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【群馬】高崎、汚染深刻 核実験監視 CTBT観測所 業務に支障包括的核実験禁止条約(CTBT)の国際監視制度を担う監視施設の一つとして北朝鮮などの核実験を監視している日本原子力研究開発機構(原子力機構)の高崎量子応用研究所観測所=高崎市綿貫町=が、福島第一原発の事故で発生した放射性物質で汚染され、核実験の監視業務に支障を来していたことが分かった。 (伊藤弘喜) 原子力機構によると、同観測所は世界に六十カ所、国内に二カ所ある放射性核種監視施設の一つ。フィルターで集めた大気のちりに含まれる放射性粒子を測定する装置と、大気に含まれる放射性希ガスのキセノンを測定するより高精度な装置の計二台がある。 本来は地下核実験により放散される放射性希ガスを観測するための同研究所の希ガス測定装置だが、福島第一原発事故により地球規模で拡散した放射性希ガスも感知してしまった。原子力機構の担当者は「正確な核実験の観測ができなかった」とし、各国の他の観測所も何らかの影響を受けたという。平常通り観測できるようになったのは、事故から二カ月後だった。 一方、粒子の測定装置は汚染が深刻。オーストリア・ウィーンにあるCTBT推進機関「CTBT機関準備委員会本部」から技術者が今月十五〜十九日まで来日し、除染を試みたが、「装置が複雑で細かい所まで除染できなかった」という。現在は観測データから汚染量を差し引く補正を行っている。 原子力機構の担当者は「現在、希ガスの測定装置に問題はなく、監視体制に影響はない」とするが、放射性粒子は、微妙な変動を検知しにくい状態が続く。「装置の入れ替えを含め、対策を本部と相談していく」と話した。 PR情報
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