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2011年08月24日
■中国国有テレビ局が放映した「サイバー攻撃の証拠」
問題のシーンは上記Youtube動画の40秒目前後に登場する。「サイバー攻撃にはソフト的手法とハード的手法があります。ソフト的手法にはロジックボムやメールボムなど。ハード的手法には電磁パルス爆弾などがあります……」と説明している背景で、あるソフトが映し出されている。
上部にある右から左に流れている文字には、「中国人民解放軍電子工程学院 1.0版」という文字が。そして「法轮功网站列表」(法輪功サイトリスト)というドロップダウンメニューから「明慧网站」(明慧サイト、法輪功サイトの一つ)を選ぶと、そのすぐ上にある「攻击网站的IP地址」(攻撃対象サイトのIPアドレス)という欄に「138.26.72.17」という数字が表示される。
このIPアドレスは「dali.chem.uab.edu」、すなわちアラバマ大学が保有している。20日付大紀元(中国語)によると、このIPアドレスは法輪功を信仰していた大学生が以前使用していたという。大学生がこのIPアドレスを使って法輪功サイトを運営。人民解放軍に目を付けられていた可能性が高そうだ。
■人民解放軍の米国攻撃なう
サイバー攻撃にはさまざまな手段があるが、今回、「たまたま映ってしまった」ソフトは攻撃対象サイトを閲覧不能にするDDos攻撃かなにかのきわめてシンプルな攻撃に使用されるもののように思われる。とはいえ、人民解放軍謹製のサイバー攻撃ソフトが存在し、米国に存在するサイトが攻撃リストに入っていたことは、決して軽い事実ではないだろう。
今年5月、米国防総省は他国からのサイバー攻撃は「戦争行為の要件を満たす可能性がある」との見解を固めた(参考記事)。サイバー攻撃も戦争行為の一つであると見なしたわけだが、今回のニュースはおおげさに言えば「人民解放軍が現在進行形で米国を攻撃している」ことを示すものとなった。
今すぐ米国が反応を示す可能性は低いが、今後、中国のスパイ疑惑、危険性が取りざたされる時には、かならず引き合いに出される事例の一つとなりそうだ。
■日本語メディア報道
「中国政府のサイバー攻撃ツールの画面が流出?……エフセキュアが指摘」RBBTODAY、2011年8月24日
「中国人民解放軍開発のサイバー攻撃ツール、国営放送の番組で明るみに」ITmediaニュース、2011年8月24日