捜査当局の動き「セーフ」はなぜアウトになったのか

2011年08月25日(木) 伊藤 博敏
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 みかじめ料は、徴取する暴力団サイドも、支払う住民サイドも禁止され、処罰の対象となり、暴力団関係者が不動産物件を借りるのはもちろん、貸すことも禁じられるようになった。公共工事に暴力団系企業は参加できず、暴力団組員は家族も含めて銀行口座すら開けない。

 この動きに合わせ、警察庁は全国の都道府県警に指示を出し、暴力団を徹底排除、なかでも弘道会の壊滅作戦を命じた。弘道会は篠田建市山口組六代目の出身母体でナンバー2の高山清司若頭が会長を務める。

 弘道会の弱体化は山口組の弱体化につながり、山口組の弱体化は暴力団の弱体化につながる---。

 警察庁の安藤隆春長官のこの言葉に、警察の意欲がうかがえる。かつてのように、「暴力団と芸能人は"仲間"」という認識は通じなくなった。紳助の「セーフ」はいつの間にか「アウト」になっていたのである。

警察が知りたがった山口組幹部との関係

 加えて、紳助が「10数年前にトラブルを解決してもらって以来、恩を感じていた」というBさんこと橋本会長は、山口組若頭補佐という大物で、「頂上作戦」の一環として高山若頭が逮捕起訴され拘留中の今、7代目候補に挙げられるほど。警察としては、橋本との親密交際を時にひけらかしていた紳助を許すわけにはいかなかった。

 実は、国民的人気のタレントでありながら、紳助は大阪府警の"お客さん"であった。いつでも逮捕する準備をしている「暴力団周辺者」という位置づけなのである。大阪府警が、4年前に摘発した事件に、タレントの羽賀研二、渡辺二郎らが関与した恐喝事件があるが、その際、府警がしきりに聞きたがったのは、「紳助と橋本の仲」だったという。

「(羽賀)ケンちゃんにだまそうとか、脅そうとかいう気はなかったんです。値上がりが確実ではない未公開株の売買ですからね。だから一審は無罪判決でした。その取り調べ過程で、府警の刑事がしきりにケンちゃんに聞いてきたのが紳助のことだった。ああ、二郎さんを起点に橋本会長に辿り着きたいんだな、と思いました」(羽賀被告の知人)

 橋本への渡辺を通じた紳助の「伝言メール」は、羽賀事件の過程で押収した渡辺の携帯電話に残され、公判過程で検察側証拠として提出されていた。従って、いつ山口組首脳と紳助との「親密過ぎる関係」が表に出てもおかしくなかった。

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